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インフルエンザと突然訪れた休みとアクセサリー

息子の小学校の行事の振替休日にあわせて休みをとり、前日から何しようか?と相談をする。

とはいえその日は平日で、娘は学校やら塾やらがあるので二人だけであまり遠出はできない、という制約の中での彼のリクエストは

「お昼にお気に入りのうどん店に行きたい」

というささやかなものだった。

ちょうど近くにバスケットのシュート練習ができる公園があるので、そこで少し体を動かしてから行こうか、というと「いいの?」と嬉しそうに顔を輝かせた。

お安いご用ですとも
二人で楽しみだね、と話す。

一方で娘は弟の休みを羨ましがるでもなく、学校では体育の授業でのグループ発表の打ち合わせがあるし、塾に行けば前回の模試の結果が返ってくるはずだから早く行きたい!と週明けを楽しみにしている。

そうして迎えた月曜日
起きてきた娘が
「のど痛い・・」
という。

いつもより何となく気だるげな様子が気になりつつ、朝食は食べられそうか聞くと
「うーん・・食べれるかなぁ・・」
との返答。

おかしい。

熱を測らせる。

おにぎりなら食べられそう?と聞くと、それがいいというので念のために小さく握ったおにぎりを作ってみる。

半分ほど食べたところで
「残りは、帰ってきたら食べるね」
とニッコリする娘。

息子と顔を見合わせる。

今日の予定は白紙なったことを、目を見てお互いに確認した。

体温計の表示は37.4度。
騒ぎ立てるほどの発熱ではない。

彼女が風邪をひくこと自体珍しいが、このくらいであればほとんど心配しない。

ちょっと疲れが溜まっているときや、タイミングによって体温が高めに出てしまうことは、ある。

けれど何より彼女の食欲が落ちていることが"異常"なのだ。

娘は良く食べる。
なんなら朝から2回おかわりするという日もある。

帰宅したらまずおやつ、塾に行く前には軽食、帰ってきたら夜食・・・

疲れた時にはとにかく食べて取り戻すタイプの娘の食欲がないということは、我が家にとって非常事態を暗示する。

そのことを、弟である息子もよくわかっているのだ。

幸か不幸か今日なら病院に連れて行ける。
何事もなければそれで良い。

欠席になった娘はそっと涙を流していたが反発はしなかった。
身体が辛いのか、思い当たる節があるのか。

鼻炎気味の息子もついでに病院を受診した
一週間の幕開け。

結局、娘の熱は翌日景気良く上昇して、案の定インフルエンザと判定された。
判定が出た日には、学校から娘のクラスの学級閉鎖が発表された。

私はというと看病に加えて私自身が感染している可能性もゼロではないということで、今週3日間あった出勤日を全て休ませてもらった。

思わぬタイミングでまとまった休みが降ってきた。

いい機会だから日頃溜まった雑務でも片付けようかな…と思ったけれど、なんだか落ち着かない、捗らない。

思ったことの半分も手につかない。

家庭内感染だけは防ぎたい、と無駄に神経を尖らせ続けた結果、いつも以上に疲れ果てる。

ここ数年のコロナ禍で、インフルエンザ感染の時の対応の匙加減が行方不明になってしまったようだ。

とにかく基本的に体力がある娘は、処方薬を飲んでぐっすり昼寝したらすぐに熱も下がり始め、発症から3日目には平熱に戻った。

軽く済んだということなんだろう。

必要以上にピリピリした甲斐もあってか、なんとか家庭内感染もなく隔離期間も解除。

肩の荷がどさっと降りた音がした。

手洗いにアルコール除菌を繰り返し、私自身も外に出ることなく過ごしたおかげですっかり生活感溢れる外見が出来上がった。


何となく落ち着きを取り戻したころ、先週発注していたアクセサリーがポストに届いた。

インフルエンザ騒ぎでバタバタ過ごしていて、すっかりそんなこと忘れていたけれど

そうだ
ピアスを買い換えたんだった
ついでに久しぶりにリングも買ったんだ…

こんな買い物久しぶりだなぁ、と思いながらそっと指にはめる。

すっかりアルコールにやられて、頑張りが滲み出た私の手に、少しだけ違う何かが戻ってきた気がした。

決して高価とは言えないその小さな輝きは、一時停止されたようなここ数日の気分を確かに明るくしてくれた。

来週にはきっと、日常が戻ってくるよ

ようやく胸を撫で下ろした。


そんな一週間。



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