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祝!108期生口上「清く正しく美しくの教えを胸に…」

 現在休演中の大劇場。お隣の宝塚ホテルもかなり静かですが営業を続けています。観劇予定だった方が、「ホテルだけでも泊まりにきました」とチラホラ語って帰られます。さぞかし残念だったでしょう。

 この時期の公演は必ず初舞台公演です。私は2000年に初舞台を踏みました。花組公演「あさきゆめみし」そして「ザ・ビューティーズ」。「歴代でも足上げが多いラインダンスだね」と言われる程、初々しく可愛いラインダンスというよりは、本格的なラインダンスをしていた記憶があります。

 お稽古中にロケットのお姉さんであり、ラインダンスの前にソロを歌われていた当時からスターさんだった春野寿美礼さんが輪になった初舞台生の真ん中に立ち、お一人で歌って下さった思い出があります。どんな顔をしたら良いのか分からなくてただただじっと見ていた記憶があります。
私の初舞台。なんだかフワフワと実感なく舞台に立たされていたようでした。どう立てば良いのか…良く分からないまま「こうあらねばならない。」という理想ばかり掲げていた様に思います。肩に力が入って人にもトゲトゲしていた様に思います。何も出来ないのに何かが出来る気でいた様に思います。今考えるとそうする必要もなく、状況を楽しめたら良かったのですが、自意識の強い当時の私は自分がどう見られているのかばかり気にしていました。同期しか知らない劇団でこれからどんな事が待ち受けているのか知る由もなく無我夢中でした。新人公演で日本物なのにラップの歌がありソロを頂きました。本役さんは悠真倫さん、何故か男役でした。(笑)


 ラインダンスの振り付けの大谷先生が、お稽古で音楽をかける前に

「あんたたちの人生を見せて!!」

と叫びます。当時の私には意味が分かりませんでした。「踊りに人生が見えるの?」と…今考えると凄い台詞を叫んでいたんだなと思います。先生には人生が見えていたのでしょう。手の上げ方、足の上げ方、目線や顔つき、最後までどう踊りきるのか。そこには当人の想いが全て反映されているのです。
 街では黒髪の初舞台生を見かけます。彼女たちは今、初舞台が踏めずどんな心境でしょう。聞きたくても今は話す事さえ躊躇われます。彼女たちはコロナ禍と共に音楽学校に入学し、初舞台まで過ごしています。タカラジェンヌの中でも今まで味わった事の無い事を沢山感じながら舞台の再開を待ちわびている事でしょう。再開したらどんな人生を観せてくれるのか今からとても楽しみです。がんばれ!!

焦らず騒がず…しかし、早く観たいなぁ…

すーさん

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