見出し画像

レポ76:苅田港北防波堤灯台(2021/5/11)

福岡県で2港しかない重要港湾のうちの一つ、苅田(かんだ)港。今回は広大な港の出入りを見守る長大な波止の先にある灯台を訪れました。

=================================

年々その数を減らしている灯台を護るため、灯台病の記者が灯台訪問の魅力などをお伝えする『全国の灯台巡礼レポ』。灯台マニアの方のみならず、灯台のある風景を通じて地域の魅力を再発掘したり、自身の原風景を護りたいと願う地元の方々にも参考にして頂ければ幸いです。

※今後も不定期で灯台情報を更新していきます(無料)。ご興味のある方は『全国の灯台巡礼レポ』をフォローお願いします

◼️レポ76:苅田港北防波堤灯台(2021/5/11)

画像1

福岡県北九州市南部に隣接する京都(みやこ)郡苅田(かんだ)町。眼前には周防灘(すおうなだ)が広がり、臨海部は工業地帯となっています。

本日訪れる灯台には西鉄バスの「トヨタ九州苅田工場前」駅で降車します。付近には商業施設など何もありません。目の前には苅田北九州空港へ通じる道路があるのみ。

画像2

苅田町は、陸路は東九州自動車道、空路は北九州空港、そして海路は国際貿易港の苅田港と、陸海空でそれぞれ物流インフラがある利便性の高い土地のため数多くの企業が進出しています。

灯台のある防波堤に向かうには、トヨタの看板を右折した突き当たりです。

画像3

とにかく真っ直ぐ続く道。天候は曇天なので早歩きでズンズン進みます。

画像4

突き当たりまでくると左手に防波堤が見えてきました。ムチャクチャ長くて先端が見えません。

画像5

ガードレールの隙間に脇道があるので、ここから防波堤へ向かいます。

画像6

ここから長い長ーい防波堤を歩いてゆきます。

※平日の日中など、時間帯によっては防波堤への進入が禁止されています。必ずルールを守って訪問しましょう。

画像7

防波堤から右手を見ると不思議なものが海に浮かんでいます。調べたところ、恐らく昔の水中貯木場(ちょぼくば)のようです。原木を海中に浮かべて保存する場所のようですが、木が無ければ不思議な異世界みたいでした。

画像8

付け根部分からでは赤灯台がはるか遠くに小さく見えます。防波堤も年季の入った感じがしますね。

画像9

防波堤はL字のような形をしており、先端まで全長約1.1km(目測)ほどあります。

画像10

防波堤の曲がり角まで来ました。半分は越えて残り500mほどですが、まだまだ遠くて灯台はちんまいです。ここにも分岐があり、釣り座が沢山確保できるので人気の釣りスポットのよう。

画像11

だいぶ近づいてきました。真上からだとあまり分かりませんが、防波堤も高さ2mほどあるので落ちないように気を付けて歩きます。

うっすらとアスファルトの工事跡が見えるのは恐らく灯台までの電線を埋め込んでいるのでしょう。

画像12

ようやく先端に到着です。この日も平日の夕方なのに防波堤全体で10人以上はいたでしょうか。先端部は船着き場のような少し広いスペースになっていました。珍しいですね。

画像13

形は変哲の無い赤灯台ですが、釣りマニアの方たちからは「赤灯波止」と呼ばれて親しまれています。平成3年(1991年)に改築していますが、初点灯は昭和37年(1962年)6月とのことなので、半世紀以上にわたり苅田港を出入りする船舶と釣り人を見守ってきました。

画像14

なんか不思議な波止で、ふつうに下から海水が溢れ出ていました。穴が開いてある構造なのでしょうか。

画像15

反対側はまた少し消波ブロックの形が異なっており、左右非対称の構図が楽しめます。

※防波堤は、場所によっては狭い所、滑りやすい所があります。また時間帯により基礎部分が沈むこともあるので、訪問時はくれぐれもお気を付けください

画像16

実際に係柱(ボラード)がありますので、船着き場として使用されていたのでしょうか。こちらも随分と歳月を感じます。

画像17

右手の防波堤の先端には白灯は苅田港東防波堤灯台があります。灯台がある防波堤が繋がっているのは「神ノ島(こうのしま)」という無人島で、満潮時にしか船で渡れない島の形が横になったお釈迦様のようだ(画像では左から頭、手、胴の順)ということでメディアにも取り上げられたことがあるそうです。

画像20

苅田港は、始まりは北九州一帯の筑豊炭田(ちくほうたんでん)から産出された石炭や石灰石を積み出すために昭和の始まりに開港されました。

筑豊炭田は現在では閉山していますが、戦前は日本最大の規模を誇っていたので、当時から苅田港周辺には企業が進出し、現在では企業城下町の様相を呈しています。

画像18

工業地帯の防波堤というと殺風景な変哲のない灯台訪問になるかと思いましたが、近年では苅田港の工場夜景が注目が集まっているようです。夜の訪問もまたオツなものかもしれません。

画像20

村上 記


年々その数を減らしている灯台を護るため、灯台を訪れる魅力などをお伝えするプロジェクト。灯台マニアの方のみならず、灯台のある風景を通じて地域の魅力を再発掘したり、地元の原風景を護りたいと願う方々の想いを大事にしていきたいです。