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第57回「春の祭典」をめぐるお話

2024年も走り回ります!

新年が明けてもう1ヶ月が過ぎようとしていますね。はやい…!
今年も様々な合唱の場を走り回ろうと思います。よろしくお願いします!

「春の祭典」とは


 鹿児島県中学校音楽コンクールのこと。主に合唱部門のコンクールとして開催される、言うなれば「クラス合唱」の祭典であり県大会!
 具体的には、県下の各中学校で、校内合唱コンクールを勝ち上がったクラスが学校代表として出場する合唱コンクール。今年は79校が2日間に渡って熱演を披露していました。
 このイベント、私が中学生の頃にはもう当然の行事として開催されていたのですが(出場経験はありません)、他県ではあまり聞かない、特異なイベントなのだそうですね。他県の先生方に「そんなイベントがあるの?!」と驚かれたことがあります。県大会とは言っても九州や全国など上位大会があるわけではなく、出場する生徒たちは、とにかく鹿児島でのクラス合唱の金賞を目指す!というわけです。

ドドン!会場は宝山ホール。立派なホールで歌える喜び!

レッスンにお伺いした3校


 今年は、3校にお伺いしてお手伝いをさせて頂きました。
・錦江町立田代中学校
・曽於市立財部中学校
・いちき串木野市立串木野中学校
やけに、遠方の学校からお声かけ頂きましたね。それぞれの出張が小旅行のようで楽しかったです。

田代中学校


 自然豊かな大隅半島、お茶どころ錦江町にある田代中学校には、実はもう8年も通っています。「歌声の響き渡る学校」と掲げ日頃から合唱に親しむ校風を持っていることもあって、年に4〜6回ほどお伺いしては合唱活動をサポートしています。
 小規模校ゆえ「クラス合唱」という概念がなく、「全校合唱」で活動する彼らは、異なる学年から成るからこその味のあるサウンドが特徴。今年は山崎朋子「変わらないもの」に丁寧に取り組み、1・2年の合同合唱で2年の部に挑みました。田代の子どもたちが伝統的に持つやさしさや繊細さが、曲の世界観と噛み合いました。

鴨池ー垂水フェリーで大隅半島へ渡る

財部中学校


 宮崎県との県境に位置する曽於市。音楽科のN先生は、かつて私の師・田丸寛と共演しては素晴らしい演奏をされていた声楽家。当時の私は田丸先生の後をついて勉強させて頂いていた鞄持ちでしたが、10年の時を経てN先生と思いがけない再会を果たし、レッスンのご縁を頂いたのでした。
 栂野知子「My Own Road 〜僕が創る明日〜」に挑んだ財部中。N先生の日頃のご指導の賜物ですでに声がよく出ていて軽快な曲に乗れていたのですが、実は表現が単調になり易いこの曲、軽快な音楽の中にある心の機微に触れる繊細さを含もうと励んでもらったのでした。細かい要求にもちゃんと音で返してくれる、ステキな子どもたち。

先生とまさかの再会から始まったご縁

串木野中学校


 こちら、秋の校内合唱コンクールの審査員に呼んで頂いたところからのレッスン。即ち代表クラスを選んだのも私、ということで責任を持って(笑)、お手伝いさせて頂きました。
 曲はミマス「地球星歌 〜笑顔のために〜」。大人気のこの曲、今回の春の祭典で最も多く演奏された楽曲でしたね。6/8拍子の包容力を感じながらスケールの大きな音楽を描くことができるか、聴かせどころを捉えた表現ができるかどうかが大切なこの曲、男子の多いクラスということでパワフルな演奏は心配いらなかったのですが、男女バランスが悪く女子が埋もれがちになる悩みがありました。その点には並びを変えることで改善を図り、これはとてもうまくいった気がしています。そしてずっとパワフルで単調になりがちだった表現にもテコ入れを図り、難しい表現にもギリギリまで挑戦を続けてくれました。

(トンボ帰りのレッスンで写真がなかった…!)

結果は


田代中、金賞!🥇
財部中、金賞!🥇
串木野中、銀賞!🥈
みんな、おめでとう!

 今年はスケジュールにも恵まれ、3校とも演奏を聴くことができました。そして終演後の生徒たちに少しだけ言葉をかける時間も頂きました。

 3校とも間違いなく彼らのベストの演奏を披露したことが素晴らしかった。
 レッスンの最後、私が聴いたものより遥かに練られた演奏でした。彼らがギリギリまで考え続け、懸命に練習を続けた賜物。

 演奏を終えた彼らの表情は本当に美しく、わずかでもご一緒させて頂けたことを本当に嬉しく思いました。こんな私にまで丁寧にお礼を言ってくれた3校の生徒たち、こちらこそ本当にありがとうございました。

 終演後、3校ともに同じ言葉を贈りました。
 「あなたたちの演奏が、目標である『金賞』に届くかどうかは誰にも分からないことですが、あなたたちの演奏を聴いて、めちゃくちゃ喜んだおじさんが少なくとも一人いたことを、どうか覚えていてください。」と。
 彼らが「合唱」の喜びをしっかりと感じることができていれば、合唱おじさんはそれだけで最高に嬉しいのです。

中学生だからこそ歌える歌がある


 本当にそう思います。思春期を懸命に生きる彼らだからこそ描ける音楽。
 彼らの歌声が、大好きです。
 ご一緒させて頂き、本当に光栄でした。ありがとうございました!

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