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自動翻訳は言語翻訳家の職を奪うか?

最近、npでこんな記事があった。

「TOEIC高得点者は涙目? TOEIC900点程度の和文英訳が瞬時に行える機械翻訳エンジン登場(https://newspicks.com/news/2336629?ref=user_2488064)」

英語が出来るとされとるピカーにしてみれば、これが事実とすれば大歓迎やんか。社内翻訳係として翻訳ちゅう雑用やらんですむし笑

しやから今回はホンマにそんな嬉しいことが起きるのか、その実力を検証しつつ、ついでに「AIによる自動翻訳の性能向上が翻訳家の仕事を奪うのか」について検討してみたで。

もちろん、ガチンコで検証する気はないから、サンプル数は1。「みらい翻訳」と「Google翻訳」を比較してみるで。ちな、英語から日本語の方が簡単やから、今回は日本語→英語の翻訳で検証したwww


実力はいかに?

今回、翻訳するのはこれ。Wikiから取ってきた文章や。「オリジナル」と呼ぶで。

「センサやデータベースなどから、ある程度の数のサンプルデータ集合を入力して解析を行い、そのデータから有用な規則、ルール、知識表現、判断基準などを抽出し、アルゴリズムを発展させる。なお、データ集合を解析するので、統計学との関連が深い。」(Wikiペディア「機械学習」概要より。https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A9%9F%E6%A2%B0%E5%AD%A6%E7%BF%92)

さて、まずはみらい翻訳からや。

「From sensors and databases, a certain number of sample data sets are input and analyzed to extract useful rules, rules, knowledge representations, and criteria, and develop algorithms. Since the data set is analyzed, it is closely related to statistics.」

続いてGoogle翻訳。

「We extract a useful number of rules, rules, knowledge expressions, judgment criteria etc from the data by inputting a certain number of sample data sets from sensors and databases and develop algorithms. Since data sets are analyzed, they are closely related to statistics.」

あとは、分かるな、、、って分からんかwww

パッと見た目、ほぼ同じ感じやけど、どっちに軍配挙げるかゆうたら、そらGoogleやねん。


Google翻訳は主語を補完する

オリジナルの最初の一文みてみよか。

「センサやデータベースなどから、ある程度の数のサンプルデータ集合を入力して解析を行い、そのデータから有用な規則、ルール、知識表現、判断基準などを抽出し、アルゴリズムを発展させる。」

これ見て、なんか気がつかん?

気がつかんやつは、TOEIC800点もまだ遠いでwww

この文章、主語がないやん。これな、日本語を英語にする上で必ず翻訳家が頭を使うところやし、従来の自動翻訳で地味に大きな課題になってたところなんや。

その観点で、もう一度、みらい翻訳とGoogle翻訳をくらべてみよか。

みらい翻訳。

「From sensors and databases, a certain number of sample data sets are input and analyzed to extract useful rules, rules, knowledge representations, and criteria, and develop algorithms.」

これも主語ないやん。英語なのにwwww 

※いや、わかっとるで受動態かて主語あるでwww

最初の一文「From sensors and databases, a certain number of sample data sets are input and analyzed to extract useful rules, rules, knowledge representations, and criteria」は、いわゆる受動態にして、オリジナルに主語がない文章を上手く訳しとる

けど、そのあとに続く「and develop algorithms.」は、どう見ても主語が欠落しとるやんな。これ、結構ヘンテコな感じすんねん。っていうか、英語になってへんのや。

続いて、Google翻訳。
We extract a useful number of rules, rules, knowledge expressions, judgment criteria etc from the data by inputting a certain number of sample data sets from sensors and databases and develop algorithms.」

これ、さりげなくやけど、主語にオリジナルにはなかった「We」が補完されとるやろ。これだと、ちゃんと英語になっとるやんか。

ちな、ワイがしばらく前に、Google翻訳のすごさにひっくり返ったのは、「日本語→英語」で日本語に主語がなくて困るちゅう問題が克服されつつあるからやったんや。

主語がなくても平気な言語しか知らへん日本人からしたら「些細なことちゃうの?」って思うかもしれへんかもしれん。けど、日本語でゆうたら「てにをは」が無茶苦茶な文章みたいなもんで、「私は会社で仕事をします」ゆうを「私を会社に仕事はします」ゆうたら、むっちゃ変に聞こえるやろ。些細なことちゃうやんか。英語を使っとる人間からしたら、主語がないのこれと同じ、おかしいことこの上あらへんのや。

まあ、そんなわけで、みらい翻訳が「TOEIC900点くらいの日本人と同程度の翻訳能力」ゆうたら、まあそんなもんやろなー、って思うけど、もう少しやろうな。Google翻訳に肩を並べて使い物になるにはwww

さて、ここからが本題や。


要するに自動翻訳は言語翻訳家の職を奪うのか

でな、ここまで長くなったから、いきなりワイの結論いくで。

当面の間は、仕事はなくならへん。良かったな~、翻訳家のみんな!

「みんなが、自動翻訳を使う訳やない」

ちゅうアホみたいな理由ちゃうで(まあ、これもあるんやろうけどなwww)。

最大の理由は、この記事の体験そのものや。要するに、英語が堪能やないと、「この自動翻訳が合っているのかどうか、分からない」「だれかに検証して、お墨付き貰わんとあかん」ゆうニーズが必ず残るんや。

昔は「エクセルで計算した後に、ソロバンか電卓で検算」ってやってたし、「FAX送った後に、念のため電話でFAX送付の連絡と内容の伝達」ってやっとったやろ。

自動翻訳がプロの翻訳家よりも確実ゆうのが浸透するまで(たぶんあと15年くらい)は翻訳家の仕事はなくなりそうもあらへん

え?ビジネス文書以外の世界では、将来も翻訳家が必要なのはあたりまえ?

まあ「あたりまえ」とまではいわれへんのや。将来のビジネス文書以外の翻訳は「自動翻訳+ライター/日本人作家」によるものになる。自動翻訳した文章を、日本語が巧みなライターや作家がリライトする形式やんな。

プロの翻訳家が残るのは、文化的な背景理解がないと訳せないようなケース、言語トリック的なダブルミーニング(=ダジャレ)などの理解がないと訳せないようなケースに限られる

しやから、特に文芸作品では、自動翻訳後そういう要注意翻訳ポイントを翻訳家が注釈を加えた上でライターに渡すというような手順になっていくかもしれへんな。

ちゅう訳で、現在のような翻訳家の形態が継続するのはあとせいぜい5~10年ってところ。その後は、現代とは異なる役割で、翻訳家の仕事が残っていくやろう。

おしまい。

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