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生成AIに代用される職種を理解するのが大事だよね?という話

前に書いたAIに関する記事の続き兼最近耳に入ってきた声に対する自分の考えの発信記事です。

前に書いた記事では多くの仕事をAIがやるようになるのって結局みんなが望んでいる働かなくていい社会への進歩で、喜ばしいことなんじゃないの?っていうことを長々と書いている。今もこの考えは変わらないけど、その記事の最後でも言っているようにそれだけだと流石に楽観的すぎる。雇用がなくなるのはもちろん大きな問題で、現在労働者として生きるすべての人が共通して持つ課題でもある。今回はこの課題について考えて行く。

どのような雇用がなくなっているのだろうか?

最初に述べた耳に入ってきた声というのは、カフェで作業している時に聞いた会話で、その人が言っていたことをまとめると「デザイナーの仕事は生成AIに代用されるからディレクターにならないといけないよね」という事だった。これに対して大きな違和感を抱いた。なぜなら生成AIの登場はホワイトカラーの職業撲滅を意味するからだ。将来の仕事について考えるなら、生成AIがどのような仕事を担っていくのかを理解しなければならない。

近代で人間の雇用状況を大きく変えたのはイギリスの産業革命だ。ざっくりいうと、その時に起こったのは機械ができたおかげでそれまで人間が行っていた単純作業が少ない労働力で賄えるようになったという変革。具体的には手織り職を代表とする工場作業が機械化された。その流れから製造業において現場作業をする労働者をブルーカラー、その人たちの管理や事務作業などを行う労働者をホワイトカラーと呼ぶようになった。
自動化や効率化はそれ以降も現代まで続いており、ブルーカラーの領域では画期的なツールやロボットが導入されて、ホワイトカラーの領域ではコンピューターやそのソフトが開発された。この時代においてはこれらのツールやコンピューターをうまく活用できる人間の業務効率が上がり、従来通りの手作業で仕事をする人間の業務効率が相対的に低下した。

ここで懸念されていたのがロボット導入によって現場作業の仕事がなくなるという事だった。この時の流れでは現場作業員は削減されていくが、生産効率が上がったとしてもホワイトカラーの職はなくならないという傾向があったため、ホワイトカラーの方が将来性があり、なおかつ給料も高いという法則ができた。そのためにホワイトカラーはいい職種というイメージが付いたのだろう。

そして現代のAI革命時代の話に戻るのだが、結論からいってこの考えは覆ってしまった訳だ。この話の発端となったディレクター志望のデザイナーの人の考えはホワイトカラーの仕事は給料が高いという過去の法則にとらわれているように思える。確かに、今の生成AIが登場する前まではホワイトカラーの労働者は特に重宝されていたが、実際にAI革命で自動化された仕事の多くはホワイトカラーの仕事の方だ。代表的なところで言うと、書類作成やデータ分析、調査などの作業は全てAIに代用されている。

したがって、デザイナーからディレクターというジョブチェンジはAI革命の時代に対する対応策として不適切だと私は考える。これと同じような考えを持っている人がどれくらいいるか分からないが、勘違いしてはいけないことはブルーカラーよりホワイトカラーの人材の方が重宝される時代は終わり、これまでの流れとは逆にブルーカラーの方が重宝されるようになったという事だ。なぜなら、ホワイトカラーの領域に生成AIを取り入れることの方がブルーカラーの領域である現場作業にロボットを配置することより低コストだからである。つまり、我々は目指すべき働き方の認識を根本的に改めなければならない。

長くなってしまったのでこの続きは更に次の記事にします。

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