俺、20か国くらいの人たちとキューバでいっしょに勉強してたんだよ

俺、キューバに留学してたんだよ、という人に会った。

以前、この国の教育費は高いから大学なんてまじで奨学金がないと無理というような話をどこかで書いた。その話を聞いたとき、政府からの奨学金、アメリカの奨学金、メキシコの他、キューバも奨学金をだしているという話だった。

メキシコやキューバに行く人たちは当然スペイン語能力を求められる。

キューバは医療支援でここセントビンセントに入っている。グアテマラにも入っているという話だから、少なくともこのカリブ地域を含む中南米に援助をだしているのだと思う。

キューバといえば、社会主義国で、ぼくら西側諸国の定義での私有財産は認めていない、ぼくらとは異なるルールを持った国だ。そして最近アメリカとの関係が少し悪くなったようで米ドルをキューバに持ち込むのが少しめんどくさくなっているらしい。

経済制裁が発動とかなんとか言われると、経済にかなりのダメージが与えられる。輸出入が厳しく制限されたりゼロになったりする。

けれど、それはあくまで欧米先進国で日本を含む経済大国の西側諸国での話。実際は、その他の国というのがたくさんあって、そういった国と表に裏に国交を結んでいる。

そのことを、そのキューバに留学していたぼくと同世代の青年と話していて思った。いや、なんとなくわかっていたことに、やっぱりそうなのかという気持ちと、そういう仕組みねという納得感があった。

青年は、「君はアジア人だろ?台湾?日本?中国?」という聞き方をした。

ぼくは日本人だよ、君は珍しいタイプのビンセンシャン(セントビンセント人のこと)だねと返した。

はっはー、知ってる知ってる!” こんばんは ” だろ?わかるよ。俺はキューバで20か国くらいの人たちといっしょに勉強してたからね。バヌアツ、ラオス、ベトナム、タイ、マレーシア、カンボジアとか…。大洋州の国ももう少しあったけれど忘れてしまった。とにかく、君らアジア人というのはとにかく国籍を気にする人たちなんだろ?俺、ベトナム人にチャイニーチャイニーって言ってたらずいぶんと怒られたよ。けど、もう大丈夫、理解したからね

と言い最後に彼はぼくに向かってウィンクをした。

お前はなにもわかっていない、という気持ちを抑えつつ、うんうん話を聞いていた。彼の話からはそれ以上得るものはなかったんだけど。

そのとき、ふと思い出したことがあった。

5年くらい前、神戸に住んでいたとき、日本の大学に通って大阪で働いているというベトナム人と会った。英語の交流会か何かだったように思う。

神戸にもベトナム人コミュニティがある(たしかベトナム戦争の難民として来た人たち)けれど、それとは別でベトナムから神戸に来て日本語を勉強して大学に通って、というステップを踏んだ人で、長く住んだ神戸の方が好きだから大阪に引っ越すつもりはないと言っていた。近い将来、ベトナム人コミュニティのために何かしたいと思っているとも言っていた。

ぼくは当時、いまよりずっと英語に不自由していたこともあって、日本語とベトナム語、英語を流暢に話す彼女がすごく眩しく見えた。

すごいねと言うと、でもそんなに珍しくないのよと言った。彼女の姉はベトナムで通訳をしていてスペイン語とイタリア語を話すと言っていた。

ずっと、なんで極東に近い東の国で、英語じゃなくてスペイン語なんだろうと引っかかっていたんだけれど、それで点と点がつながった気がした。

キューバとのつながりでスペイン語だったんだなと。(実際のところは知らないけれど)

昔、リュブリャナでスロベニア人のお家に泊めてもらったとき、その子はフランス語でライターをしていて、ほんとはパリにでも行きたいんだけどねと言っていて、同じEUだから行こうと思えばいけるだろうに、仕事もネットで完結するようだしと思ったんだけれど、たぶん先進国基準ではギャラは安いんだろうなと思う。その安い原因は、フランス語ならアフリカ圏のフランス語ライターが安く請け負うからなんじゃないか。ベトナムのお姉さんのように後進国在住で、生活コストが低ければ安いギャラでも問題なく、なんならそれでも快適な暮らしができるんじゃないかとしか思ってなかったから。たぶん彼女ような人が多くいるんじゃないかと思っていたから。

ぼくがそのときも、今も何を思っているかというと、言語は専門性にはなり得ないんだなと。少なくとも先進国または生活費が高いところに住んでいる人にとっては。

だからといって言語ができなくても良いというわけではないんだけど。

グローバリズムってえげつない競争社会だよなと思う。



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