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中学受験をふりかえる④

コロナ禍であってもピアノコンペは出場していたし、先生(以下Y先生)との関係性もいい中で教本も着実に進めることができていた。何より本人がピアノを好きだったので、この道に進む可能性は十分にあり得た。

しかし、Y先生にピアノの道も考えてみない?と言われたときは、ちょうど通塾開始から1ヶ月ほどが経過していて、厳しい個人塾ライフにやっと慣れてきた頃でもあった。

本人に聞くと「ピアノも続けたいし、塾も行きたい」となんともやる気に満ち溢れた答えが。大事なのは優先順位だ・・・。

狡猾だが正直なところ、どちらにも保険をかけておきたかった。
もし、ここで通塾を優先すると、教本の進みは遅くなる。だけど、しばらく経って「やっぱり内部進学」となったとき、終えるべきピアノの課題が終わっていないことになり、取り戻すのは決して楽ではない。が、もしピアノを優先した場合、今度は中学受験のための基礎を積み上げる期間に大きなハンデを抱えてしまうのではないか。

Y先生自身も中学受験経験者でかつ音大出身なので相談に相談を重ねたが、先生曰く時代も時代だし、そこまで準備の要らない学校だったため最後までレッスンは継続していた、とのこと。加えて先生は音楽一家でお母様もピアノ講師である。背景がそもそも大きく異なっていた。

やはり、まだ、決めきれない。

そこで意を決して熱い個人塾の先生(以下A先生)に相談することにした。

これまで一生懸命ピアノに取り組んできたこと、本人としても音楽の道を視野に入れておりレッスンを続けたいこと、ピアノは毎日の練習が不可欠なこと(娘の練習時間は通常時約2時間)、だけど中学受験の道も残したいこと・・・

中学受験を経験した方からしたら、はっ倒されてもおかしくはないくらい、甘いことは百も承知である。ましてや生徒を難関校に合格させることに人生を割いてくださっているA先生だ。

しかし先生の返事は意外にも「わかりました。考慮します」とのことであった。
内容の概要はこうだ。なんともありがたかった。
「そんな気持ちでは中学受験には立ち向かえません。が、本人の気持ちを無碍にはできない。やれるだけどちらも全力で挑戦してください。練習時間を確保できるよう宿題はなるべく塾でやらせるようにします」

A先生はどこまでも熱い人なのである。よし、それならばどちらも頑張ろう。
季節はすっかり冬になっていた。


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