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あかねさす

ふと、草木染めの事が頭に浮かんだ。
そして草木染めの褪色の経過を記したサイトをしばし眺めていた。
入れられた色によって姿を変える。染まりきったその瞬間から今度は褪せに向かって進み始める。違う色を入れる事も出来る。
その本体(染める対象)は同じであり、同じでない。
この世そのものであるような、ないような。

その後またふと、【あかねさす】という言葉と共に赤橙に染まった空と海が頭に浮かんだ。
気になったので、あかねさすの検索結果に出てきた万葉集を無知なりに理解しようとした。

あかねさす  柴野行き  標しめ野の行き  野の守もりは見ずや  君が袖そで振る

(あかねさす むらさきのゆき しめのゆき のもりはみずや きみがそでふる)

作者 額田王

万葉集
額田王がSNSをしていたらこんな感じか?

奈良県のホームページによると、当時袖を振る事とは相手の魂を呼び寄せる呪術的な要素があったそうだ。
(そんな術を使われちゃあ、体がいくつあっても足りぬな)
そして、その野が茜色をしていたという事で、【茜】とは最も古い染料の一つだというから、冒頭のふと頭に浮かんだ【草木染め】と【あかねさす】が繋がったのである。

突然、脈略もなく頭に浮かぶ単語や風景は、その時には分からない何かを示唆している事がある。

2022年04月19日

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