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新型コロナで中南米のギャング対策が無に帰す可能性もあるのね

久しぶりに中南米のCovid-19の状況を見てびっくりしました。というかブラジルがすごいことになっていてびっくりしました。日本時間の15日時点で感染者数20万人、死者数14,000人。

ブラジルがどれだけの医療レベルでどの定義でカウントしてるかわからないのでそれがすべてかどうかはわかりません。エクアドルのある県ではコロナ関連死が240件に対して、例年に比べ総死亡が10,200件の超過死亡があったりしてます。(≒これ全部コロナ関連死では?案件)詳しくは下記ブログ記事を。

ということは公に報告されてる情報よりも実態は悪いので協力隊の再赴任は思ってるより厳しいのではないかと思ったりもします。

ぼくは日本人を始めとする東アジア人はCovid-19では死ににくいと思っていたんですが、15日の国会で在外邦人の感染数が明らかにされて疑義が生じてきました。

既往症の有無や、どこの国の人なのか、何歳の人なのか等の属性がわかりませんが、単純に陽性患者の致死率としてみれば10%に近いので(サンプル数が少ないのであれですが…)欧米の平均にかなり近いんじゃないかと思ったりもします。在外邦人の超過死亡のデータも欲しかったりしますね。

さて、そろそろ本題、タイトルの回収に入りましょう。

中南米は麻薬カルテルを始めとするギャングというかマフィアというか反社会的勢力が長年問題となっています。なので男子向けの教育予算はこのエリアはギャング対策に結構費やされているようです。

ぼくはマフィアというやつは、行政の支援が届きにくい(or届かなかった) 人たちが自分たちで自分たちの身を守ったり生き残るために結束して武装したのが起源で、社会の端っこで持ちつ持たれつの関係を築き、法の支配の外で生きてる人たちだと理解しています。すごく簡単にいうといわゆる社会的弱者の集団だと理解しています。

なので、社会が発展してくれば、豊かになれば、そういった人たちに頼る人たちも少なくなっていき、社会の風当たりも強くなり存在しにくくなるものと思っています。日本におけるヤクザのように。

逆に社会が不安定になると、犯罪に頼らざるを得なくなるのかなと思っています。生き延びるために。

2か月ほど前のニュースですが、ブラジルのファベーラ(スラム街)でギャングが外出禁止を仕切ってるというニュースが流れてきました。ファベーラがどんなところかは映画シティ・オブ・ゴッドをぜひ見て頂きです。(単純にエンタメとしておもしろいです)

スラムに住んでいる人たちは、もとは地方から仕事を求めて都市にでてきて、勝手に(≒違法に)家を建てたりして住み始めた人たちなのでみんながみんな悪い人たちではないのです。ぼくもスラムには何度か足を運んだことがありますが、学校があったり教会があったりします。スラムの顔役と昼間に歩く分にはよそ者にとっても比較的安全です。

こういったところは往々にして行政サービスが届かない(警察が助けてくれないだとか、そもそも警察が信用できないとか)ので、自警団のような人たちが現れます。

銃やナイフなどの武器は権力として強すぎるので、悪しき誘惑を引き寄せます。みかじめ料を取るようになります。警察が介入しにくいので犯罪者の潜伏先にもなります。盗品が集まるようになります。縄張り内で麻薬の販売を始めるようになります。はい、もう立派なギャングです。で、縄張りを広げたい (=もっと金儲けしたい) のでギャング同士で争うわけですね。

なので、ギャングがステイホームを仕切るというのは自分たちの縄張りを守るための合理的な行動なので「正しいこと」をしているわけではありません。逆に、彼らに平時でもその存在理由を与えてしまう(困った時に助けてくれるじゃないか、コロナのとき外出禁止がきちんと守られるようにパトロールしてくれた…などなど)ので危ういなあと思ってみています。

こんなニュースも流れてきました。

これ、単純におもしろいニュースでもあるんですが、泥棒増えるだろうなあと思います。使用人はその家のことをだいたいどこに何があるかを把握しているものなので。警備員に分け前を渡す約束を取り付けて入れてもらうことは難しくないだろうなと。仕事がなくて困るのは使用人のような経済的に豊かではない人たちなので。

昔、誰かから聞いた「金持ちは我々(貧乏人)のことは気にかけないが、我々は彼ら(金持ち)の全部を見ている」という言葉を思い出しました。


メキシコでは、Netflixのドラマにもなっている麻薬王エル・チャポのマークが入った支援物資が市民に配られているようです。

これ、コロンビアの麻薬王パブロ・エスコバルとやり口が同じだなと。彼はカルテルで儲かったお金を貧困層に配ったり住宅を作ったりして貧困層の支持をとりつけ上院議員にもなりました。

エル・チャポのファミリーも同じことを狙っているのではないかと思ったりもします。つまり、貧困層の支持からの恩赦をアメリカに対し求めるようになるでは?と。そうでなくとも、このシンボル≒世の中にとって正しいことをしている事業、というイメージを植え付けることができれば、手広くビジネスを広げやすくなるんだろうなと思ったりもします。グレーなことも正当化し易いだろうなと。

世界銀行などの予測では中南米エリア(ベネズエラ以外)の経済はCovid-19のおかげで4.6%のマイナス成長だと試算しています。

その数値がどれくらいのインパクトなのかは、ぼくにはよくわかりませんが、南アジアの方では30年前の経済水準に戻る、なんていう予測もでていたりしていました。

5年ほど前、大阪で陽気なペルー人のおじさんに会いました。その人はペルー料理屋をやっていたのですが、「日本はペルーに比べたら天国みたいなもんや」とよく言っていました。リマではレストランにしろなんにしろ、なにか新しいことを始めると複数のギャングがみかじめ料を求めてやってくるのだそうで、払わなければ払わないで、いたずらという名の無茶苦茶をして営業を妨害されるんだと。

新しいことを始めることがとにかく難しいんだという話をよく聞いていました。

それが何年前の話なのかは知りません。けれど、そういう危ないイメージをぼくはずっとペルーに対して持っていたので、ペルー隊員から「首都はすごい栄えてて都会です」という話を聞くたびに、ペルーも変わったのかなと思っていました。

自分が伝え聞いた話や、本や映画の世界でしか知らなかった30年ほど前の世界がまた公に始まりつつあるのかと、これまでのギャング対策が水泡に帰す可能性もあるのかと思うと、パンデミック終息後に自分が現地に足を運ぶのも億劫になりそうです。

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