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建て売り住宅を購入する際の注意点

 金利が上がりそうな気配がする中、家を買うなら今と思うむきがあるだろうか。建築資材はまだまだ高値傾向だが、一時は高騰していた木材価格は落ち着いてきた。木造住宅派であれば確かに金利が上がる前の方が良いだろう。

 多くの場合は土地を探して設計をしてもらって建設という面倒臭い手順を踏まずに済む建売物件を探すだろう。しかし都市部のそうした物件では気を付けないと後で痛い目に遭う事があるから買う前には良く調べた方が良い(当然ながら建売の全てが問題物件なのではない)。

 起こる問題の一つは、地盤の問題。
 住み始めてしばらくしたら家が傾いてきたという事例は都市部に多い。田んぼや湿地だったところを宅地化した様なケースもそうだが、丘を造成した場合でもあり得る。
 都市部では今や、宅地化に向いた土地は使い尽くされているからこうした不具合が起こる。もちろん造成時に地盤改良を行ったりはするのだが、コストとの兼ね合いで不十分になってしまうこともあるし、地中のことなので全て把握するのは難しく、事前の調査通りの結果にならないこともある。

 もう一つの問題は、どうしても安っぽくなることだ。工事の丁寧さを求めたところで安いのだから仕方が無い。都市部では土地の価格が高いため上モノにお金を掛けられない。建売住宅の建物は驚くほどの低予算で造られている。最近では安いけれども見てくれの良い建築資材が増えているので、一見オシャレに見えたりするが、耐久性がいまひとつだったり、後のメンテナンスにコストが掛かったりすることになる。

 また、これは単純な施工不良による排水管の繋ぎ忘れによる漏水も良くある。排水管の繋ぎ目は接着剤をつけるのだが、これが甘かったり接着剤を忘れていたりすると使用した際に水漏れすることになる。工期が短くて作業時間が限られている建売住宅には多いケースだ。その他にも施工不良は必ずあると思っておいた方が良い。

 こうした不具合はどんな住宅でも起こり得ることだ。しかし住宅価格とのバーターといった面も否定できないから、安い住宅(土地代を含めた購入価格は安くないが)では、遭遇する確率は格段に上がると思っておいた方が良い。私自身は建設業界と関わりがないが、敢えて彼らの肩を持つとすれば、安いんだからそんなに文句言わないでよと内心思っているだろう。安かろう悪かろうと言うではないか。もちろん瑕疵は補償して貰える前提の話だが。

 それでも背に腹は代えられない。
 せっかくなので、建売住宅を購入するとなった時に気を付けたほうが良い点を考えてみよう。

 まずは、立地。
 元々どんな土地だったのかを良く調べよう。不動産屋は都合の悪いことは敢えては言わないはずなので、勇気を持って近所の人に声を掛けてみよう。
 新規の造成地だとしたら、後に沈下するかしないかは賭けだ。もしその区画で既に住んでいる人のある家があれば噂がないか聞いてみよう。これに関しては事前に調べる方法はあるにはあるが、ここでは差し控えたい(業界の方に喧嘩を売りたい訳では無いので。お察しください)。
 
 次に施工。 
 これは、もし建てた業者が分かっているのであれば、その業者が関わった他の物件に住んでいる人を訪ねてみよう。あら探しをするよりも、どうせ良い施工は期待出来ないと諦めて、問題があったら本当に困りそうな部分に注目しよう。普通の人は仕上げを気にしがちだが、重要な部分はたいてい見えないところにある。間取図ではなくて建築図面を入手して確認しよう。図面通りの位置に柱があるか、正しい位置に筋交いが入っているか(筋交いが入るはずの位置の壁がなくなっていないか)、壁に開けた貫通穴が柱の位置になっていないか、大量に排水を流してみて漏れがないか(給水は圧が掛かっているので漏れがすぐ分かるが、排水は分かりにくい)、コンセントの数と位置はあっているか。もし、建築時の施工写真などが手に入るのであれば貰ってみよう。

 最後に設計。
 建売なのに自由設計だったり、間取りの変更が出来ると言って売られている物件では、本当にその設計変更が適切なのか確認しよう。限られた予算で設計変更に応じるとなれば、どこかに皺寄せがいく。
 また、致し方ないことだか、予算上使用可能な部材が限られるから、屋根や外壁などに高耐久性をもたせることは出来ない。定期的なメンテナンスに今後どれくらいのコストが掛かるものか実際の設計に合わせて試算しておいてもらうと良いだろう。

 いずれにしても高価な買い物になるのだから、私は設計・監理料を払ってでも建築士に依頼したいと思うが。

おわり


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