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4年前、テンペを肴に語っていたことが実現して嬉しかった話

4年前、無責任に自由を気取っていたぼくは神戸の人だった。

昼も夜も飛び回り、しゃれた仲間とはしゃいでいたわけだけど、その中にインドネシア人が2人いた。

1人は先日ジャカルタで盛大な結婚式を挙げたエドウィン。もう1人は本日の主役アグーン。彼らは神戸大学医学部に短期留学に来ていた。

エドウィンはお金持ちの家の子だったけれど、アグーンは新興中流家庭で商人の子というバックグランドで、アグーンは初海外でインドネシア人以外と英語でコミュニケーションを取るのが初めてだった。

だからなのか、ぼくらが出会ったときは彼はちょっとビビっていたように思う。とても控えめに見えた。

当時、界隈で一番暇をしていたぼくは、怪しいインドネシア語をエサに彼らをいろんなところに連れ出した。辛いものが好きだというから韓国料理屋に行ったり、伏見稲荷に行ったり、教授へのお土産をいっしょに選んだり。

彼らは2人で住んでいて自炊をしているという話だったから、そろそろテンペが恋しくなるころだろうと、テンペを差し入れた。

テンペとはインドネシアの発酵食品で大豆をテンペ菌で発酵させたもの。揚げ物にするのが定番だけれど、いろいろとアレンジが効くらしいインドネシアの国民食。おいしいやつ。

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インドネシアではこんな感じで屋台でテンペの揚げ物が売られてる。たぶん左端がテンペ。

彼らはテンペが日本で食べられるとは思ってもみなかったようで、とても喜んでくれた。当時はハラールショップにしかおいてなかった。

せっかくだからテンペパーティーをしようという話になり、今日の見出し画像、テンペを油でカラッと揚げたものをホットソースをつけたりつけなかったりしながら、いろいろと語り合った。

インドネシアのジャワ島は東へ行けばいくほど食べ物は辛くなるだとか、スンダ人はどうで、ジャワ人は〇〇でとか、ぜんぜんなんの話をしているのかわからなかったんだけど、要するに日本で言うところの関西人はこういう人たちで…というやつのインドネシア版らしい。

知らんがな、というレベルの身内ネタにしか聞こえなかったのを覚えている。だからほとんど覚えていない。余談だけれど、ジャワ人のことを英語でJavaneseと言って、初めて聞いた時Japaneseに聞こえて、インドネシアってそんなに日本人の血が混じってるのか、聞いたことないぞと思っていた。気づくのにけっこう時間かかった。

そうした会話の中で、エドウィンは医者になると言っていたけれど、アグーンは研究者志望で、今回は短期プログラムだけれど叶うことなら将来日本で研究したいんだと言っていた。

日本の研究環境が彼にとってベストなのかどうかはわからないけれど、叶うといいなと思ったし、彼が日本を選んでくれて単純にうれしかった。

去年の夏、インドネシアで彼らに再会したときはエドウィンは勤務医に、アグーンは大学に残って研究を続けていて、奨学金がもらえるように頑張っていると言っていた。エドウィンは彼について、お世辞かどうかは知らないけれど、成績は良いからたぶん大丈夫、彼は日本で君たちとまた会えると言っていたっけ。

本人は、「彼女が待ってくれるかどうかは不安だけれど、ぼくは研究を続けたいんだ。日本に行きたい。」と言っていた。彼には大学時代から付き合っている彼女がいて、インドネシアでは女性は大学を卒業するくらいの歳で結婚するのが一般的で、彼らの両親は早く結婚して子供をもうけて欲しいと思っているのだそうだ。

この悩みはどこの世界も変わらない。社会が急速に発展する中で、若い世代は新しい価値観に適応できるけれど、親世代は旧来の価値観のままで対立してるんだろう。アグーンたちは何度も話し合って、ぼくらの世代は親世代とは違うと割り切ったらしかった。

それで、つい先日「Yuki さん、鳥取に行くことになったよー、米子に住むよ、3年間だよ、奨学金とれたよ」と連絡が来た。

地球の裏側のセントビンセントなんていう辺鄙なところにいるぼくが言うのもなんだけれど、遠いなと思ってしまった。会いに行き易い神戸か大阪が良かった。

最近、Instagramにガンプラの写真ばっかりアップしてたのは奨学金ゲットして肩の荷が下りたからだったのか。そういうことだったのか。

とはいうもののすごくうれしかった。

4年も前の、もしかしたらもっと前から抱いていた夢を掴んだんだから。すごい。

ぼくは彼に対し何もしてないしぜんぜん関係ないけど、自分のことのようにうれしかった。

ぼくは単純なので、いま結構インスパイアされている。

そうだよな、4年前の当時、いっしょにはしゃいでいた中で人生の次のステージに進んでいないのはぼくだけだもんな。しっかりしないといけないよな。指くわえて羨ましそうに見てるだけじゃだめだよな。ちょっとくらいの失敗や困難でへこんでちゃだめだよな。

そんな気持ちになっている。

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