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UNARGON ARCHIVES

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突如電子の海より出土した、過去の日記群からチョイスした文章を収録してゆきます。
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記事一覧

【日記】20061123

kiss 60日。 その日、僕たちは、自分たちに残された寿命があとそれだけであることを知った。 この地下世界に閉じ込められてから、どのくらいの時間が経ったのだろう。 色とりどりの巨大な積み木が組み合わさってできたような、この薄暗闇と深い静寂の世界で、僕たちは静かに呼吸しながら、おのおの物思いに耽っていた。 僕は、むこうの淡いピンク色の三角柱の陰で膝を抱えて座っている女性を見た。 23/11/2006

【日記】20060212

部分的にしか覚えてないや 険しい山道を、赤い服を着た邪悪な小人が跳梁している。 目の前を通るとき、狙いをつけて煉瓦大の石をぶつけると、すさまじい叫び声をあげて死ぬ。 調べると、暗号指令文書を携えている。 12/02/2006

【日記】20060802

目玉 目玉が取れた。 机の上に転がった球体を、残った方の目で眺める。 舐めかけの飴玉のような光沢だ。 しかし、目玉とはこんな模様だったろうか。白と黒とが半分ずつ、緩やかに波打つ境界線によって、分けられている。 指でそっと球体をつまみ、鏡を見ながら、顔の本来あるべき位置に戻す。 と、その瞬間、眼窩の中で、二つの目玉がぐるりと回転した。 そして両の眼に現れたのは、白と黒とが互いに咬み合う、陰陽のシンボルだ。 02/08/2006

【日記】20060319

4~5年前の(記録による) 部屋の壁に、一辺25センチ四方、奥行き3センチくらいの額がかかっており、その中には、白菜のキムチが縦横等間隔に並べてピンで留められている。 不意にあたりがカタカタと小刻みに振動し始め、額の下の隙間からなにやら濁った色の液体(キムチの汁だろうか?)が流れ出てきたかと思うと、振動はガタガタといよいよ激しくなり、額のガラスにビシッと音を立ててひびが入る。 パリーン!とガラスが砕け飛び、ボコッ!と音がして、壁から破片が飛び散り、直後にドーン!と壁がこ

【日記】20060406

kubiblood 朝起きたら枕が血塗れになっていた。まるで殺人現場のような有様だ。 眠っている間に、首のところに穴が開いて、とめどなく出血したのだ!! よく止まったものだ、と感心する。 06/04/2006

【日記】20060925

translated by 翌朝目を覚ました私は、左足の内側の踝に小さな傷ができているのを発見した。よく見ると、アルファベットの文字になっており、「TA」と読み取れる。青みがかった光線の中、私の心に漠然とした不吉な感覚がよぎった。(「踝帝国の逆襲」より抜粋) 25/09/2006

【日記】20060513

travessia ホーザが死んだ。 ジョルジはそれを知り合いから伝え聞いて知った。彼女はセルジオと結婚して暮らしていたらしい。 ジョルジは知人から聞いた住所を宛てに、その家へと向かった。 あらかじめ連絡しておいたので、玄関でセルジオが彼を出迎えた。 立ったまま2人は二言三言、会話を交わした。しかしジョルジは上の空で、静かで薄暗い室内にあるテーブルクロスや亜熱帯の植物の大きな葉、黄色いステンドグラスで飾られた玄関の採光窓、明るい庭の立ち木などにその視線を彷徨わせた。

【日記】20080927

ウナーゴン・アーカイヴズは、電子の大海に埋もれて忘れ去られていた過去の作品群を、気が向いたときにサルベージ&ピックアップし、収録してゆく試みです。 ここでは突如出土した古の日記を収録しています。発表するにあたっては、改行等の調整を行うほか、文書の一部が謎めいて消失しているケースが確認されたため、内容そのものが日記修復師の手により補修されて公開されることもあります。 いつでも気楽に読める、オヤツ的なコンテンツを目指しています。 麦畑 壊れかけた、でもおそらく使われているであ

【日記】20070713

六本木 6の累乗階に停止するというエレベーターに乗った。 最初に降りたのは6階。 大勢の買い物客で賑わっていた。同行した仲間によると、このフロアはすべてショッピングモールになっているらしい。しかし、見た限りでは、広大なスペースはほとんど存在しないようだ。比較的小さめの空間に複数の店舗が入ったものが、半階くらいずつ複雑にずれこんだりしながら、おびただしい数の真っ白な階段によって連結している。エスカレーターはない。聞くところによると、各階の連絡にのみ巨大なエスカレーターが使

【日記】20070328

Q.これはなんですか? A.電子の大海に埋もれ、忘れ去られていたウナーゴンの過去の日記群(現在は公開されていません)が突如、出土しました。そこからサルベージした文章を気が向いたときにピックアップし、アーカイブしてゆく試みです。発表するにあたっては、改行等の調整を行うほか、文書の一部が謎めいて消失しているケースが確認されたため、内容そのものが日記修復師の手により補修されて公開されることもあります。メインコンテンツの合間に気軽に読める、オマケ的なコンテンツを想定しています。