#76 最強チームを作る方法

チームのモチベを継続に高めて士気の高い同志を持つためには何が必要か、悩みながら行動をしていた際に手に取った本書。本書のメッセージは、昨今のリーダーシップ論とは真っ向から反対する。強いリーダーはいらないし、個性的でエキセントリックな天才も必要ない、野心的で挑戦的なビジョンも必要ない。必要なのは、日常のさりげない行動だと、とく。この数年、自分の評価にフォーカスが当てられるようになり、謙虚や協調よりも自己実現を是とする文化に慣れ親しんでしまっている中で忘れがちな行動を取り戻すことが結果的にチームをさらなる高みへと押し上げていくことを思い出させてくれる。

・パスタ数本とマシュマロひとつを与え、できるだけ高い位置でマシュマロを安定させるというゲームをビジネススクールの学生と幼稚園児に出題した際に、結果パフォーマンスが良かったのは後者。賢く協力したからであるわけだが、お互いの状況を共有し合うことが許される安全な環境を提供することが必要最低条件となる。

・相手を気にかけているという仕草を日頃からすることは、全てのメンバーが安心して自分達が強固なチームであることを理解させてくれる。

・人間の脳は進化の途中で帰属のシグナルを読み取るように発達してきた。帰属意識が確認され、安心が確認されて初めて同じ方向を向いて進むことができる。自分が気にかけられていることを理解すると扁桃体が社会的な絆を確立、維持するために無意識の監視力を使うようになる。チームの化学反応は運でもなんでもなくて、デザインすることができる。

・NBAのポポヴィッチは献身的なチームを作ることにおいて最高のコーチである。彼は選手に批判的なコメントをする場合は物理的距離を小さくする、パフォーマンスに関するフィードバック(このチームには高いレベルが期待されているというメッセージを伝える)、大局的な視点を持つようにする。

・リーダーの役割は温室を作ることで、大きく伸びる植物になることやみんなの目標になることはその次。

・それについてもっと話してくれるかな、それはどういう意味?といったオープンな質問を多く相手に投げかけること。

・現在だけではなく、未来の約束をする。しつこいほどありがとうを伝える。メンバー選びの段階で、自分達のコアな価値観を共有してくれるメンバーを選ぶ。腐ったリンゴを取り除く。

・弱さを見せる。私にできることがあれば言ってくれという正直で、率直で、謙虚なコミュニケーションがチームの筋肉になっていく。

・ピクサーはブレイントラストと言って建設的なコメントを言い合う時間が、ネイビーシールズでは、AARというアクションの後、ひとつひとつを振り返る時間が設けられている。気まずい瞬間を有機的に採用することで、互いに信頼し協力する関係が築けるのだ。

・部下に提案を求める。いい案があれば採用する。それに加えて、自分も全ての活動に参加する。一番きつい汚れ仕事をしているときに、ふと横を見ると、彼もそこにいて、わたしたちと同じきついことをしている。

・誰かが誰かに命令するのは非常に危険な意思決定方法。各自が見ている状況をもとに意思決定、判断をできるようにしておく必要がある。上司の命令に非常に弱いということを理解する。本当の勇気は真実を見て、お互いに真実を告げること。

・患者との人間的なつながりが最もヒーリング効果を発揮してくれるのである。

・価値のあることを言いたいという衝動を抑えること。最初に弱さを見せるタイミングと、最初の意見の衝突のタイミングを避けること。

・成功しているチームを取材していると、どのチームも共通の価値観や目的がはっきりしているということ。ネイビーシールズ本部には、世界貿易センター爆破事件で捻じ曲がったビルの梁などが置かれており、当時のことを思い出すことができる環境になっている。ピクサーの本社も映画そのもの。

・現状と目標の間にある障害を思い浮かべる。可能な限りその間を超える道筋を思い浮かべる。

・ひとつひとつをきちんとこなしていくのが必要なチームであればヒューリスティックスを大切に様々な言葉を示しておくこと、逆に創発的なチームであればガイドラインのみ示しておき、その後はチームに任せること。二流の仕事は精神に悪影響を与える。いいアイデアに投資するよりも人に投資する。

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