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好きなデザインについてぐだぐだ話す vol.4 lobi stool

忘れた頃に忘れないように何かをする
ずっと続けていくと、忘れないように続けていたことすらも忘れて続けられるようになる
いつの間にか自分の習慣になる

そうなってほしいな、かと言って重荷にもしたくないなと思いながら
気ままに更新してきたnote
でもこのコーナーの存在を完全に忘れてた。

「好きなデザインについてぐだぐだ話す」

割とこうやって緩い感じで自分の好きなデザインについて語る場ってほしいなと思ってたから、気に入ってたのに思いっきり忘れてた。

ということで、今日はエジプト出発を明日に控えてるのもあるので
俺の大好きなアフリカのスツールについて。

テーマ写真とは違うものだけど、これもlobi stool
名前の由来はブルキナファソ(アフリカにある国)の中のlobi族が使用していたところにある。
だから特定のかたちを示しているというよりは、スタイルの話し。

木の三叉に別れている部分をうまく切り取り、そのままスツールとして使っている。
生産プロセスの面からみても効率的
たぶん座の部分は多少研磨してあると思うけど、ほとんど自然の中から取り出してきた、そのまんまで成立している

だからなんだと思う
とても生命力というか力強さを感じる
原始的な人間の道具だということは伝わるし、一方で生き物のような愛着感も感じられる。

初めてこのスツールの存在を知ったのはある雑誌から。
椅子の特集が組まれた本だった
何度も見たことがある北欧の名作椅子や、
有名なデザイナーが作ったミッドセンチュリーのモダンな椅子がたくさん載ってる中、このスツールも取り上げられていた。

このスツールに圧倒された
雑誌の中でこいつ以外の椅子があまりにも綺麗につくられすぎていたからかもしれない。
lobi stoolほど人間に近い、道具であり、相棒とも感じられるような椅子はその雑誌の中にはなかった

「優しい、温かみのある北欧の椅子」
それらは当然それらとして良い。
木の素材を活かして、人間が座ったときに心地よさを感じられるよう追求された椅子
こっちに留学してきたくらいだから、もちろん北欧の家具は大好きだ。

でもlobi stoolは、北欧の椅子やモダンな椅子たちとは全く異なる世界にある
北欧の椅子は使用者のために徹底的に設えられたもの。
対してlobi stoolは元々の木のかたちが圧倒的な力を持っている。
人はそれに適応しているだけだ

すごいなって思った
なんかその姿勢って家具やモノに中々ないなって思う。
人が主体で、人のために道具をつくるのではなくて、
周りの環境に人が適応する形で道具として使う。

雨が降り出したときに傘がない。
だから木陰の中に入って軽く雨宿りをする
葉っぱの間から少しは雨も漏れるかもしれない。
だけどそんなに問題ではない、
雨に濡れながら傘を買いにコンビニに行く必要なんてない
少し待てばいいだけ。
ひょっとしたら待っている間に、他にも誰かが雨宿りしにきて仲良くなれるかもしれない。

なんてことも環境を道具として使った一例って言えるんかな
ひとつわかることは、環境を道具として使う場合、
そこには予想できないことがたくさんあるということ。
それらは偶発的で、毎回違うから大衆に向けた道具として生産することは難しいかもしれない。

だけど、もうずっと前から人は環境に対応して、発展してきた
予想していないことに工夫して対処するのは、まさにクリエイティブの根源だと思う。
予想できるモノを生み出すことはクリエイティブかもしれないけど、
それを使う行為はクリエティブではない
予想された範囲内での使用しかできないから。
もっともっと環境に対応して生まれたモノがあってもいいなって思った。

一方で逆説的になるけど、予測できない環境を掌握するために努力してきたから
人はここまで発展してこれたとも思う。
だから人が主体でモノを生み出す考えっていうのは、これからも絶対に必要


すぐにどっちが正しいか決めないといけなくなるから大変
どっちも同じくらい大切
今は少し人ベースのものが多すぎるような気がする。
大量生産できるから、資本主義の経済だから。

少しずつ時代も傾きが戻っている気がする。
少量生産だけど、ストーリーをもつ面白いものが評価され直している
今後自分が作っていきたいものの答えはこっちにある気がするから、
もう少し深く、深く考え続けていきたい。



余談だけど、このスツールは木の枝分かれした部分を使っている
大抵の場合ここって部材的には使えないから捨てられることが多い。
そういう意味でも環境に対応したデザインだと思う
ひょっとしたら生まれた経緯とかも
「おいっ! 切り捨てた木のこの部分ひっくり返せば座れんじゃん!!
 捨てるはずの部材だから丁度いいし!」
なんて誰かの環境から生まれたアイデアだったかも

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