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【総合コンサル/若手ビジネスマン向け】入社/転職前後で読んでおくと役立つ書籍(前編:マインド、コアスキル、思考法など)

前提

  • 総合コンサル入社予定~入社1, 2年の人、若手ビジネスマン向け

  • 会計士などの専門資格の保有なしの想定

  • 筆者は社会人10年程度で総合ファームへ転職し、ディレクターまで昇格しているので一応実績はある

  • 難しい本を読んでわかったつもりになるよりも、わかりやすい本で実践で活用することを重視して選定

  • 読んで終わりではなく、あくまでも実践を通してできるようになることを目指してください

  • これから転職する方はなるべく網羅的に、既に働き始めている方は今の状況から必要なものを

  • 数が多くなってしまったので、後編を設けることにしました

マインド

何といってもまず必ず読んでおくべきはこれ。元アクセンチュア戦略の大石さんの『コンサル1年目が学ぶこと』はあまりにも有名。良書。コンサル一年目と書いてありますが、全てのビジネスマンに役立つ基本が書かれています。これ、意外とできている人は少ない。ここに書かれていることが本当にちゃんとできていれば、ジュニアコンサルとしては一人前だと思います。

書籍ではないですが、高松さんの「考えるエンジン」のYoutubeをオススメしておきます。「コンサルの心得99」。総合コンサルでは未経験中途が増えているので、コンサルの心得を知らない人が増えている。一昔前は当たり前のことだったと思いますが、高松さんが言っていることを実践するだけで、大きな差になると思います。高松さんの書籍も紹介しておきます。↓

「変える技術、考える技術」
思考法の書籍でもありますが、やはりこの本はマインドの学びが多い。まずは「愛と想像力」です。

学生時代から知ってる田坂さんの書籍(本書は古いですが、他にも「なぜ、働くのか?」なども)。我々はしばしば、成長(スキルの習得)を目的化してしまうが、これらは人生や社会を豊かにする手段であるはずです。田坂さんの語る「仕事の思想」は、どんな業界で何をやるかよりもまず持つべき姿勢について、考えさせられます。

コアスキル

ロジカルシンキング、構造化

超使う技術なので、一番最初にこの技術は習得しておきたい。自分一人で考える、議事メモとる、ミーティングで人に伝える、ホワイトボードに書く、資料や報告書のサマリなど、いろいろなところで活用できる。階層構造を持つ箇条書きで表現できるということは、物事を構造的に捉え、整理していることになります。全ての基本動作。スライドつくる際も、まずは超箇条書きで構造的に整理をしてから書くスライドに入るべき。

構造化に特化した書籍も1冊やっておくとよいかと思います。コンサルタントが最初に身につける定番スキル。

このへんは「思考法/思考力」のところで紹介するか迷いましたが、時間短くさっと大事なことの基礎を学べるということで、このセクションに入れました。大石さんの「コンサル一年目で学ぶこと」はあまりにも有名でみんな読んでると思いますが、他にも2冊、3分シリーズという入門書があることは意外と知られていない。転職するときに読んで良かったので、紹介しておきます。

思考系は実践で使えるレベルになって初めて意味があると思ってますが、難しい本を読んで実践に結びつけるのは難しい。であれば、短い時間で広く浅く概念と身近な例でいったんイメージを掴んでおいて、あとは実践の中で試行錯誤して自分のものにしていくのが早いです。これからコンサル目指す人の入り口として、3冊セット、オススメです。

ピラミッドストラクチャ

ピラミッドストラクチャと言えば、バーバラミントの『考える技術・書く技術』があまりにも有名ですが、最初に読むには難解でエッセンスを掴みにくいので、こちらがオススメ。半分くらいまで読めば掴めます。伝えるための論理(ピラミッドストラクチャー)を使った話し方、プレゼンの仕方について書かれています。長くダラダラと話してしまって、何が言いたいのかよくわからない、というシーンをよく目にすると思いますが、伝え方としての「ピラミッドストラクチャー」を意識すると変わります。

バーバラミントの書籍を実践法としてかなり簡単にしたものもあるので、こちらも参考に。

会議設計、ファシリテーション

ケンプリッジの榊巻さんの書籍。ほぼ毎日使う技術なのでまずおさえたい。物事を前に進めるためには、ファシリテーションのスキルや会議設計のスキルが大切です。ほとんどの会議には、何らかの目的・ゴールが設定されるべきです(たまに、無いもの、意図的につくらないものもある)。よく話したいことをダラダラしゃべるだけの時間の無駄なMTGがあると思います。本書に書かれていることを意識するだけで劇的に変わります。「え?このMTGのゴールは何?」「どこ向かっているの?」というMTGが周りに多いなら、本書を読んで自分で改善していきましょう。

スライド作成

戦略コンサルの旧モニターグループ(現モニターデロイト)出身の松上さんの書籍。スライドマスタ―、ストーリーライン、ロジカルシンキングをBodyに落とし込む図解の考え方、配色、強調表現、クイックアクセスツールバー、ショートカット、プレゼンのポイントなどとにかく網羅性が高いので、手元に辞書として置いておきたい1冊。

私の場合、最終面接でパートナーから「中途組は最初に資料作成でみんなつまずきますね。新卒からいるプロパーはみんな優秀だから、転職組は下から突き上げられますよ。覚悟して来てくださいね。」と言われました。マネージャで入社することになり、メンバーが作成する資料に対して、ちゃんと理由とともに資料の指摘ができなければと、資料作成はかなり力を入れて勉強しました。松上さんの2日間かけた資料作成講座にも参加しました。

本書のよいところは、問題解決やロジカルシンキングなどで言われていることを、資料作成に落とし込むとどうなるかという「つなぎ」になってくれるところ。資料を作成する際には必ず文脈があって、何かしらの目的・問題解決のために、メッセージをつくり、情報を構造化し伝え、物事を前に進めることになります。そういった点にも言及があるところが素敵です。

同じく榊巻さんの書籍。新規事業立案や事業戦略策定などでは納品物がスライドになりますが、総合コンサルにおけるプロジェクトでは、outputはスライドだけではありません。変革の実行そのものがoutputであり、物事を進めるために「スライドの綺麗さ」よりも「メッセージを伝えて、動いてもらう」ことで目的を達成させることが重要です。そのために必要なことが物語の乗せられて見事にまとめられた良書だと思います。

スライド作成で最も大切なことは「メッセージ」ですが、世の中には勘違いしている人がとても多い。いくら綺麗でそれっぽく見える資料でも、価値の低いスライドがとても多いです。

戦略系が多い方はこちらも。山口周さんの本です。
『外資系コンサルのスライド作成術』

Excel

いかにも今風。書籍とYoutubeが連動する形で学ぶことができ効率が良かったです。総合商社で経理をやっていた学習系Youtuber長内さんの「おさとエクセル」。目で見て手で動かして学べます。VLOOKUPやピボットによる分析はコンサルでもよく使うスキルなので必ずできるようにしておきましょう。

リサーチ

方法論、考え方を学びつつ、目的を持ったプロジェクトシーンにおいてどんな情報収集を行うのか、どう示唆につなげていくのか。情報は、データ(単なる文字や数字の羅列)→ インフォメーション(整理されたデータ)→ インテリジェンス(文脈を踏まえ、意味や価値が付与された情報)の3つがあり、示唆が導出されなければならない。

最初に仮説を持って情報収集を行い、示唆を導出すること。

思考法/思考力

内田さんの3部作のうちの1冊。まずは「論点」をおさえることが重要だと思います。「論点」とは、何らかの目的を達成させるため、問題解決をするために「論じるられるべきこと」、「解くべき問い」、「解決すべき課題」とも言われます。「問題解決」という言葉をよく聞きますが、解決してもあまり意味がないことに一生懸命になっても時間無駄です。なので、何が「解決すべき課題なのか?」を定義することが一番最初にするべきことです。いわゆる「課題設定」。イシューからはじめよ。

論点を設定するためには、「仮説」を持つことが大切です。問題を解決するためにも仮説を持つ必要がある。仮説とは、その時点で最も正解と思われることや、周辺の情報から予想・想定できること。「XXが解決すべき課題なんじゃないのか?」、「XXをすることで解決できるのではないか?」、「XXの方法で解決できるんじゃないのか?」と常に仮説を設定し、それが合っていると思われる情報を集め、前に進む。

その他、逆算思考(ゴールやouputから逆算して物事を考えたり、計画を考えること)とか、ゼロベース思考(「そもそも?」と前提を疑って考える)などもコンサルでは当たり前のように使えると良いですね。

山口周さんの本で、個人の思考力を鍛えたいのなら本書がオススメ。今一歩個人ワークで深さを出したい。inputから思考して(processing)、何らか示唆(output)を出したいというときに、頭の使い方として参考になる。

元ザカティーコンサルティングの細谷さんの本。大学のときに読んでとても感動した記憶があります。頭の使い方について考えさせられます。細谷さんの本は、他に『具体と抽象』、『アナロジー思考』なんかも有名だと思いますが、最初に読むならこちらかと。

※加えて、戦略やるならこのへんも?
「問題発見プロフェッショナル」
「戦略コンサルティングファームの面接試験」

機能

全般

まずは広く企業活動をの基礎を理解しておくのがよく、本書を入口とするのがよいと思います。「経営理念」、「戦略」、「マーケティング」、「組織」、「人材」、「資金(ファイナンス、会計)」、「オペレーション」、「成長と再生(M&A)」、「IT/デジタル」

会計

会計(アカウンティング)の考え方と財務三表は押さえてないと恥ずかしいのでinputしておくべき。どれか一冊読むなら、いろいろな場所で本書がよく挙げられると思います。

もう少し易しいもので、実務にも少し言及があるのがこちら。ユニクロの成長を支えた安本さんの書籍。

IT(情報基盤)

今の世の中、総合コンサルにいてITに触れないことはないと言えるくらい、世の中にとって大きなテーマなので、基本的なinputはなるべく早いうちにしてしまった方がよいと思います。

全般的な論点や基本的な考え方が体系的にまとめられてる良書を2冊ほど。最初にどんな論点があるのか、世の中どんなITの分野があるのか全体像を掴むと視座が高くなりますので、さっと読んでおくと良いかと思います。(システム化プロジェクトにおける実行フェーズに役立つ書籍は最後の方で取り上げています。)

テクノロジーの進化により、近年はインダストリーを越境した新規ビジネスを考えたり、業務変革につなげたりが多くなっています。ニーズではなく、シーズから企業変革していくアプローチもとても有効になっています。コンサルにITの実装力は求められませんが、テクノロジーを活用した発想は求められるので、流行りをおさえるとよいかと。

その他、各機能についても勉強しておくとよいとは思いますが、そのようなテーマに触れるプロジェクトに配属されてからでよいかと思います。自分が関わるテーマについて勉強するのが効率がよいので。

  • 営業 / マーケティング

  • 生産、調達、販売、在庫、原価(SCM)

  • 財務会計(一般会計、債権債務、資金管理、資産管理、経費)

  • 管理会計

  • ファイナンス

  • 人事(人材・組織)

このへんはアサイン後のプロジェクトに合わせてでいいかなと。(中途入社でMで入るなら読んどくとよいかと。読みました。)

あとは、両利きの経営とか、メタバースとか、ESG、ウェルビーイング、サステナビリティなど、流行っているテーマについては把握しておくべきと思います。

システム導入、DX/アジャイル

あえて情報技術(IT)とは分けましたが、論点をおさえるだけではなく、実行フェーズにおけるプロジェクトで役立つ書籍も紹介しておきます。IT/DX系のプロジェクトに入ったら、外部の開発ベンダーや社内のエンジニアとコミュニケーションを取ってプロジェクトを進めることも出てきます。そのときに、素人で戦うことはできない。ある程度の知識をinputしながら進めていくことをオススメします。

『システムを作らせる技術』は分厚くて非常に詳細に記述されているため、オススメではあるのですがシステム化プロジェクトが始まってからでよいです。入社前とかに読んでも多分、イメージができないと思うので、そういうプロジェクトに入ったらシステム導入系の本を読んでみてください。

全社戦略

こちらも総合コンサルファームだと、全社戦略のような視点を考えるのは戦略部門か、SM以上のロールになったときか、Industry部門に所属して業界や企業の課題を考えるときと思ったので、あえて「企業活動/機能」の後ろに置きました。視点は間違いなく広がるので、どこかのタイミングで読んでおくとよいかと思います。

基本で読みやすい。戦略というと中期経営戦略や事業戦略を思い浮かべる人が多いと思うが、コーポレートサイドの目線は早くから持つべき。

  • 全社戦略では何を考えるのか

  • 事業ポートフォリオ・マネジメント

  • シナジー・マネジメント

  • 全社ビジョン/全社組織の設計 等

終わりに

いかがでしょう?他の人がオススメしているものと同じ本もあれば、「あれ?こんな簡単のでいいの?」といった本もあったと思います。個人的には、プロジェクトに入ればがっつり専門的な情報に触れるので、普段自分を高めるような本については、易しめの本を読んでしっかりと吸収することが大事かなと思ってます。それなりに読まれているものだったら何でもいいです。差が出るのは書かれてるエッセンスをしっかりと吸収して実践で使えるかどうかです。

ということで、今回は基本的なものを紹介しました。特定領域の知識・スキルを身に付けたり、マネージャ以上向けのものについてはまた別の機会に書いてみようと思います。

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