アヴェ・マリア　ジュリオ・カッチーニ

　ささやかなステンドグラスを通して柔らかい午後の日差しが、広いとは言えない石造りの古い教会の中に淡く一筋差し込んでいる。
　教会の隅ではひとりの女性が時折言葉を口にしながら静かに祈っている。組まれた柔肌の両手は陽の光を受けてぼんやりと暗がりに白んでいる。
　大いなる母の眼差しが祝福を告げている。

初めて曲を聴いたときに想像した風景を文章化する遊びです。

どう表記するか迷ったんですが、カッチーニのアヴェマリアと言われる事の多いこの曲ですが、じつはウラディーミル・ヴァヴィロフという作曲家の曲らしいです。歌詞がアヴェマリア（おめでとうマリア）なのにしんみり静かなところが好きです。