2024/05/20 「森林の日」
ぼこぼことした地面と、木に付いている新しそうな傷。
森に入る小道をまだ30分も歩いてないというのに、そんなものに出会ってしまった。ざっと周囲を見回して、さらに音に耳を澄ましてみてから、ラジオを付ける。
「帰ろう」
ずんずんと先に行ってしまった同居人に声をかけると、驚いた顔で彼は叫んだ。
「なぜ?」
鳥が驚いて飛び立っていく。
「何かいる……。熊かイノシシか……運がよければ鹿かもしれないけど、でもどちらにしても会わない方が良いモノだよ。ここは私たちの領域じゃないんだから」