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売れっ子になったって、確定申告の話は誰も教えてくれないんだよ

2015年に会社を辞めて、それからはフリーランスである。確定申告とは、自営業やフリーランスが1月から12月までの売上を計算して「これくらい納税します」とお伝えする手続きのことだ。この締切が毎年3月15日なので、クリエイターは直前まで悶絶している。

で、私は確定申告のことをよく知らなかった。デビューしてすぐのわりに、まあまあ売れっ子だったと思う。フリーランスになって初月の売上が確か20万円で、その後もどんどん伸びていった。だから同業の飲み会にもよく行った。そのころ、同業者が飲み会でこう言ったのだ。

「ああ、確定申告もうすぐじゃん。憂鬱だなあ!」

なんでしたっけ、それ?
と、質問して、それはもう心配された。とにかくfreee(会計ソフト)を入れろ、領収書でかかった経費を全部精算しろ。そういってくれたのは、今はアカウントも消えた、ファーレンハイトさんという恋愛コラムニストだった。

この投稿をしてから気づいたけど「これ納税しないとヤバくね?」と自力で気付いたというのは真っ赤なウソ、記憶違いだった。会社員だったころ、確定申告なんて考えたこともありませんでした。申し訳ありませんでした。

で、泣きながら納税した。納税が嫌なんじゃない。手続きがわからなすぎたのだ。たとえば、ドトールでご飯を食べながら打ち合わせをした。これは経費でいうと何費? 取引先への手土産は? 資料で買った本は?

同年にデビューしたライターの友人と、シェアオフィスでヒイヒイ言いながら納税した青春のひとときは、忘れられない。もう経験したくない。

それから私は、すべての納税を税理士に相談するようになった。こりゃ無理だ、と察したのだ。もう赤字でも依頼する覚悟だった。おかげで毎年税理士にはお叱りを受けつつも、ある程度は経費精算、確定申告に慣れたと思う。

私は偶然救われた。けれども、知らなかったら未納で追徴課税されていただろう。もし意図的だと思われてしまったら、『薬屋のひとりごと』の作者さんみたいになっていた。チュートリアルの徳井さんが泣いて会見しているのを見て、全然他人事に感じられなかった。

出版社は確定申告のことを教えてくれるのか

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