田中!

田中です!

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小5のある夏の日

優しい両親と年の離れた姉兄、おまけに何でも買ってくれる近所のおばちゃんと、5月の潮干狩りで海から上がってきた時のバーベキューの火よりもぬくぬくな環境で育った誰よりも温厚な僕は、怒りの感情が他人に比べて薄い。ただ、そんな僕が人生で唯一、人を殴りかけたことがある。 小学校5年生のある夏の日。 その日はとても暑く、プール日和と呼ぶのに相応しい気候だった。僕はスイミングに通っていたこともありそれなりに泳ぐのが得意だったため、プールが大好きだった。朝から体育の時間を待ち侘びていたこ

    • マジ魔人卍

      ひろき 「あれは梅雨に入りかけの頃だったかな、大学に向かう準急列車に乗っていた時のことなんですけどもね。その日は昼にしては電車が混んでまして、座席の前に陣取って吊り革に掴まってたんです。電車がカーブに差し掛かった時、揺れた反動で、後ろに立っていたお兄さんにお気にの白スニーカーを踏まれたんでごわす。その中南米顔の髭面お兄さんは、謝りもせずに気味悪くブツブツ何かを呟いていたんですけども、あたくしは家から最寄り駅まで自転車で切った風が心地良く、気分が良かったもんですから、「外人さん

      • ぎょぎょぎょ!?

        3Gの通信速度の遅さに衝撃を受けたあの夏。 膝から崩れ落ちかけた僕を助けるために、自らの体をクッションとし、膝のダメージを和らげてくれた彼はやはり人の痛みを感じることに長けていたのだろうか。 彼がもし生きていたなら、是非あの落ち着いた喫茶店を紹介してあげたい。 息を引き取る直前まで彼は、曙の膝を守れなかったことを後悔していた。 そろそろ、彼の子供が4Gの通信速度の遅さに衝撃を受ける頃だろうか。 是非とも、父親のように人に優しくできる大人になって欲しいものである。

        • オダギリジョーに寄せきれない

          とにかく、いい具合の偽物をください。 間違い探しぐらいの偽物を。 それが僕の願いです。 聞いていただけますか。 あ、ありがとうございます。 それです。 僕の求めていたものは。 誰かを騙したい、という思いはありません。 ただ、ちょうどいい具合の偽物が欲しいのです。 ねぇ、神様。海老の背を伸ばした後の虚無感の偽物は、どんな感じですか? 言葉で言い表わせる代物でありますか。 なんつってね。 ねぇ神様、あなたが笑ってくれているのなら、他にはもう何も望みません。 みた

        小5のある夏の日

          泥水すすり太郎

          彼女はインプラントだった。 28本の内、13本がインプラントだった。 自分の歯が少ないのは残念なことのように思えるが、彼女曰く、元々は卵子に行き着くことだけを追い求めていた、あんなに小さな物体だったことを考えるとどうでもいいことらしい。 彼女にとってのもっぱらの悩みは、寝ないといけない時に限って付けたテレビが面白かったり、家の近くにユニクロはあるのにGUがないことだったり、端からみればそれこそどうでもいいことばかりである。 飼ってるドーベルマンが毎晩脇腹を食いちぎって

          泥水すすり太郎

          何度見たって美しい。

          時々目の前に現れる、左ハサミだけが異様に大きいカニは、突然出てきたわけではなく、視界に入ってはいたが見えていなかっただけなのである。 逆にその貧弱すぎる右ハサミはどう使うねんってぐらい左ハサミが異様に大きいカニは、ドン底に落ちて初めて見えるようになるものである。 ハサミはあんなにサイズが違うのに、胴体の部分は何事もないかのように左右対称なカニを、どう捉えるかはあなたの自由である。 そうだ。自由だ。自由なのだ。 人は元来、自由なのである。(カニも) それを人間社会が制

          何度見たって美しい。

          2021最終ピリオド

          2021年も終わりということで、今年保存したナイスな写真たちを載せていきやす!! おれっち気付いたんだ!この世で一番大事なものは「愛」なんだって! 「確かに愛は大事なことや。ヘヘッ、、ヘヘヘッ。……………………ンフッ、ヘヘヘッ」 って八木先生もツボりながら言ってたしね!! おもろ!!親知らず生えちゃう🦷🦷🦷 あれ?あれれ??なんかお尻があったかいぞ!?なんだなんだ??うわっ、何これ??……臭ッ!!うんこやん!?うんこ漏らしてるやん!!! うわぁ、うんこ漏らしてもう

          2021最終ピリオド

          人々々

          あなたは、人生に満足していますか。 こう聞かれた時に、はっきりと「はい」と答えられる人は少ないかもしれない。人生というものは、多くの壁が立ち塞がり、今まさに挫折している人もいるだろう。そういう時には、この世界が冷たく、残酷なものに感じられる。それほどまでに、人生は楽なものではない。そこで、いつかあなたが越えられない程の壁にぶつかった時に、思い出してほしい言葉がある。 「一度立ち止まり、ゆっくりと周りを見渡してみよう。そうすると気付くはず。この世界は、あなたが思っているより

          結局は秋。

          こんにちは!ラララライ体操の生みの親です。 とりあえず1ヶ月に1つは書こうと思い、なんだかんだ4月から続いてきたけど、気付いたら10月も残り1時間になってしまったというところで筆を取った次第です。これは冗談ではなく、本当に筆を取っています。身を清めた上で筆を下ろし、清書をした後に携帯に打ち込んでいます。そうすることで文字が命を持つからです。冗談ではなく、筆で一文字書いた後、即座に携帯に打ち込み、また一文字書き、携帯に打ち込む、という作業をしています。冗談です。 改行 改行 改

          結局は秋。

          「あれ?あの人実はケンタウロスなんじゃね?」

          こうなることは全て分かっていた。 一つ一つの細かい全てが手に取るように分かっていた。 「いつかこうなる。必ずいつかこうなる。」 自分の心臓にピントが合ったあの瞬間から はっきりとそう思えた。 間もなく、その左にいる、ちょっとしか使わなかったから捨てずに置いておいたマスクと 右にいる、月並な映画を観た後の月並な感想と 上にいる、小雨の匂いと僕の匂いが混ざった色のショートケーキと どこにもいない、ウンチョコチョコチョコピーの人は だんだんとボヤけていった。 今

          「あれ?あの人実はケンタウロスなんじゃね?」

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          「7か4 どちらというと 3だよね」 そんなことを思いながら最寄りの駅に向かってたら、中学校の頃の友達に会ったんだ。 久しぶりだったから嬉しくなって声を掛けたんだけど、反応が微妙だったんだ。おかしいなと思ってよく見ると、メスゴリラだったよ。 間違えたことの申し訳なさと恥ずかしさで、照れて笑ってたら 「友達ってどんだけ仲良くても、家系図で言ったらたぶんかなり遠くにおるよね。」 とか 「CHAGE&ASKAはいいよね、2人で。私は私&0やで。」 とか言われた。 「

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          ぬかるんだ道は空を見て歩け

          二遊間で塁審(2塁)と球審のどつき合い 塁審「幸せになれって言うけどなぁぁぁ!!幸せの防御率4.28やぞぉぉぉ!!!」 球審「夏至の夜中になんじゃコラァ!!!」 セカンド・ショート「なんやなんや?」 塁審「それに奪三振率が低すぎる!!!」 球審「ケンタウロスドーーーーーン!!!!!!ケン!!タウロス!!!ドーーーーーーン!!」 塁審「上馬???上馬の方???」 球審「幸せになれやぁぁぁ!!!」 塁審「クイック遅すぎるんじゃ!!!」 球審「ジョン・レノン!!ポ

          ぬかるんだ道は空を見て歩け

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          君に翼はあげない。何故なら既についてるから。 そう言ってたあいつは捻挫で死んだ。 シュールな夢の中ですらカッコつけようとする。 そんなあいつも捻挫で死んだ。 サッカー部なのに2リットルペットボトルぐらい前腕が太いあいつも、やっぱり捻挫で死んだ。 体育中よく足をぐねってたあいつは老衰で死んだ。 人間が想像できる物事は宇宙のどこかに存在するという説がある。もしそれが本当なら、ここに書いた愉快な人達もいつか、どこか、いる。 逆に言うと、何も想像しない人間の世界には何も

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          話②

          自分がこの世に生まれたことで保たれた宇宙の秩序を、自分の意識の中の罪を犯すことで壊していく。 僕と留学生のボブだけがその事に気付いていなかった。 クラスのみんなはとっくに大人になっていたらしい。 命は時に、水中に咲く花のように、理に適わない。 ミンミンゼミ「マンマンマンマン」 綺麗な鈴蘭の花畑をダンプで荒らし回る男。 かと思えば、丘の上から美しい歌声で、ブルーハーツの青空を歌う。 どんな時でも我を貫く鳥たちでさえも彼に場を譲る。 猫を無表情で蹴り飛ばす女。

          話①

          ちょっと手を伸ばしたら届く距離にある宇宙には手を出さず、手元足元にいる手足が生えかけのオタマジャクシを池に返す。 優しく、穏やかに。 波を立たせないように。 ゆっくりと。 その様子を一部始終見ていた女。 元々は父親の金玉の中にいたということを強く感じさせる彼女には、お尻の割れ目に大きなほくろがある。飼っているバッファローだけがそれを知っていた。 彼女に言わせると、刺身は寿司からシャリを引き剥がしただけのものらしい。 パティシエ「そんなことないと思うけどなぁ」

          ニンゲンとカメ

          大学からの帰り道。 ゆーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっくり池のそばを自転車で漕いでたら ゆーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっくり泳ぐ亀に追い抜かされた。(伸ばし棒の数とゆっくり度は比例しないものとする) 嬉しくも恥ずかしくも、鼻をすすりながら笑った いそーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

          ニンゲンとカメ