私と芯の120分間戦争

iphoneのメモにあった作文。
そのまんま載せます。

これは就活の時、あらゆる企業にESと一緒に出す作文に使っていました。こんな内容なのに書類は100%通過してました、なぜだ。

あ、ちなみに、実話です。

私と芯の120分間戦争

会場にこだまするカリカリという無数のシャーペンの音。しかし、場内で唯一私の手だけが、ペンをギュッと握ったままピクリとも動かない。
そう、ここから私と芯の壮絶な戦いが始まったのだ。

今日は待ちに待った大学の初登校日。新入生は初日にTOEICを受けるのが必須で、私も会場で机上に筆記用具を置き、試験開始。
リスニングを聞きながらマークシートを黒く塗り潰して行く。ペンを握るのは大学受験以来だなんて考えながら、書き進めていたその時だった。
ポトッという音ともにシャーペンの中に入っていた短い芯がシートの上に落ちた。当然新しい芯がシャーペンに入っていると思いカチカチ押す。

が、出てこない。
押す。
やっぱり出てこない。

芯が、ない。

なんと私は、大学初日の試験で芯の補給を忘れるという致命的ミスを犯してしまったのだ。

今思えば試験官にいうのが妥当だが、友達もできていない時に手を挙げて【芯忘れ】のレッテルを貼られてしまうことは当時の私にとって最大の恐怖だった。

やるしかない。

この瞬間完全に、私の目標が高得点を取ることから、何としてでも全てマークをし切ることに切り替わった。

シャー芯戦争、いざ、開戦。

まず、短い芯を直接指でもち、マークする作戦を決行。指のはらが摩擦して書きにくいがどうにか上段は埋めることが出来た。ところが、下段に差し掛かり、とうとう短すぎて持つこと自体が困難になってしまった。諦めかけたその時、机上に佇むひとつの消しゴムが私の目に飛び込んできた。

これだ!

閃いた私は、咄嗟に消しゴムの先に芯をさす作戦にでた。消しゴムの上から刺すとか弱い芯が折れてしまうことを懸念し、芯を下にして消しゴムを上からグッと押し込む。

しかし、ここで緊急事態発生。強く押し込みすぎてしまい、なんと消しゴムの中に芯が完全に埋まってしまったのである。わずかな希望が、白い化物に飲み込まれてしまった。今度こそ降参だ。机に崩れかけた

…と、その時だった。

開始直後に芯を失い役割を失った可哀想なシャーペンが、机の端に横たわっていることに気付いた。そして、脳裏に一筋の光がさしたのである。

私は、獣のごとくそのシャーペンを掴み取り、ペン先で消しゴムをほじくる作業に取り掛かった。すると、少しずつ、埋まっていたわずかな希望、芯の存在が見え始めたのだ!

そしてついに!

芯をわずかに消しゴムから救出することに成功!

その結果、消しゴムから顔を出したわずかな芯によって、時間内に全てマークすることができ、私は芯との戦いに勝利した。どんなにピンチでも最後まで諦めなかった想いが、この結果に繋がった。

この経験から、改めて[芯をしっかり持つ]ことの大切さを再確認することができた。

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