ブラックホールの旅人

前回の記事の続き。ここ1年の総括になります。当然のように北九州監禁殺人事件の内容を理解してることが前提となってる記事です】


「まず純子の家事のやり方について、私は不満を抱いていました。食事の点でいちばん驚いたのは、腐ったものを食卓に出して子供達に食べさせることです。冷蔵庫の食べ物は純子が管理していましたが、なかにカビがたくさん生えていたし、腐ったものがたくさん押し込まれていました。(中略)何十回も注意しましたし、通電するときもありました。しかし改善はされませんでした」……「消された一家-北九州・連続監禁殺人事件」より引用。

なるほど、今すぐ電気を流せ。それは緒方純子が悪いよ。

「好きな女の子が『とにかく不倫はダメ!』と(同僚に)言ってたからうっかり松永太に入れ込みすぎたりはしないだろう」と決意した数分後にこれである。しかも、冷静にそう判断している。


外のごはんと家のごはんは味が違う。

はじめは、給食の時間が好きだからそう感じるのかと思った。次に、お店じゃなくて父の実家から届くお米だから、あるいは水や炊き方の違い──答えが出ぬまま実家を出て、自分で炊飯器を買ってごはんを炊き、「これは外のごはんだ」と感じた時、「私は今まで何を食べていたのだ?」と恐ろしくなったのだ。

いろいろ調べていくうちに「黄変米」という単語に辿り着く。人体に有毒な毒素を生成するカビが繁殖し、黄色などに変色した米のことらしい。カビは胞子を飛ばして繁殖する。冷蔵庫にそういう米を置いていればほかの食品だって危ないし、逆もまた然り。その状況で電気を流す程度で済ませてたってこと……???? 優しい………………優しすぎる。私(6歳)は弟が喉の手術をした時「とりあえず母を殺そう。話はそれからだ」と本気で検討したというのに。以前から「金のためなら他6人より緒方純子を殺した方がいろいろ効率よかっただろうに」などと考えてはいたものの、ますます彼女を生かしておいた意味がわからない。それこそ「子どものために」殺すべきだったのではないだろうか?


中学の卒業式後、町子たちと桜祭りに行き、そこで売店の焼きそばを食べた。帰宅後、母に言われるがままにペヤングを食べ、30分〜1時間後に吐き戻してしまった。その後眠りにつこうとしたが吐き気がおさまらず、30分〜1時間にいちどはトイレに駆け込む。絶食し、水を飲んでも吐き戻してしまう。見かねた母に3回ほど胃腸薬を服用させられるが、それも戻してしまった。起き上がるのもしんどくなり、吐くものもないのにむせ始めたあたりで「『5人目』の最期と似ている」と思い至る。生死を彷徨う朦朧とした意識による幻覚かと思ったが、どちらも現実と捉えざるを得ない。日が昇る頃、いつもの不要な投薬を促されたがなんとか断った。5人目はここでビールを飲んで死んだんだ。あの症状を大の大人がやったら、たとえビールなり不要な投薬なり与えられなかったとしても、命を落とす人がいるだろうと断言できる。おかげでリョナラーになる才能が開花せず、少年犯罪による理不尽な死でしか血を飲めない。この症状、ほかに類似の話を聞いたことがなく、10年以上前であれば「突然死」としか言いようがないのも仕方あるまい。


コロナウイルスの流行が本格化する前後、母が、関節が痛いと喚き出した。この時私は家での本格的な計画を練っており、約20年分の殺意を隠し持っていた上に、以前「足が捻挫したっぽい〜悪化したら妹の迎え行けなくなっちゃうな!」と言いながらホットカーペットの上でポケモンをやって悪化させたのを見たことがあったため、今回も適当なことを言ってるのだろうと思っていた。家事もままならないほどの痛みと訴える割に手伝いをすると提案すればキレられる(手伝いするという提案が問答無用で却下されるのはいつものことである)ため、うんざりしつつも一応ネットで症状を調べてみると、かろうじて「非ジストロフィー性ミオトニー症候群」という指定難病が出てくるのみ。

そうこうしているうちに静岡でも緊急事態宣言が発表され、半年後を予定してた家出計画を急遽巻き上げ、半年後までに緩やかに貯める予定だった5万円を持って夜の闇に抜け出した。父が教職(しかも特別支援学校の教員)のため迂闊にバイトのシフトを入れまくることもできず、母には生活必需品を買うにもケチをつけられる(これはただの八つ当たり)中でかろうじて下ろせたこの5万円がなかったらと思うと恐ろしい。

それから約10ヶ月後、2月の終わりから3月にかけてのことだ。ようやくそこそこ食欲が戻ってきたため、日常生活に支障が出るほど欠けている腕力の改善につくそう! てワケでラジオ体操や柔軟、簡単なマッサージなどを始めた。しかし数日後、指の関節が硬直し始めた。さらに、異常に肌が乾燥し、ひび割れ、かさぶたになって剥がれ落ちていく。グロテスクな怪我というよりは、枯れた植物と土のようだった。ビタミンが足りないのかと思って野菜やサプリを取ると症状が悪化し、冷えがいけないのかと思って温めると痛みを感じる。これはおかしい、と症状を検索すると同じ指定難病だけが引っかかり、これは母と同じ症状だったのだと気づいた。

しかしこの難病、遺伝によるものと書いてあるではないか! そんなはずはない。私はかつて、ごく普通に寒さにより肌が切れたことがある。生まれつき春のまどろみに向かって肌が乾燥していたワケじゃない。原因と考えられるのは「骨格筋型電位依存性塩化物イオンチャネル」というタンパク質を作るCLCN1遺伝子と「骨格筋型電位依存性ナトリウムチャネル」というタンパク質を作るSCN4A遺伝子……。化学のことはまったくわからない。非力だから当然毒殺も検討したが、少年犯罪を追及すると必ずタリウム少女にたどり着くことになっている。私はプライドが死ぬほど高いのだ。

だから、そういう難しいことは研究者がやればいいと思う。私にとって最も重要なのは普通の女の子になることなので。女の子にならなければ、大人の女性にはなれない。知識はないが一応仮説を記しておく。


北九州監禁殺人事件の関係者(死者)は、「①通電による電気」「②緒方家の食生活(狂っている可能性が高い。私の家のように……)」「③アルコール」をチャンポンした結果なんかヤバいことになって突然死した人がいるのではないだろうか? 同様の死に方をするためには電気がないと話にならないが、1998年ではなく2021年の今なら、指でスワイプしまくって旅ができる。体内の電気を活用して生きるのは、もはや当たり前の時代なのだ。それにコロナウイルスの流行により、手指のアルコール消毒は日常的になった。前述の症状に陥った時、せっかくなので数日観察したが、この症状が両手だけでなく全身に回ったとき「水を浴びるのが一番良」かったと心から言えるだろう。そもそも入浴が制限されてるのに、身体が酷く乾燥してるというのもおかしな供述である。

犯罪者の中にはネグレクト生まれというのに発達障害の傾向にあると語られる人もいるので、先天的か後天的かなどさほど重要なことでは無いのだろう。信じなければ理解することはなく、理解することと感じることは違う。どこをどうすれば元に戻り、また同じ症状になるかは大体掴んだ。医療崩壊も迫っているし、ひとつ確かめたいこともあるから時期を見て本人に会いに行くべきだろう。触覚さえ残っていれば会話はできる気がする。だって「出口の無い子宮」にも抱擁で相手の妊娠を理解するシーンあるし。


(「非ジストロフィー性ミオトニー症候群」の記述はこちらを適当に読んだだけなのであんまりわかってないかもしれません)

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