幅より深さ

「業務の幅を広げたい!」とか言って本業から逃げていないか!?

こんにちは、僕です。

僕は新卒でSierに入社して、プログラマーとしてプログラミングに従事し、プログラム設計、データベース設計など段々と設計も行えるようになり、後に要件定義や概要設計などの上流工程にも携わっていきました。

今の会社は所謂Web系で自社サービスを開発・運用していますが、その会社に中途入社して、開発リーダー、事業責任者と業務の幅が広がっていき、今は新規事業の企画・開発に携わっています。

今の会社は、エンジニアだけでなく営業やマーケターなど多数の職種が在籍しているのですが、そんな会社でよく耳にするのが「業務の幅を広げたい!」と言う発言です。

発言だけ聞くと立派なのですが、発言してる人に限って「幅以前に今の業務を一人前(※1)にこなせてからで良くないか?」とツッコみたくなる人が多いので、ものすごく違和感があります。

※1 ここで言う『一人前』とは、1人でも業務が完結でき、業務に対してツッコまれても正しく解決できる状態とします。

例えば、余白やトンマナ、文字サイズなど何も意識できていないデザイナーが、「業務の幅を広げる為に、ディレクションを頑張りたい!」と発言していたり、仕様も理解できていないで設計もままならないエンジニアが「業務の幅を広げる為に、マーケティングの知識を付けたい!」と発言していたりします。

ある程度のレベルで業務の幅を広げられるのであれば理想ですが、当然その道のりは困難だし、どれも一人前にこなせず、時間だけ食って何もかもが中途半端な状態に陥ってしまうこともよくある話です。

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ちょっとやそっとやったぐらいで、他の職種の人が培ってきた知識や経験に追いつけたら苦労しないって話ですよね。

またデザイナーならデザイン、エンジニアならプログラムや設計など、その職種で一人前と呼べるレベルになっていない状態で他の業務にチャレンジしても、応用できる知識や経験を持っていないので効率が悪くなります。

逆にデザイナーならデザイン、エンジニアならエンジニアとして一人前と呼べるレベルになった状態で他の業務にチャレンジすれば、チャレンジする業務が本業と関連性が高ねれば高いほど、共通項も多くなるので応用が利き効率は良くなります。

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そして何よりも僕が違和感を持つのは、本業が半人前の状態で、他の業務に目移りしてしまうのは、そもそも本業から逃げてるだけではないかと思っています。

例えば、好きで続けているバスケットでも、ある程度のレベルまで可もなく不可もなくで達するかも知れませんが、それ以上のレベルではツラいことやキツいことも多くあると思いますし、挫折することもあるかも知れません。

同じように、業務の幅を広げていっても、必ずどこかで壁にはブチあたります。

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早めに壁にブチ当たっておくか、時間を掛けた後で壁にブチ当たるかの選択です。

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僕は、早めに壁にブチ当たっておいた方が良いと考えています。

理由としては、業務の幅が広ければ広いほど周りからも「何でもできる人」と期待されてしまうので、蓋を開けて特筆するものがないと「あれ、この人って経験豊富なようで実はあまりデキないのでは?」と言う印象を与えてしまいます。

また僕自身もSier時代を含めてたくさんの経験をさせて頂きましたが、自分のレベルの低さに直面した経験は数多くあります。
あとから「もっと深く学んでおくべきだった...」「時間を無駄にしてしまってた...」と後悔していることだらけです。

よく『ゼネラリスト』と『スペシャリスト』と表現されますが、深くて広い知識と経験を持つ『ゼネラリスト』が理想です。
ただそこまで優秀な人材になるのは至難の業です。

今の時代では、狭くても深い知識と経験を持つ『スペシャリスト』の方が求められていると感じますし、浅く広い知識や経験では新しい会社や業界で戦力として即活躍することは難しくなります。

多方面に興味を持つことは悪いことではありませんが、「業務の幅を広げたい!」と中途半端な状態で経験を積もうとするのではなく、1つの職種での経験で一人前になってから、少しずつ業務の幅を広げていった方が、結果的に良い方向に転ぶのではないかと考えています。

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すぐに「業務の幅を広げたい!」と言ってしまう人は、改めて「他の業務に手を出すことで、すべてが中途半端にならないか?」を自問自答して頂ければと思います。

本投稿は以上になります。
最後まで読んで頂きまして、ありがとうございました。

PS.本投稿を書いている時に『WORK SHIFT』と言う書籍の中で、連続的スペシャリストと言う表現で同じような内容が記載されている事を知りました。
興味のある方は、そちらの書籍をお読み頂くも良いかと思います。

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