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43夜 外国人がこの国で働くということ

 毎日新聞(yahooニュースhttps://news.yahoo.co.jp/articles/b0afaa0ce7cb957b047a4ac9efa18864025d5e
 4f)によると,「人手不足の産業で外国人労働者を受け入れる在留資格「特定技能」を巡り、政府が2024年度から5年間で最大82万人の受け入れ見込み人数を試算していることが関係者への取材で判明した。19年の制度導入時に設定した5年間の受け入れ見込み人数の2倍以上の想定」だそうな.
 確か1990年代に「技能実習制度」が始まって以降,外国人労働者は徐々に増加して,2023年には200万人を突破したようだ.出入国管理の改正にともない,受入れ形態も「特定技能」などが加わり,就労業種も拡大を続けている.今回の想定でも「運送業」や「鉄道関係業」への受入れがあるようだ.これらの労働者の国籍についてみたとき,そもそも「中国籍」が多いのは当初から変わりがないものの,「韓国籍」同様に全体に占める割合は低下し続けている.それに対して「ブラジル」や「フィリピン」,「ネパール」といった国々は拡大傾向にある.要するに,それぞれの国の経済状況と外国人労働者数とは相関性がある可能性が高いのだろう.今後,これらの国々の経済が伸びていけば,日本で働くメリットは低下するわけであるから,また別の国からの労働者が増加するのであろうが,先進国における労働力不足が,簡単に国籍推移による労働者確保とはならない可能性も高い.
 そもそも,世界12位の人口を擁するこの国で,労働者不足が発生しているという現象自体,奇異に見えるのだが,少し前に3Kと呼ばれる業種に対する若年労働者の忌避傾向や現業よりも「コンサル」や「IT」などの業種への就職希望の偏り,「ブラック企業問題」などが労働者不足を助長してきた感があるように考える.近年の低給与問題において,それまで外国人が占めていたコンビニのアルバイトに,時給上昇により日本人が就くようになってきたといった現象は,必ずしも絶対数として労働者不足が発生しているわけではない可能性があると筆者は考える.給与アップ圧力に対して,相変わらず外国人労働者にコスト負担を押し付けて給与アップから逃れようとする産業界や政治の世界の思惑がないとは言い切れないような,労働問題に対する長期的な政策がなさそうなことが,外国人労働者受け入れしか話題がないことにつながっている気がしてならない.なんだかなあ.
 1月1日に能登地方で発生した地震により2か月を経た現在でも1万件を超える断水や通行止め地域が続いているという状況を考えたとき,外国からみると,「日本のような先進国でなぜ災害時に難民が発生するのか?」という素朴な疑問が生じるらしいが,我々にしてみれば,「想定外」に慣れてしまい,被災者になっても「仕方がない」という意識で「自己解決するしかない」につながってしまう傾向がある.だから,今回の地震では,高齢者
が「もう無理」といって地域が崩壊してしまう現象が起こるのだろう.
 外国人労働者問題にしても災害時の対応の問題にしても,今一度立ち止まって施策上の誤りや改善を積極的に進める必要があるのに,誤りを否定できないこの国の組織の特徴が,改善のための課題定義や根本的施策改革にすすめない大きな要因になっていると筆者はみる. なんだかなあ. 
 


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