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中学聖日記と陽性転移

こんにちは。
るりです。

最近、『中学聖日記』というドラマにハマっています。
今8話まできました。
ラストまであともう少し。

あ、過度なネタバレはありませんのでご安心を。

簡単にいうと、中学校の女性教師が
担任をもっていた10個下の生徒と恋に落ちてしまうというお話です。

生徒役の岡田健史さんの演技が
中学生時代は本当に中学生に見えるし、
高校生時代は本当に高校生に見えるしで凄い。
実際は教師役の有村架純さんの6つ下みたいです。

生徒に好意を寄せられて
それに教師という立場のまま応じてしまった聖先生は
教師として確実に過ちを犯してしまったと思うのですが、
生徒側の黒岩くんは
とにかくまっすぐに聖先生のことが好きで
なにか胸にくるものがあります。

自分の持っている何を投げ打ってもいいくらい
ひたすら先生のことが好きで、
唯一の望みは自分が先生に優しくすること。
そのために早く大人になろうともがくんです。
切ない。

話は変わりますが、
聖先生は黒岩くんを好きになってしまったきっかけについて
「教師を始めたばかりで不安な時
自分の教えたことを楽しそうに覚えてくれて
感謝してくれたから」
「教師として未熟な自分は
彼の好意に支えられたんです」
と言っていました。

これって逆陽性転移の一種なんだろうか
なんてことを考えました。

クライエントが、過去に重要な他者(両親など)との間で生じさせた欲求、感情、葛藤、対人関係パターンなどを、別の者(多くの場合は治療者)に対して向ける非現実的態度を転移と呼びます。

過去の重要な他者に向けられていた愛着欲求や依存欲求が向けられることを陽性転移、敵意や攻撃欲求が向けられることを陰性転移と言います。

治療者側がクライエントの示す転移表現に対して、感情的に反応を返すことを逆転移と言います。

転移|心理学用語集サイコタム

転移は多くの場合精神疾患を持つ患者さんと医師やカウンセラーさんとの間で生じるものですが、
教師と生徒においても似たような現象が見られることがあるそうです。

聖先生は、黒岩くんが
自分の教えた漢詩を唱えてくれた場面を
後に何度も思い出しています。
それくらい、そのシーン、言葉が
当時の彼女を支えていたのでしょう。

春夜雨を喜ぶ  
好雨時節を知り   
春に当たりて乃ち発生す
風に随ひて潜かに夜に入り
物を潤して細やかに声無し

春夜喜雨(杜甫)

全く状況が違うのは承知の上でですが、
うつ状態で治療を受けていると
不安になった時や死にたくなった時
先生のくれた言葉をひとりで思い出して
その時間を耐える、ということがあります。

(健康な人でも、
誰か大切な人のくれた優しい言葉を
辛い時に思い出して心の支えにする、ということは
共感してもらえることだと思います)

でも、そういう時、先生は
患者が嬉しくなりすぎるようなことを言ってはいけないな、と
思うんです。
患者が先生に言ってほしいことをそのまま全て先生が与えてしまったら
きっと患者はその先生に依存してしまうから。

私はプロ側ではないので体感だけで全く適当なことを言いますが、
精神科医にはある程度の冷たさも必要なんだと思います。
冷たさというか、意識的に患者さんと線を引いて
一定の距離を保つこと、というか。

家族や友達は、同性異性問わず
「いつでもるりの味方だよ」とか
「生きててくれてありがとう」とか
こちらの心に沁みるような、特別な言葉をくれます。

でも、先生はそういうことは言いません。
そもそも関係の深さ的に当たり前と言えば当たり前なのですが、
「僕は治療者として、るりさんが元気になるまでサポートします」とか
そういう言い方をします。

それは、患者にちゃんと立場の違いを認識させて
過度な陽性転移、つまり先生に恋しちゃうとかを
防ぐためなのかなあと
思いました。

ドラマから話が飛びすぎましたが、
いいドラマだと思うので、みなさん興味があればぜひ。

それではまた、次の記事でお会いしましょう!

るり

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