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女の要求

女にそこでしてみてと言われると言われるがままに自分が出した体液をペニスの先に塗りつけてぬらぬらと指先で弄んだ。親指と人差し指で赤くなったそれを包み込んでゆっくりと上下に動かすと、受話器に声が漏れて女まで届いた。

「もっとしてみて。ほら、見ててあげるから。可愛い。」

静寂に声が響いている。オフィスには私しかいない。誰が入ってきてもおかしくはない場所で下半身を露わにして呼吸を荒くしている。身体が熱くて空調が効いていても身体は汗ばんでしまう。

「恥ずかしい?可愛い。私は可愛いものが好き」

受話器の向こう側にいる女の存在に感じている。快楽に開かれて女の耳に声が届くたびに官能の神経に触れて痙攣する。私は女の声で射精する身体になりつつあった。

「可愛いものを食べるってなんかいい。可愛いものって庇護の対象でしょ。それを食べるっていうのは欲望に負けた人間の弱さを表しているの。私はこれからも可愛いものを食べ、支配し、握り潰してそのようなやり方で愛していきたい」

予測では大震災が来ると地下鉄は水没するらしい。だから地下鉄を利用する私の命が助かるかどうかは運次第である。地下鉄で溺れ死ぬのは怖いだろうなと思う。しかし女に食い殺されるのとどちらが怖い?もちろん女に食い殺されるのがもっとも恐ろしくもっとも美しい。

「可愛い。でも射精したらダメ」



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