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サイバーパンクREDは超面白いTRPG


はじめに

これは、サイバーパンクREDが超面白いTRPGだからみんな遊んでほしい! という布教だ。
最後にオープンで遊んでいるdiscordのリンクを貼っているので、遊ぶ場を探している方はぜひ参加してほしい。

どんなゲームなの?

カリフォルニアに存在する架空の都市「ナイトシティ」を舞台とした、サイバーパンク/ノワール物のTRPGだ。『サイバーパンク2077』や『サイバーパンク:エッジランナーズ』で描かれた世界の32年前、2045年が舞台になっている。
この時代は”赤の時代”と呼ばれ、街はジョニー・シルヴァーハンドが行った巨大企業・アラサカへの核テロによって粉々に吹き飛ばされた結果復興途上にある。あらゆる物資と人材は不足しており、誰もが成り上がりを狙って大博打ができる時代だ。
核爆弾の影響で空は時折赤く染まり、たまに放射能混じりの砂塵嵐が発生するほか、汚染物質をたっぷり含んだ血の雨や強酸の雨が降り注ぐ。
インターネットは寸断されて都市内のイントラネットだけが存在する。旧インターネットは殺人AIが徘徊する死の空間と化し、ときおりそういったAIが街で大事件を起こす。サイバーウェアは便利なものの、大量に埋め込むと人間性がすり減らされ、最後には怪物となる。
そんな復興途上のサイバーパンク世界で、クルーPCたちは武器を手に、巨大企業やいくつもの犯罪組織の利害関係によってカネを稼ぎ、あるいは否応なしに巻き込まれながら、生き延びるために足掻くことになる。

で、どこが魅力なんだ?

サイバーパンクREDの魅力は数多くあるが、筆者およびプレイグループでは、以下のような点を魅力に感じている。

ゲームとしての取り回しの軽さ

サイバーパンクREDは非常に判定が軽く、直観的なゲームだ。判定は1D10を使い、基本的に1D10+【能力値】+〈技能〉で行われる。
過去のサイバーパンクゲーム(TOKYO N◉VA、シャドウラン、トワイライトガンスモークなど)には、大量の装備品や特技、技能などが用意されている一方で、データの修正値や相互作用などが極めて複雑なもの、判定が複雑なもの、大量の例外則が多かった。
サイバーパンクREDは徹底してそれらを排しており、装備品は差別化を行いながらもデータに一貫性をもたせる、相互作用を可能な限り排除する、例外則を減らす、などの方法で、初めてプレイしても引っかかりなく遊べるように工夫されている。自分のプレイグループには「初TRPGがサイバーパンクRED」という方もいるが、ルールにすぐに習熟でき、遊びやすい点をとても気に入っている。

パンクでノワールな世界観の広大さ

サイバーパンクREDの世界観を端的に表した文はこうだ。

サイバーパンクの世界では、都市環境が極めて重要な意味を持っている。ナイトシティを使うにしろ自作するにしろ、舞台設定には必ず以下の要素を、すべて適切な形で揃えておかねばならない。
ゴミだらけの裏路地があるべきだ。貧民街ガターには死体がゴロゴロしているべきだ。鋭いナイフを握りしめ、陰気な声で何事かをつぶやきながら、目を見開いて夜明け前の街路をよろめき歩く狂人どもがいるべきだ。コンバット・ゾーンで止まってくれるタクシーなんていやしない。街角では地元のギャングどもが、相手を皆殺しにするまで終わらない銃撃戦を繰り広げているべきだ。プレイヤー・キャラクターたちの住むアパートはしょっちゅう襲撃や侵入を受けるし、車を壊されたり財産を盗まれたりもする。街を歩き回るのは、略奪者や暴徒、狂人や強盗がひしめく戦場を歩き回るのに等しい。

R.Talsorian Games、株式会社ホビージャパン『サイバーパンクRED』P.388より

ナイトシティは邪悪で、治安は最悪であり、人心は荒廃している。わずかなカネの為にどんな酷いことでもやってのける悪党が数多い。人でなしがあまりにも多い中で、PCたちは常に善悪のジレンマがある選択を迫られる。わかりやすい悪党やモンスターはおらず、暴力は最後には自分に返ってくる、冷たいリアリティがある世界だ。世界は広大で、PCが足掻いたとしても大きく変えることはできない――だからこそ、僅かな善や、諦念への反抗が際立つ魅力がある。たとえ世界を変えられなくても、自分を救い、エゴを貫くことはできるのだ。

データの膨大さとバランスの良さ

サイバーパンクREDが軽いからと行って、データが少ないわけではない。これまでの時点でも、様々なガジェットや、PCたちの背景を演出できる多様なフレーバーアイテムが存在している。
武器や防具、サイバーウェアについても多様性があるものの、面白い装備品が多い一方で、極端に強いものがなく、バランスがかなりきれいに取れている。「これを絶対入れておけ」「これを持っていないPCは使えない」レベルの、ゲームバランスを壊すような強さのデータがないのは、しっかりとしたテストプレイが行われている証拠だろう。
PCが成長によって強さが極端にインフレすることなく、ゲームマスターがバランスに頭を悩ませることがないのも、サイバーパンクREDの魅力だ。
また、装備品や技能のパズルを組み合わせて、ほかのPCより異常に強いPCを作り出す、いわゆる最適化プレイに悩ませられないのも良い点だ。

非ヒロイックなPCを遊べる魅力

サイバーパンクREDの世界観はノワールであり、けしてヒロイックではないPCを作れるのも魅力だ。例えば、エグゼク(企業の幹部。腹心の部下と共に作戦を取るロール)を作成する場合、ランダムでダイスを振ると1/2の確率で、かなり邪悪な企業に属することになり、1/6の確率で血も涙もない非道な企業に勤めることになる。ソロは1/2の確率で無慈悲な悪党になり、1/6の確率で法と倫理に反した行為を嬉々として行うソシオパスになる(逆に言えば、エグゼクは1/2の確率で倫理に気をかける企業の勤め人になるし、ソロは1/2の確率で義侠心ある人物になる)。このような悪党を含めて、ナイトシティでPCになりうる存在は極めて多様であり、だからこそ「善良であること」が前提となっているゲームとは違った側面で楽しめる。
まさしく、ルールブックに以下のようにあるとおりだ。

サイバーパンクのランで重要なのは被害妄想的であることだ。プレイヤーが一目見ただけで誰が善人で誰が悪人か区別できてしまうのはよろしくない。どちらの側につくべきかは定かでなく、善悪の基準 も不明瞭であるべきだ――現実世界と同じように。何の前触れも準備もなく、宿敵と出くわすことになるかも知れない。ヒーローは善行といえる何かを成し遂げるために、法を破ったり不快な行為に手を染めなければならないかも知れない。悪党どもも時には小さな善行を成すことがあるかも知れない。そこがキモなんだ。

R.Talsorian Games、株式会社ホビージャパン『サイバーパンクRED』P.388より

PCは誰かにとってヒーローにもなれるし、地べたを這うチンピラにもなれる。どちらの遊び方もできる多様性は、サイバーパンクREDの魅力の1つだ。

ロールプレイを支援する数多くのデータ

PCを演じる際に、ゲームマスターや他のプレイヤーが拾いやすい数多くのデータが存在するのも、サイバーパンクREDの良いところだ。住居、衣服、食事や趣味など、他のゲームだとしばしば簡略化されてしまう部分にも数多くのデータが割かれており、PCは自分のキャラクター性を作り込むためにデータを利用できる。
また、PC作成時点で、簡単なチャートに従うだけでPCの信念や考え方、ファッション、譲れない一線、これまでの敵や親友の素案が作れ、それを元にキャラクターの人物像を作り込んでいけるのも魅力的な点だ。これによって、GM・PL共にお互いのキャラクターの背景を拾い、物語の没入感を高められる。

成長の楽しさ

サイバーパンクREDはロール特技制のゲームで、ロールのランクを上げることで強力な恩恵を得られる。初期作成時点では物足りない部分が多い、「二線級のプロ」くらいの能力を持つPCたちも、成長によってわかりやすくどんどん強化されていき、できることが増えていくのが魅力だ。
一方で、成長したからといってPCが何もかもできるスーパーマンになるわけではない。どこまでいってもPCの強さは「強い個人」であり、だからこそ協力し、利害関係を調整し、頭を絞って問題を解決することが求められる。最初から強力すぎず、成長しても適度に「ままならなさ」が残るのもサイバーパンクREDのよいところだ。

マスタリングのやりやすさ

ゲームとしての軽さ、データの幅広さ、バランスの良さにより、サイバーパンクREDのマスタリングはかなりやりやすい。ゲームマスター向けのシナリオ作りのアドバイス、雰囲気の作り方、世界設定の書き方などが手厚く書かれているのも魅力だ。困ったらビート・チャート(コアルールブックP.395〜)を参照すれば、サイバーパンク・ジャンルでGMをしたことがないプレイヤーでもシナリオを作成できるだろう。

公式の熱量がすごい

サイバーパンクREDには多数の無料DLCが存在する。そう、無料で誰でもアクセスできるDLCが、なんと毎月更新され続けているのだ。公式であるR.Talsorian Gamesの熱量の凄さも、サイバーパンクREDの魅力だろう。これらのデータには未翻訳のものも多いが、今後REDシリーズが売れればどんどん翻訳も進むだろうし、テキストが選択できるようになっているため自動翻訳などを利用して読むのもそう難しくない。

で、そんなゲームをどこで遊べるわけ?

このnoteの筆者が作った、サイバーパンクREDのオープンDiscordサーバーがある。頻繁にセッションを行っているほか、世界観などについても雑談している。主にユドナリウムリリィを利用してテキストセッションをしているため、オンラインセッションに興味がある方は、ぜひ参加してみてほしい。


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