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#99 "クソリプ"の動機を見事にとらえる一節を紹介しよう。

本コラムは、音声配信プラットフォーム・Voicyでお届けした内容をテキスト用に整形しています。AIによる編集・校正が入ってます。最後にVoicyリンクもあります。テキストでサクッと読みたい方に。

「僕は、金と権力が欲しい」

こんなポストを見たら、あなたはどう反応しますか?

今回は「クソリプに対する護身術」を考えてみます。

クソリプ、皆さんも目にしたことがあるでしょう。自分が受けた経験がある方もいるかもしれません。僕自身も発信活動を行っているので、思い返せば何度か”認定”できるものがありました。

※このカルタ欲しい!笑

ネガティブな攻撃性のあるコメントは、ポジティブなものよりインパクトが強いため、どうしても「傷跡」が残ります。

今ちょうどこのタイミングは、ダウンタウン・松本さんやホリエモンさんに関するニュースが話題で、いわゆる”俗っぽい”ネタからか、(当事者からすれば)クソリプがたくさん目に入ってきます。

YouTubeとかヤフコメとか、たまに”怖いもの見たさ”でコメント欄を見に行きます。ヤな性格です笑。

より身近なところだと、YouTube登録者35万人のアミティ先生がクラウドファンディングで3000万円を集められたことが話題です。同じ京都のNFT仲間として仲良くさせてもらっている先生が、「クラウドファンディングを始めます」とYouTubeで発表した時、コメント欄をのぞきにいきました(コソコソ👀)。

応援の声が大多数でしたが、やはり一部クソリプが見られました。それを見て「先生、大変だなー」とww。

「心のバリア」を

クソリプを飛ばす人を変えることは不可能ですし、そんな労力を使う時間も勿体ないお化けです。

だから、クソリプを受け流せる、ないしは"食らっても”傷つかない「心のバリア」を張るのに、非常に効果的な一節を本に発見したので、今日はそれを紹介したいと思います。

飲茶さんが書いた『史上最強の哲学入門』という本に、ドイツの大哲学者ニーチェに関する解説があります。

ニーチェはルサンチマン(いわゆる「嫉妬」)を持ち出して、「信仰や道徳、下劣な価値観っていうのはただの”弱者のルサンチマン”だ」という論考を展開します。

クソリプを送る人の心理を推察すると、やはりその背景にはルサンチマン、つまり嫉妬心があるのかなと思われます。

インフルエンサーの輝かしい面、”自分にはできないことを成し遂げている人”への攻撃的な態度に、ルサンチマン、すなわち嫉妬の感情を爆発させていると。

ニーチェはルサンチマンの本質を喝破しました。ニーチェという名前自体は多くの人が聞いたことがあるでしょう。「神は死んだ」という有名なフレーズも残ります。ニーチェのルサンチマン論については、興味があれば調べてみてください。

僕がここで紹介したいのは、「飲茶さんが解説する”ニーチェのルサンチマン”」です。こう、グイグイと心を刺してくる感覚を覚えたので、抜粋して紹介させてもらいます。

「僕は、金と権力が欲しいです」

どう思うだろう? 世間的な印象としては「なんて嫌らしい人なんだ」と思うのではないだろうか? 意地汚い。おこがましい。欲望まみれの俗的な人。たいていの場合、そういう発言をする人にはそんな印象がついてまわる。
でも、よくよく考えてみてほしい。いったい、この発言のどこに問題があるのだろう?

金と権力。それは明らかに生を充実させる要素である。実際の話、「金も権力もない人生」と「金も権力もある人生」、どっちかを選べるとしたら、普通に後者を選ぶはずである。でも、後者を目指すと公言すると、途端にみんな嫌な顔をする。
理由は明白である。 ほとんどの人々が、それらを得ることができないからだ。
(省略)

彼ら(当記事における「クソリプを飛ばす人」)は、イソップ童話でいうところの「取れないブドウをすっぱいと言ったキツネ」と同じである。そのキツネは、ホントウはブドウが欲しくてたまらなかった。実際にブドウが食べられるとしたら、間違いなく食べた。しかし、ブドウは食べられない高さのところにあったため、彼は自分の都合で、ブドウの「価値」を落としめる。

「ふん、あのブドウはすっぱいに違いない。ああ、食べなくてよかった」

このキツネが、まっすぐに人生を生きていないことは明らかである。 そして、 そのうち、同じようなキツネが集まってきて、「ブドウを欲しがらないことは善いことだ!」という道徳や教義を打ち立て始める。

彼らは、ずっと心の中で取れないブドウへの「恨み (ルサンチマン)」を抱きながら、ブドウを欲しがらない無欲な自分を誇りに思うのだ。
そして、もしそこに、がんばって飛び上がり、うまいことブドウを手に入れたキツネを見たら、彼らは「なんて意地汚い」と見下し、「別にブドウだけが人生じゃないのに、あんなに必死になっちゃってさ(笑)。自分なら、そんなものを欲しがったりしないね(笑)」という歪んだ価値観を持ち出して内面的に勝利することで、恨みを晴らし自分をなぐさめるのである。

「史上最強の哲学入門」から

シビれますよね笑
ここから「ニーチェはこういった歪んだ人生を、ただの欺瞞に過ぎないと断言する」と結びます。

つまり、本当は自分も欲しい。
そういう気持ちから目を背けて、「無欲って素晴らしいんだ」という価値観にすがりついた”情けない姿”、これがニーチェの説いた「弱者のルサンチマン」というわけです。

ルサンチマン爆発させてやがんなー

「クソリプ」は現代におけるルサンチマンの”カタマリ”です。このクソリプ発砲の動機や衝動について、ニーチェが100年以上も前に説明をくれています(もちろん、「クソリプ」のいう言葉は当時ありません笑)。

ニーチェは「超人思想」を展開します。その思想スタイルが基本的に”マッチョ”なため、ハマる人にはハマるといった感じでしょうか。「信仰や道徳、何かにすがる気持ちを”弱者のルサンチマン”だ」と言い放ちます。その思想は当時の世間には受け入れられず、彼は大学教授の座を失った、とあります。

しかし、現代では飲茶さんのような方が分かりやすくニーチェの思想を解説してくれます。後世まで名を残す偉人が、当時こんなことを言っていたと知ると、今、現代だからこそ「あー、なるほどな」と妙な説得力をもって響くことがあります。

クソリプを目にしたら(or食らったら)、「あぁコイツ、ルサンチマン爆発させてやがんなー」一笑に付すぐらいが、健康的にXライフを送るコツなのかもしれません。


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