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RICOH GR Ⅲ

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RICOH GR Ⅲの使い方や特徴を解説し、作例写真と共に紹介します。プロのフォトグラファーから見た印象と、撮影や設定のちょっとした小技も解説しています。
RICOH GR Ⅲに関するムックマガジンです。使い方や設定だけでなく、撮影した写真やGRにまつわ… もっと詳しく
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記事一覧

メモ道具としてのGR

現在スマホは私たちのメモ道具と化している。食べた物や、行った場所や、会った人、とりあえずなんでも日常のものを撮っておけば、後で見返した時に何をしていたかを辿れる。 最近は年月ごとに自動でフォルダ分けをしてくれるので、スマホの写真アプリ写真自体がそのような「想い出の整理」あるいは脳という記憶装置の外部化のようなものを想定して設計されている。それほどに私たちはメモすることを写真で行うようになった。 GRは機種によっては最近のスマホ画面よりも一回り小さいので、完璧なサイズで手に

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2021年11月 フォトダイアリー

12月ももう半ばで大掃除や年末年始の計画を立てるころなのに、いまごろ11月の日記を書いてみる。師走は時間の流れが早い。 日記といってもここではほぼ写真だけのフォトダイアリー。昔ブログでやっていたようなことを、再びこの場所ならできるような気がして試みてみる。 緊急事態宣言が解除されたといっても僕の動きはほぼ変わっていない。街で飲み歩いて、たまに自然や山に入って、また街に戻って歩いて、という繰り返し。 ただ以前と異なるのは、街に人が溢れるようになったということ。町中の人々が

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GRで夜を撮る

フィルムカメラを使っていた時は、夜の写真を半ば諦めていた。それでもアシスタントや日中の仕事をしている時は、写真を撮る時間が夜しかないから、カメラと三脚を持って夜の街に出ることになる。 今はどのカメラも高感度が強くなって、手ブレ補正も付いているので夜でも簡単に写真が撮れてしまう。 GRも[デジタル]世代のモデルは厳しかったが、現行GRになって夜間耐性が大幅に向上した。むしろ、撮れすぎるから光の無い中でどこまで撮れるのかを試すように夜をさまよう。 夜、写真が撮れるようになる

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40mmのレンズが載った、RICOH GRⅢx

RICHO GRⅢに40mmのレンズが搭載されたモデルが発表された。その名もGRⅢxである。アップルやキャノンの新製品発表を差し置いて、それは何よりも嬉しいニュースだった。GRⅢときたら次はGRⅣのはずなのだが、そこに行かなかったのは「GRⅢが時間をかけて完成度を上げて作ってきたカメラである」からと商品企画の岩崎さんは述べている。発売されて2年半経つが、今回はそんなGRⅢをベースにラインナップを広げるかたちでの展開となった。 これは一気にユーザーが増えそうな予感がする。長年

海とGR

写真と海は相性がいい。 ぶらぶら歩いて撮ったり、旅行先の海で撮ったり、モデルを連れてポートレートを撮ったり。モデルでなくても友人や好きな人や家族や犬でもいい。生命が生まれた場所だからだろうか、海は人を自然な雰囲気にさせる気がする。 これまで多くの写真家が海にまつわる写真を撮ってきた。海そのものを撮る写真家もいれば、海を背景にする写真家もいる。ホンマタカシ、マーティンムンカッチ、マーティンパー、リケネ・ダイクストラ、シャルル・フレジェ。彼らのプロジェクトに現れているように、

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GRの持ち方と、ストラップどこにどう付けるか問題

GRが小さいように、GRに関する問題もほとんど小さいものである。 ストラップなんて、勝手にしやがれ。そう思うだろう。 GR3はストラップを取り付ける場所が3つある。 この写真で見て、右上、右下、そして左上だ。 純正で入っているのは、上写真のリストタイプのシングルストラップ。 なにかのおまけのように無難で、地味で、味気ない。 だが僕はこの最初から付いてくるストラップをとても気に入っている。気に入っているというより、気にかけていない。それほど自然な存在感のストラップだ

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旅とGR

思い返せば、今まで旅と相性の良いカメラばかりを使ってきた。 香港とインドネシアに行く時は旧GR3を手にし、ベトナムとフランスに行くときはシグマDP2メリルを買った。 旅に出るためにカメラを持つのか、カメラを使うために旅に出ているのか自分でもよくわからない。きっと両方が好きなのだろう。 他にもFUJIFILMのx100fやM型ライカ。フィルムだと、コンタックスT2にビッグミニ。 ある地点から、ある地点へ移動していくような旅では身軽であるに越したことはない。だからいつもコ

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GR3の動画性能

コンデジの動画機能というのは、おまけ程度に付けたものが多く、今まで積極的に使う気がしなかった。 しかし、それはもう過去のものになっている。 現行で発売されているコンデジを触ってみると、動画も良く撮れることがわかる。ミラーレスや一眼レフにおいては、動画機能を重視している機種が増えていることを考えれば、コンデジ動画の進化も納得できる。 僕が前回のGR(DIGITAL3)を使ったのはもう10年も前なので、それに動画機能がついていたかははっきり覚えていない。おそらく”おまけ程度

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GR3の描写性

GR3の描写に関して感じることは、素直な色彩表現をするということである。 誇張もなければ、謙遜もない。 ただ素直な色の表現をしてくれる。 それはデジタル1~4世代の頃からもともと感じた傾向ではあったが、新型GR3に関してますます画質がアップし、再現性がよくなったと感じる。センサーサイズが大きくなったことと、センサーそのものの性能が向上したためだろう。 僕はカメラの色彩表現を確かめるために、よく夕暮れや明け方の空を撮る。 その絶妙なグラデーションや、空気感を写し取れる

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GR3を買ったら最初に行う10個の設定

ホンマタカシさんの、僕が勝手に名著としている「たのしい写真」にアフォーダンスという表現が出てくる。簡単に言うと、機能と外観がしかるべくして融合しているプロダクトのことである。 例えば、ドイツにラミーという筆記具メーカーがあるが、彼らの作っているボールペンは親指、人差し指、中指の3本で握る部分がまろやかな三角形の形に美しくデザインされている。それはデザインとしての意味もあるが、実は正しい握り方で、筆記法を補正するための意味もある。ブランド品で大人の道具であると同時に、ドイツの

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GR3 ファーストインプレッション

昔から変わらないのがGRだ。 変わらないことが美徳であることをボディデザインで伝えるように、GRは変わらない。むしろGR3になってそのサイズ感をよりフィルム時代に近づけ、過去に戻ろうとしているようにも思える。 その変わらなさが安心感を生み、昔からのユーザーの心をつかんでいるし、ひとつのカメラとして完成度の印になっている。これ以外のデザインはありえないと言わんばかりに。 実際にその使いやすさと、撮りやすさは不変だ。 以前使ったGRは、GR digital 3という機種で

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再会して再開する、RICOH GR3

始めてGRを手にとった日のことは今でもはっきりと覚えている。 2011年、東日本大震災の年。4月のある晴れた土曜日の朝だった。 マップカメラから届いた小さな箱を開けながら、コンパクトカメラのくせに5万もして高ぇな、と思っていたのを思い出す。 3月に地震が起きて、吉祥寺の半地下の変な家で一人暮らしをしていた僕は、ひとりで暮らすことが怖くなった。タイミングよく友人の住む新宿のシェアハウス(こちらも十分変な家だった)が空いたので、遊びに行くよう格好で、すぐさま転がり込んだ。