予備出題論点一覧表付き~優先的に書けるようになりたいもの探ってみた~パート1民事系

こんにちは、あるいはこんばんは。
アガルートにて司法試験・予備試験受験指導講師をしております、とげぬき法律事務所弁護士の寺岡です。

今回は、タイトルのとおり、予備出題論点をまとめてみたところ、「おお、めっちゃ出るやん!」なんてところがいろいろわかってきた。そこで、本稿ではそれぞれの科目を概観してみる。
なお、ちょっとだけ色を付けておいたが、
赤 かぶり多め
青 かぶりそこそこ
とりあえずこんな感じ。
なお、論点については言い方次第みたいなところもあるので、あまり突っ込まないようにお願いします。

民法

条文多いし論点も無限に作れることから、そんなにかぶりはない。これは司法試験もそう。ゆえに、民法に関しては、過去問で雰囲気を掴み、求められている能力は何かを感じ取り、あとは重問やら演習書を使って「出てない論点」をもしっかり書けるようにしておくことが大事。逆に言えば、本当に過去問”しか”やらない人は、それ以外の論点は何も書けないことになり、これでは受からないであろう。「過去問やっとけばいい」の意味は、感覚を掴み、かつ、出てない論点も一定のクオリティに仕上げておくという意味と心得よ。
さて、過去問だと
契約不適合責任と債務不履行、あとは94条やら詐害行為取消権といったところが複数回出ていることがわかる。94はともかく、他は「論点」というよりは、事案に即して1つ1つの要件を丁寧に検討することが大事。
特に今までなんとなくでやっていた「損害」なんかを”本当に損害あるのかな?””どんな「損害」かな?”と考えることが大事。これ、会社法も同じだからね。

商法

やはり任務懈怠(423も429も)、利益相反取引、〇〇無効の訴え(特に新株発行)、総会決議取消しの訴えあたりに軍配が上がった。そりゃそうだろうという印象。
とはいえ、これらはしょせんは枠にすぎない。ゆえに、”じゃあどんな義務があったのか””利益が相反しているのか””どういう違法があって無効や取消しにつながるのか”を考えるのが試験である。
例えば、令和元年の問題なんか、自信を持って言える。

あんなの初見で気が付けるわけがない

何なら出題趣旨読んでも意味が分からない

多分こうなる。
(勉強一年目で、出題趣旨読んで意味わかったらそれだけですごいと思う)

が、実はふたを開けてみると

予備短答で聞かれた条文が意外と聞かれている


ことがわかる。ゆえに、短答としっかりリンクさせておくが大事。
とはいえ、まずは典型論点書けるようにしたいね。

民事訴訟法

そりゃ既判力だわな、と。一部請求もけっこう出る。というのも、一部請求と既判力っていうのは別物ではないし、ある種視点の違いでもある。そして、一部請求にすると途端に問題の難易度を上げることができるので、点数をつける試験という観点から使いやすい論点なのだろう。
また、複雑訴訟と広い視点にすると、25,26,30、R1、3、4と12回中6回の出題。ってことはやっておきたいよね、やっぱり。

民訴の難しいところは、既判力の勉強だけすれば既判力ができるわけでもないということ。
というか、民訴は民法(&要件事実)。例えば、
 民法で習ったのでいうと売買(555条)だな
→要件事実で習った訴訟物は”売買契約に基づく代金支払請求権”
→民訴で習った既判力の考え方ではここに既判力が生じる。
→ということは…(この先を考えるのが民訴)

という流れ。
これらを別に考えないほうがいい。つながってるわけだし、実務家になったときに「私は民法はわかりますが民訴はちょっと…」とは言えない。
ゆえに、一度学習した民法を(簡単なところだけでもいいから)要件事実に引き直して頭に入れておく。そうすると自ずと民法の力が爆上がりするし、実務基礎も出来るようになる。その結果、民法の短答の点数も上がる。

ここが出来上がってないのに民訴できるわけがない。だから「民訴苦手」って人は多いけど気にしなくていい。だってみんなそうだから。
ガンガン民法やってほしい。そして構成を要件事実的に再構成してみよう。テキストに載ってないものはやらなくていいから。
こうして民訴も少しずつ出来るようになる。
繰り返しだが、民訴は民法。これに気が付けたら合格は近い。

というわけで、今回は民事系を概観した。次回は刑事系・公法系を概観する。
おわり。



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