いつか一度でいいから行ってみたいと
願っていた

彼らの紡ぐ音楽と世界観の中で
奇跡のような幸せな時間を
一度でいいから過ごしてみたいと

音楽チャンネルでのツアービデオを観ながら
私がポツリと呟いた言葉を
夫は叶えてくれた

幸せな

幸せな時間

彼らの想い
彼らの願い

それは決して揺らぐことはなく

その空間を
できる全てのアイデアと演出で
彼らの理想とする世界に
徹底的に染め上げる

そして
そこにいる誰もを包み込む

ファンへの愛
スタッフへの愛
メンバーへの愛
ステージへの愛で

誰よりも駆け抜けているのに
誰よりもありがとうと言い続けて
誰よりも幸せそうに笑う

その姿に私まで幸せになる

会場一体となって歌い、踊り
手を伸ばして
私たちひとりひとりまでもがその世界の一部になれた

まるで夢の中にいるようなその時間は現実だった

隣を見ると愛する夫がいる
また一つ彼は私が見たことのない景色を見せてくれた

夢から離れたらなんだかお腹が空いて
でもぼんやりと
先ほどまでの煌めいた空気に酔いながら家路につく

家には愛する子供たちが待っている

彼らにお土産でも買ってみんなで食べようか

私は今まさに、夢ではなく現実という奇跡の中を生きているのだ