見出し画像

老いらくの恋 第16話

魅力的な女流作家に恋しています。
私は気に入った作家に出会うと、連続してその作家を追う癖があります。

第1回目は 柚月裕子(ゆづき ゆうこ)さん
柚月さんの代表作は『最後の証人』、『検事の本懐』とつらなる、検事佐方貞人シリーズだろう。
秋霜烈日(しゅうそうれつじつ)を絵に書いたような、硬骨の佐方貞人は難事件を解決していく。その過程では、検察トップの事なかれ、保身の態度とぶつかっていく。一読の価値あります。

柚月裕子「慈雨」
私が最初に読んだ本は佐方シリーズではなく、『慈雨』です。2019年4月 初版。

主人公の神場智則は群馬県警捜査第1課の刑事であった。
定年を迎え四国遍路を企画する。
妻の香代子は同行すると言い出し、二人で歩き遍路をすることになった。
実は神場には大きな屈託があった。退官直前におきた幼女殺害事件を未解決のまま退官したのだ。
夫婦二人で歩き遍路をしながら、色々な背景のある人と出会い、後輩刑事と連絡を取り合いながら、事件解決に向かう。
Detective storyとしても秀作と思う。四国に縁のある人にはお勧めです。

柚月さんの本も点訳しました。点訳したのは「あしたの君へ」です。

柚月裕子「あしのた君へ」

主人公の望月大地は、昨年夏、裁判所採用綜合職試験に合格し、この春、 “家庭裁判所調査官”に採用された。まだ22歳。
恥ずかしながら私(土岐)は“家庭裁判所調査官”なる職務があることを知りませんでした。
家庭裁判所は、夫婦や親族間の争いなど家庭に関する問題を家事審判などで解決するほか、非行した少年について処分を決定する。
法律的な解決を図るだけでなく、意見の背後にある人間関係や環境を考慮します。
家庭裁判所の裁判官は多忙で、これらの人間関係や環境を調査する余裕がない。そこで“家庭裁判所調査官”の出番です。
望月大地は九州の福森(福岡のもじり)家庭裁判所に配属になった。担当は少年犯罪です。
最初に担当したのは17歳の少女の窃盗事件だった。調査を進める過程で、犯罪にいたった背景を知ることになる。
望月大地はもがきながら、成長していく。
私(土岐)は、成長物語が好きです。
6月に出版される拙著「我的愛人」も成長物語です。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?