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名興文庫の『無職転生』批評による義援金話が、なぜ疑義をもたらすのかの考察


 週が開けた。
 1月26日付で出された批評は、一定期間の売上を寄付(期間不明)と銘打ってしまった為15000円という金額や義援金に対しての姿勢だけが話題にのぼり、もはや内容については誰も言及していない。

 「せんよなぁ?」の疑問系で投げかけているところを見ると、彼も批評の批評の話題は検索で見つけることができなかったようだ。


売上数の報告の有無を見る

 購入可能状態になって、丸2日ほど経っただろうか。
 相談役堅洲斗支夜氏や、代表である尼宮乙桜氏は私用でXに浮上はするものの、公式HPなどには批評売上等のアナウンスはない。
 何故か名興文庫ファンからの報告はあった。


チャリティーなら15000円は妥当という言説について

 面倒くさいのでこれ以上は引用しないが(各自返信を読むボタン等から適宜確認していただきたい)、チャリティーやふるさと納税なら、この言説は真っ当である。

 例えば有名人のチャリティーオークションなどがあるが、あれは一定の価格から出発し競りと同じく、その人物のファン達が自分が欲しいと思う価格を発言して勝ち取るものだ。
 有名人も自身によって付加価値のついた品をファンに贈れるし寄付もでき、ファンもまた自身の大好きな人物のグッズを手に入れた上に間接的に社会貢献ができる。
 win-winな関係がそこに発生する。


批評をする事になった経緯

 しかし、ことこの批評は筋道が全く違っている。
 出発点はチャリティーではない。
 普通の出版社などが行う出版仕事でもない。

 割とアマチュアweb小説の一部界隈では有名な話であるため割愛・簡略化するが、

  • とある作家がウェブ小説投稿サイトにて読まずの評価不正を働いた

  • 堅洲斗支夜氏がそれを非難、いつかやると思ってた等発言

  • 作家は一度逃げ謝罪を打つが、世話人に促され正式に謝罪

  • 過去発言を掘られ、無職転生をプロローグ切りで批判していた事が判明

  • 「未読の部分は貶さない」という品性の逸脱に怒ったヲタの民が非難

  • 謝罪ではなく「見せてやりますよ、おれが本物の『批評』ってやつを。」

 お分かりいただけるだろう。
 業務命令こそ代表から命ぜられているが、これは「批評のやり直し」であり、言うなれば赤点を取った後の再テストなのである。
 1回目で批評の基準や品質を満たせなかった、だから再提出だったわけだ。

 その後2024年の正月に震災が起きた。

 チャリティーをその時点で明言したならば、それも良かっただろう。
 しかし残念なことに、有料になったことも出発点は別である。

 チャリティーや寄付に参加したい人に向けてではなく、まずアンチに向けて発信してしまっている。

 そもそも、今回の批評は何度でも書くが自身が批評をきちんとできると証明する証明書だ。
 それを存在するかどうかも不明のアンチに向けて高額だといの一番に言うのは、アンチには顔を向けているが、被災地や被災者へとは顔を向けているとは言えないだろう。

 後にそれを寄付すると言っても、彼とアンチと仮定されている人々の間に金銭を預けるほどの信頼関係が築けているか、と問われると首を傾げざるを得ない。


不正VS侵害のおまけ話

 ハーメルンという小説投稿サイトは個人サイトの意味合いが強い。
 運営情報にも個人名や会社名が載ってないことから、ほぼ確定と言って良いだろう。

 そこでの不正と比べて、自身のサントリー問題を小さく言ったところで、世間で問題視されたりする事の大きさに変わりは無いと思うのは私だけだろうか。


友人による擁護と本人達の記する内容の乖離

 友人と思しき書籍作家が、売上を全て寄付するという話をしていた。
 友人という事でSNS外で何か聞いているのかもしれないが、消費者に提示されている条件は違う。
 以下引用する。

本批評で得た一定期間の収益は、日本赤十字社の令和6年能登半島地震災害義援金に手数料を差し引いた額の全額を寄付します。

引用元:名興文庫HP https://www.naocoshibunko.com/00017-2/

 継続してとも恒久的にとも一言も書かれていないのだ。
 さらに言えば、一定期間と書いてあり、期間終了後に売れれば勿論売上の全てでは無くなる。
 
もっと言えば手数料が何についての手数料なのか、その金額さえ明記されてはいない。
 公式HP上に書かれてもいない事を憶測で広めないほうがいい。


【結論】目的と手段からかけ離れた結果だから

 批評をすることになったその出発点は『読んだ上での批評もきっちりできる』と、証明する事だった。
 目的は『自身の実力を広く知らせる』で、手段は『無職転生を読んで批評文を書く』。
 そして結果、『相談役はきちんと批評ができるすごい人だ』という評判と地位を手に入れる、だったのではないだろうか。

 しかし実際の結果は、批評は書いたが、広く知らしめる前にアンチ対策に社会通念上の書籍単価(各々単行本やプロの書評や文庫本価格を想定されたし)よりはるかに高額の値をつけ、文庫にゆかりのある時給108円の方や日本語勉強中の台湾の方などだけが購入し、その他の相談役等に諫言を投げかけている人々(もしかしたら相談役にはこれがアンチに見えているのかもしれない)には、目次から読まなくていいとの判断をされたのか話題も沈静化に向かっている。
 広く批評の力があることを知ってもらうという結果を、達成したとは言えない。

 その筋のズレを、言語化した人はやはり言及していたし、言及できないまでも違和を感じた人が多かったようだ。

 品物への値つけは、確かに自由である。
 チャリティー、とかくチャリティーオークションでは高値になることは往々にしてあるが、それはオークションという形式によるものが大きい。
 けれど今回については、発端はチャリティーではない、理由は後付けだ。
 オークションでもない、書いた本人が値段をつけ
ている。
 その点、疑義が出る元になったのではと推測している。

 批評への批評は、今後出ないと予測される。
 相手をする必要がなさそうだ、と行った事への疑義にシフトチェンジされている風潮も見た。
 後は、購入された商品の売上がどうなっていくかの推移を、見守るにとどめようと私も思っている。

 余談だが、このようなポストを見たので、以下引用させていただく。

 当然ながら、対抗心などくだらないので各々が文庫の寄付に疑義や不信感を表明しこそすれ、寄付自体は自分の生活の中で無理のない範囲と被災地への思いでもって行われている。

 そこに他人の入り込む余地は無い。

 他人の財布は他人のものであり、もしも対抗心があったとしても証明はできないだろう。
 よしんばついでに金額が揃えられたのだとしても、寄付自体は名興文庫を思い浮かべてやったのではなく石川県を思い浮かべながら送られていると考える方が当たり前でもある。

 振り込みをする時に眼前にあるのは、石川県や赤十字等の文字なのだから。

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