#208 続マーケットの魔術師

トップヘッジファンドマネジャーたちがどのように投資に向き合い結果を出してきたかに関して記載された本書。どの投資家も異なるアプローチであるが結果を出してきたことには違いなく、投資に限られた一つの聖杯しかない事はなく、個々にあった手法で行うことの必要性が鑑みられる。個人的に、コルム・オシアの章が一番勉強になった部分であり、事実にあう仮説を探すこと、考えを柔軟に変えること、そしてバブルに関する知見を深められたことが良かった。以下参考になったコメントや規律をまとめておく。

・君はトレーダーであり、リスクマネージャーであることを忘れない。

・含み益のでたトレードを含み損にしないために必要なことを行うこと。

・トレードは、信じられないほど献身的にやらなければいけない。トレードを仕事として扱うこと。

・トレーディングロットに関しては、ケリーの公式のその何割かを用いいていた。市場はカジノとちがいより確率を予測するのが困難であるためである。しかし一方で、確度が非常に高いと判断した場合には、大きく賭けることを厭わない。

・常にケリーの公式よりも少なく賭けるのがボラティリティの高まりがわからない市場に置いては合理的になり得る。

・配当が全くない株と高配当の株が買われやすく、低配当の株が売られやすい。予想外の決算内容もかなりの期間影響する、これらのケースでは市場がゆっくりと咀嚼するからであろう。

・主成分分析をしてリターンのファクターを分解する。

・現物が先物よりも逆ざやになっているか

・ドローダウンが5%でたら段階的にエクスポージャーを減らすことを検討し始める。

・ケリーの公式からかなり小さな額のみをかけていた。

・マーケットはどれくらい非効率的か?どうすればその非効率を有効活用することができるか?存在していても、実際に見つけるのは非常に難しいことは肝に銘じるべき。

・スペシャルシチュエーションなどもマーケットの非効率さにとって非常に良い例を示している。

・オプション価格は、最近のボラが低い時に最も安くなるが、将来のボラの急騰を予測するのに一番なのは現在のボラの低さ。

・トレンドフォローでも逆張りでもないシステムで、それらの一般的な手法よりもうまくいくものを見つけられる。(トレンドニュートラルなファクターに対してトレードするというもの?)

・データマイニングの技術を使って膨大な量のデータを探索し、必ずしもカーブフィットしない方法も可能

・データにこじつけずに大量の組み合わせができる方法を調べること。

・目的変数で訓練する代わりに、乱数を生成してフィットさせた時に同じように高いパフォーマンスが出ていたらそれは大きな間違いである可能性が非常に高くなる。

・古い価格データは最近のデータと同じくらい有用となり得る。

・複数の銘柄で機能するシステムの方が実運用でも機能する可能性が高いし、そのようなシステムを構築すべき。

・弱気相場においては、寄り付きで高く上昇し、場中で弱く引けることがある。強気相場では寄り付きで弱く、場中で大きく上昇することがある。

・投資家の誤りとして、直近のパフォーマンスにのみ目を見張ること。

・バリュー投資家は、リスクを数年単位で見て考えることをする。

・お金は昨年の成績が良かった人を追いかけて悪かった人をさるが、実はその次の年のパフォーマンスとしては逆になるのである。

・市場が感情やモメンタムの様な要素に反応しているとき、優れたバリュー投資家のパフォーマンスが落ちることもあるかもしれないが、逆にバリュープレミアムをしっかりと捉えているということの証拠でもあることを機に止めること。バリュー投資が常にうまくいくわけではないことが、バリュー投資をうまくいかせる理由になっている。

・政治よりもマーケットの力の方がいかに強いかを理解すべき。

・誰もきにかけない限り、トレンドは生じない。人々が気にかけるまで待つべき。

・バブルの時期には、バブルを信じ切っている人が必ず勝ちます。パフォーマンスは強気筋よりもかなり悪くなるとわかっていました。相場が転換するまでひたすら待ちながら、流動性が極めて高いポジションを持つ。

・自分が資金の海で泳ぐ小さな魚でアレル市場を探すこと。

・まず投資をして、後で調査せよ。トレードのために常に立派なストーリがー必要だというこだわりは捨てること。今進展している事実こそが全てに勝ることを肝に銘じる。

・短期金利が大きく上昇した2007年8月がサブプライムローン危機の始まり。

・上昇相場で空売りが困難なのは弱気筋が市場から退場させられているということにも関係する。

・価格が動くのはマーケット参加者が自分たちの先入観を見直さざるを得なくなった時であって、別にファンダメンタルに何かが変わった時ではない。

・正しいトレードを探すよりも、それを実現する一番良い方法を探すこと。(下落相場の中では、損失を限定しながらアップサイドを狙える手法が良い。)

・経済がまだ不調でも、よくなりつつあるという事は、楽観主義者が戻ってくる可能性があるという意味です。そして楽観的で万事順調に進みそうだと信じる人々の力を決して過小評価してはいけない。

・マーケットにとって重要なのは変化率。悪くても大きく改善幅があれば、そこは評価されることになる。

・世界の変化に気づいたらありのままに理解して、考えを変える柔軟性を持つことが非常に大切。今起きている状況を説明できる仮説にはどのようなものがあるか。

・ある信念が訳もなく熱心に弁護される場合、その信念は長く続く可能性があるという事です。

・金の価値は完全に心理で決まるか、心理に影響するファンダメンタルズで決まる。

・相場が熱狂しているのはある一つの結果を高く評価しているのが理由なのである。

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