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#10 好きだけどお別れすることにした|とべちゃんの副音声

好きなままなのに自ら別れを決意をするのは、大変な決断である。

私がお別れしたのは、年始から通っていたK-popダンスのレッスンである。

せっかく始めたのに、半年たらずでやめてしまうのは不本意だったけど、色々と考えた結果である。

K-popダンスに挑戦した理由

どうせなら韓国にいるときにやればよかったけど、なんか恥ずかしくて挑戦できなかった。(なぜかジャズダンスを少しかじった。)帰国して2年が経ち、転職先での仕事にも十分慣れ、コロナ禍で人に会う予定がなくなったことで、何か新しいことに挑戦したいと思うようになった。そこで、押し入れから引っ張り出してくるように、以前から興味がありながら、なかなか踏み出せていなかったK-popダンスに挑戦することにした。

不本意ながらgirls K-popへ

その当時、見入っていたBoys K-pop。何かに取り憑かれたかのように毎日繰り返し、ミュージックビデオを見ている自分に対して思った。「私はアイドルが好きなわけではなくて、このダンスをしている人に憧れている。本当は見るだけじゃなくて、自分ができる人になりたんじゃないか」と。

本当はBoys K-popをマスターしたかった。しかし、ただでさえ多くないK-popダンスのクラスの中で、ダンス未経験の私が挑戦できる入門クラスがあるだけでもありがたい方だった。有無を言わさず、girls K-pop(くねくねしてて可愛いやつ)の入門クラスに飛び込んだ。

とにかく全部大冒険

体験レッスンから飛び込んだ私には数々の洗礼が待ち構えていた。”入門”といえども、初心者の私がついていくには不安な猛者だらけのクラスだった。みんな若かった(多分中高生〜新社会人くらいがメイン)。古参の上手なグループの存在感が凄かった。みんな練習着がK-popアイドルの練習動画で見るやつだった。少数グループで前で踊らされた。身のこなしも見せ方もK-popアイドルそのもののプロ意識みたいなものを感じさせていた。そして、自分のダンスをスマホにおさめていた。

私といえば、かなり年上の初心者だった。場所の取り方とか、勝手がわからずオタオタした。視力が悪いという理由で前の方に行かざるを得なかった。もこもこのスエットとトレーナーでぱんぱんだった。みんなと同じ動きのはずが、「すしざんまい」「マツケンサンバ」だった。教室が狭いからどう頑張っても、自分を撮影しているみんなのスマホにフレームインしてしまう恥ずかしさと闘っていた。

そんな自分を心の中で生中継しながら、回を重ねるごとに慣れていった。なんだかんだ、身体を動かすのも、日常生活では一生しないであろうポーズや動きで踊れるようになるのがとても楽しかった。

K-popダンスレッスンの学び

・基礎が全て!アイソレーションで利く身体になる

ダンスは振りを覚える(記憶する)ものと思っていたけど、基礎が非常に重要だということがわかった。毎回のレッスンは、ストレッチとアイソレーションという基礎練に半分近くの時間をかける。アイソレーションとは、首、肩、胸、腰など身体の一部のパーツを自在に動かすこと。日常生活で使わない動きが多く、想像以上に動かない。練習を重ねていくと、徐々に可動域が広がって、動きが大きくなっていくのが実感できる。

ダンス(振り)は、アイソレーションの組み合わせで成り立っているものが多い。(パーツごとに異なる動きをするので、脳トレにもってこい。)かっこよく踊るには、アイソレーションの一つ一つの動きをマスターする必要がある。基礎練習の重要性がよくわかった。

・振りを覚えるのでなく、カウントに動きをのせる

レッスンでは、先生がカウントで区切って振りを解説してくれる。ある程度の尺の振りの解説と簡単な反復練習の後に、生徒だけでの少人数の練習タイムがある。顔見知り程度の距離感を保つ関係性なので、独特な空気感になるのだが、ここで重要なのが「カウント」である。音楽がない中、数人で振りを合わせるので、カウントを取れる人がいるかが肝になる。

先生は必ずカウントで間をとって振りを解説する。音と音の合間、前の動きと次の動きの間のわずかなタイミングをうまく取れるかで、振りのキレが変わってくる。単に音楽と振りを合わせるだけでは、ダメなのだということがわかった。

・かっこ悪い自分の姿と向き合って美しさを追求する強さが必要

ベテランメンバーは堂々としていて、他者の目を気にせず、自信満々に踊っている。これが非常に重要なことだと思った。「自分がこんなポーズ(動き)をするのは恥ずかしい。かっこ悪い」そんなことを思っていたら、動きが萎縮するばかり。気持ち悪いクセも抜けない。今の自分を真正面から受け止めて、理想とする動きをイメージしながら、何度も繰り返し、実際の動きや姿をイメージに近づけていく努力が必要なのだ。これはそう簡単にできない。ストイックな戦いだ。

…こんな感じで、通うたびにたくさんの学びがあるK-popダンスは、結構お気に入りの習いごとであり、この先も継続してもっと気持ちよく踊れるようになりたいと思っていた。

習いごとにはストック型とフロー型がある

ダンスの他にも、同じようなタイミングで着付教室とホットヨガに通い始めていた。いろいろな習いごとを経験して、習いごとはストック型とフロー型に分けられると思った。

着付教室は回を重ねて、着装の技術と和装の知識を積み上げていくストック型。ホットヨガは毎回のクラスでリフレッシュするフロー型。期待と中身がマッチしていた。

一方でダンス教室は、基礎からしっかり技術を身につけていくストック型を求めていたけれど、週次・月次で課題曲の一部を習ったら流れていくフロー型だった。一つのものが完成することはないし、前にやったものは記憶から消えるのみだった。期待と中身がミスマッチになっていた。個人レッスンはさらに数が少ないし、どちらかというと基礎と技術を身につけた人がさらに高みを目指すためのもの。

習いごとの予定が増えて、週末が忙しくなっていたこと、そして何より、講師の先生が大人気で予約がどんどん困難になったことが決め手となり、ダンス教室は諦めることにした。

ダンス自体は楽しく、教室がある街も気に入っていたから、かなり寂しい決断だった。

今でも、先生のお手本のダンス動画を見るときゅんとなる。

人生はまだ続く。きっとまた挑戦できるタイミングも来ることだろう。何歳だろうと関係ない。そのときにまた挑戦しようと思う。

2021年のナイスチャレンジ、ここに書き残しておく。

안녕.

とべちゃん: )