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ハイリスク・ハイリターンの謎

「ハイリスク・ハイリターン」ってあるやんな。これ、不思議や思わへん?ワイ、ファイナンスの勉強始めたときにこの意味がわからんくて、難儀したんや。

「β(ベータ)が高い=不確実性が高い=リスクが高い」株式は、「高いリターン」ゆうやんか。CAPMの式でも、

Ri=Rf+βi×(Rm-Rf)

って書いてあるやんか。

でも、これ、おかしいやろ。だって、「株価はランダム・ウォークなんやから、どの株式も期待値は同じはずや~ん」、「ベータが高いゆうことは、下振れもすれば、上振れもするはずやろ」って思うてたんや。

昔のワイに、「ハイリスク・ハイリターン」説明できるやつおる?

今のワイやったら、こう説明するで。

手元に100万円を持っていると想像してや。くじAは、100万円を払い、勝つと150万円、負けると50万円や。もう一つのくじBは、100万円を払い、勝つと200万円、負けるとゼロ円や。勝ちと負けは同じ確率、つまり期待値はいずれも同じ100万円やんな。

ここでモマエには3つの選択肢が与えられるで。

ア. くじを引かない

イ. くじAを引く

ウ. くじBを引く

この三つの選択肢に「選びたい度合い」の順番を付けてみてや。

「期待値が同じなので、どれでもよい」て答えるやつはおらんやろ。ふつうw

多くの方は、ア、イ、ウという順番をつけるやんか。アがもっとも確実性が高くて、イ、ウとなるにしたがって確実性が下がる、別の言い方をすれば、不確実性が上がるからやんな。

ちな、下がる金額、失う金額の多寡やなく、不確実性そのものをファイナンスの世界では、「リスク」と呼んどる。「確実に」お金を失う場合、それはリスクとはゆわへんねん。

でやな、こうゆうリスクを回避する傾向を持つやつを、経済学では「リスク回避型効用関数を持つ」と表現するんや。経済学やファイナンスの理論においては多くの場合、投資家は「リスク回避型の効用関数を持つ」ことが前提となってるんやで。普通、そうやからな。

一方、ウ、イ、アの順を選ぶ投資家は「リスク嗜好型の効用関数を持つ」と表現されるんや。まあ、おるやろ。たまに。死にたがりの麻雀漫画の主人公とかwwww

でやで、実際、モマエがくじ引かなアカンくなったとしようや。しかも、くじBを引く羽目になったとすんで。もし少しのお金を払ってでも、よりリスクの低いくじAに代えられるならそのお金を払いたいと思うはずやんか。

モマエやったら、なんぼ払う?

くじBをくじAに変えるのにいくら払うかはもちろん人それぞれやから、1,000円だけ払う人もいれば、10万円を払う人もいるやろ。それは、その人の「リスク回避度」によって決まるんや。けど、とにかくその「追加で払ってもええ値段」分はくじBより、くじAの方が、価値が高いゆうことになるやんな。

仮にやで、BをAに変えられるのなら、25万円までを支払うことを考えたとすんで。モマエにとっては、くじAの価値はくじBよりも25万円高いゆうことやな。式で表せばこうなるやんか。

くじA=くじB+25万円

ま、せいかくには大なりイコールとかになるんやろうけどww

ここからが大事やで。

この式の意味をもう少し考えてみると、くじBの結果に加えて追加で25万円を受け取れるならば(期待値が25万円上がるなら、と言い換えてもええで)、それはAを選ぶことと同じ価値だと気がつくやんか。

つまりやで、不確実性の高いくじB(より高いリスク)でも、25万円の上乗せ(より高いリターン)が得られるんやったら、くじBを選択できるというこの構造が、一言で言ってしまえば「ハイリスク・ハイリターン」やね。

その上でや。

株式の話に戻るとな、この「ハイリスク・ハイリターン」ちゅうのは、「ハイリスクにハイリターンを『期待する』」ゆう話やねん。

期待しとるのは、投資家の勝手で、ほんまにそうなるかはわからへん。

もし、株価が完全にランダムウォークなら、その期待はするだけ無駄や、ゆうことになるやろな。

せやけど、ここで、大事なことは、その期待の対象の株式の実態には事業があって、株主が任命した取締役がおるゆうことやねん。

取締役は、とにもかくにも「期待リターン」で事業価値を評価して、投資の可否を判断するやんか。つまり、そこで投資家が期待するリターンを生み出す努力が行なわれるわけやな。もちろん、その努力が実るかどうかは誰にも分からんし、その努力や成果を市場が正しく捉えるかどうかも分からんのやけど、少なくとも、この構造に「ハイリターンを期待する」根拠が生まれるんや。

20年近く前のワイやったら、この説明聞いて「トドはん!天才や~」ゆうでwww

当たり前の結論にたどり着いたように聞こえるかもしれへんけど、この話、そんな当たり前の話ちゃうで。

それにな、ここに出てきた「ハイリスク・ハイリターン」ちゅうのは、モマエらがまず思い浮かべる「ハイリスク・ハイリターン」とは、たぶん意味が少し違うんやで。

たとえば、競馬の万馬券(馬券は1枚100円なので、払い戻しが10,000円以上の馬券を万馬券と呼ぶんやでw)は、一般的な用語における「ハイリスク・ハイリターン」の典型やろ。実現する確率が低い代わりに当たれば払戻金は100倍以上になるからやな。

これ、ちょっと考えてみようか。

馬券1枚の期待値は約80円に調整されてるんやって。せやから、20円は主催者が取るゆうことやな。けっこうえげつないなww

ちゅうことは、やで。どの馬券を買っても、購入枚数が増えれば増えるほど、最終的に1枚当たりのリターンは80円に近づいていくゆうことやんな。もし、倍率が確率やったらな。

万馬券もその他の馬券も期待値はすべて同じで、万馬券に追加のリターンが発生していないという意味では、万馬券は、ハイリスクに対してハイリターンになっているとは言えんやろ。

より厳密に言えば、「万馬券は倍率>確率ゆう関係があって、実は期待リターンがでかいんやー!」ゆう話もあるのかもしれへんけどな。普通、そこまで考えて、「ハイリスク・ハイリターン」とかゆうてるわけやないやろwwwww


ま、今は、あまりピンと来ないかもしれへんやろうけど、ファイナンスにおける「ハイリスク・ハイリターン」というのは、万馬券とはまったく違う話やって覚えておいてやー。


「なんや『ハイリスク・ハイリターン』とか、何も考えんでゆうとったわー。もっとちゃんとファイナンス勉強せなあかんなー」ちゅう、殊勝なモマエはこの本嫁wwww

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