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国会議事堂の下に遺跡が⁉️〜ベトナム国会考古学博物館

 ハノイ市内にある。一般には未公開の考古学博物館を見に行かないかとのお誘いを受けた。それも国会議事堂の地下にあるという。
 新国会議事堂の内部と一般に公開されていない考古学博物館とを同時に見学することができるという胸踊る企画に一も二もなく参加を決めた。
 旧国会議事堂の「バディン会堂」の取り壊しの際、その地下に1300年にもおよぶハノイ・タンロン王城の遺跡が幾重にもなって発見され、遺跡の発掘完了までは、新たな国会議事堂の建設はストップしたとは聞いていた。
 この見学会に同行された日越大学学長、古田元夫氏によれば、考古学者からは国会議事堂を別の場所に建設し、遺跡は保存せよとの意見が寄せられたが、国会議事堂の建設場所を変更することはできないとして、議事堂の地下に博物館を建設するという折衷案がだされ、その結果だという。
 当日一行は国会議事堂前に集合した。ドイツの設計事務所による議事堂の周囲は矩形だが、内部は円形をした奇抜なデザインで、まずその威容に驚かされる。
 国会の正面玄関から入り、右に地下に通じる通路がある。エスカレーターで地下2階まで降りると、2000平米の広さに7世紀から10世紀の大羅、丁朝・前黎朝、つまり李太祖がハノイに遷都する前の遺跡が展示されている。通路はガラス張りになっていて、下には建物の礎石が見られるようになっている。あたかも発掘現場にいるかのようだ。展示物はその時代の遺物の数々だ。瓦や井戸の跡などが展示されている。
 地下1階はタンロン王城の遺跡が展示されている。上から赤い円筒が吊るされ、礎石とその円筒をつなぐと、王宮の建物の柱の位置を示している。
 当時の陶器、瓦屋根、精巧な彫り物が施された鳥の頭部をかたどった屋根の装飾など、見応えは十分だった。
 ハノイ市内の他の博物館と比べても、その展示方法も素晴らしく、展示物の豊富さは驚くほどだ。国内外の旅行客を含めて多くの方々にみてもらえる日のくることを期待したい。

日本ベトナム友好協会機関紙「日本とベトナム」2018年10月号掲載

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