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Inclusive Designの重要性

今日の写真は、調べ物をしていたときに偶然見た、深澤直人さんがプレゼンで挙げていた無印のコンセプト。
凄い納得させられた


今月の初めから第二セメスターが始まり、新しいプロジェクトに取り組んでいる。

テーマは「Aging Society」
日本ではもちろん、北欧でも高齢者に関する問題は深刻になりつつある
その中でデザイナーは何ができるのか、
実際に高齢者へのリサーチを踏まえて各々が気づいた点からデザインしていく課題

課題をはじめる前は少しだけ面倒くさそうな気配を感じてしまった。
いかにも問題解決型の匂いがした
なにか高齢によって抱える問題を取り上げて、それを解決する"何か"をつくる。
一昨年に少し似たようなプロジェクトを京都でやったな

でも、序盤から直ぐにその気持ちはなくなった
最初のレクチャーで先生が
「みんなに取り組んで欲しいことは高齢者のための何かをつくることではなく、Inclusiveなものを作ることだ」って言ったから。

聞いたとき、凄いハッとするような感覚があった。
けど、その感覚を把握して言語化するのに少し時間がかかってしまった。

Inclusive=包括的な って意味だから、
高齢者だけでなく、全体を捉えたデザインをすべきなのか。
対象のみえないデザインは恐ろしい
誰もが使えて、誰も使わないものになる恐れがある

学生の一人が少し得意げに
「つまりUniversal Design ってこと?」って聞いた。

先生は凄い苦虫を噛み潰すような顔で(俺にはそう見えた)
「まあそういうこと」って答えてた

なんとなくそれは違うのではないかと俺は思う。
Universal Designの概念自体は悪くないと思うけど、そう言われて世に出てくるデザインは全く好きになれない

これは完全に個人的な感覚だけど
なんだか言い訳に使われているような気がしてしまう。
ユニバーサルデザインだから、コンセプトや機能が大事なんだ
見た目の問題ではないって言ってくるように感じてしまう。

翻ってInclusive Designはどうか
包括的なデザイン、
色んな条件や環境を包括して、それでも成立するデザイン
脳裏にあるプロダクトが浮かんだ。

伝説的デザイナーDieter Ramsが使っていたことで知られる杖
実際にデザインしたのはデンマーク人で、1958年のもの

半世紀以上も前のデザインなのに、全く年代感を感じることがない
この杖は今すぐにでも欲しい、と自分で思う。

無駄のない、目的に即したシンプルな機能で
素材を活かした美しいかたち


自分が高齢じゃなくて杖が必要なかったとしても、良いと思わせる。
これを思い出したとき、
「これこそがInclusive Designなのではないか?」と思った。

時代や、デザインの対象、機能など様々な要因によって評価軸は変わる。
けど、例えばこの杖はそういうものに囚われない、と思う

どの時代でも機能し、どの世代の人間が見ても美しいと感じる。
多分だけど、Inclusive Designの真意はそこにあるのではないか

今回の課題に今の考えを置いてみる

高齢者向けのものを考えた場合、
圧倒的に一般のものよりも求められる機能は多い。

しかし、世に溢れている高齢者向けのプロダクトは
当たり前のように高齢者のことしか考えていない。

今回の課題で求められるのはそういった、
高齢者のためだけの何かをデザインすることじゃない

高齢者のことを考えた切り口から始めて、最終的なプロダクトがより包括的なデザインになることを目指す。
究極、その切り口から生まれたデザインを見て若者が
「あれめっちゃカッコいいなぁ、早くあれが必要になるようになりたいわ」って感じるようなデザインが最高だと思う。
勿論、全世代が使えたらベストなんだけど

凄く難しいとは思うけど、今後重要になるテーマだと思う
それに不可能だとは全く思わない。

少なくとも俺は今、
おじいちゃんになったときにあの杖を使うことを想像すると楽しくなる

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