小池知事、メディアにとっての利用価値がなくなる

 この1か月間、小池知事は自らの入院騒動と木下都議の「辞めろ・辞めない」問題でメディアの注目を集めてきました。私も注目してきたひとりです。約4週間の不在により「重病」説まで流れましたが、元気な姿で復帰することにより、そうした懸念を一蹴した形です。また、木下さんが急転直下辞職して、目の上のこぶは排除されました。小池知事にしてみれば、めでたし・めでたしの結果のようにも見えます。

 でも、そうとは言い切れない。メディアに露出することで自分の価値を維持してきた小池知事にとって、一連の騒動の収束は「話題の枯渇」を意味しているのではないか。つまり、今後、メディアの気を引くネタがなくなり、取り上げてもらえる機会が激減する可能性があるという事です。

 前例があります。小池知事1期目、築地市場の豊洲への移転問題がすったもんだの挙げ句、豊洲移転決定で一段落した2017年末以降、メディアは潮が引くように小池知事への関心を失いました。実際、都庁の記者クラブからは何人もの記者が都庁を去り別の部署に異動していきました。この年の秋に起こっていたのが、衆院選に絡む「希望の党」のドタバタです。今年10月、都民ファーストの会が国政政党「ファーストの会」を立ち上げようとした一件と、どうしてもパラレルな関係に見えてしまいます。

 小池知事はこれまで以上に都政に邁進すると明言しています。当面、それぐらいしかやることがないというのが本音でしょう。11月30日から第四回都議会定例会が始まります。例年、この四定は地味な都議会ですが、その冒頭の所信表明で、小池知事はおそらく、アフター・コロナの東京像を高らかに歌いあげると思います。バラ色の未来を語るかもしれません。それはそれで重要なことですが、メディアはほとんど関心を示さないでしょう。都知事の仕事をするだけの小池知事には利用価値がないからです。

 次回、小池知事がメディアの注目を浴びるのはいつでしょうか。来年夏の参院選の前か、健康不安が再燃したときか。いずれにしても、「メディアに取り上げられてなんぼ」の政治家・小池百合子です。しばらくは、都知事の業務に専念する姿勢を示すしかない。メディアからそっぽを向かれる小池知事にとって、雌伏の時がしばらく続くことになるでしょう。

 

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