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 長女がオードリー・ヘップバーン好き、ということで一緒に観た。原題Fanny Face。1957年の映画。

Empathy

 劇中のオードリー演じる書店員ジョーがかぶれているフランスの思想が「共感主義」として登場。ジョーが熱く語るには「Sympathy(同感)ではなくてEmpathy(共感)を大事にする思想なんだ!」と。最近も良く聞く考え方だな。63年前の映画で取り上げられていたとは驚き。
 結局ジョーが憧れていたパリ在住の共感主義提唱者フロストル教授はちょっと怪しげな教祖的な人でしかなく、共感主義ということは、ちょっとからかい気味に用いられているわけだが。

ミュージカル映画の王道

 共演はミュージカルの王様フレッド・アステア。タップ的なダンスは少なめだし、衣装も地味なコートとかだったりが多いが、やはり踊りがすばらしい!特に中盤で傘をステッキ代わりにして踊ったり、コートを闘牛士のマントに見立てて踊るダンスは圧巻。

 そしてこの映画が初のミュージカル映画出演となったオードリー・ヘップバーンの歌と踊りも実に見事!幼少期からバレエを習い、バレリーナを夢見ていたというオードリーならではの優雅なダンス。そして共感主義者の溜まり場的なカフェで踊られる前衛的なダンスも見事に踊り切っている。10頭身ぐらいありそうなオードリーのスタイルの良さも際だって、素敵。書店員からモデルに転身、という役柄のため、たくさんの衣装をオードリーが着こなしていて、ファッションアイコンとしてのオードリーを決定づけた映画と言えるのではないだろうか。

 またファッション雑誌クオリティの編集長役として脇を固めた女優ケイ・トンプソンが実力派らしい演技・踊り・歌声ですばらしかった。

 主に使われている曲はガーシュウィン。タイトルチューンであるFanny Face、そして主演の二人がお互いの気持ちを知った時にアステアが唄うHe loves, she lovesなど。

 ジバンシイほかによる衣装デザインも見事。また美術もすばらしいな、鮮やかな色遣いを嫌みなく。

 監督スタンリー・ドーネンもミュージカルの巨匠らしく、手堅くも楽しい映画に仕上げてくれている。

 愛すべき佳作ミュージカル映画、という感想。おかげで楽しい日曜日となった。

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