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UNARGON ARCHIVES

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突如電子の海より出土した、過去の日記群からチョイスした文章を収録してゆきます。
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2020年8月の記事一覧

【日記】20060802

目玉 目玉が取れた。 机の上に転がった球体を、残った方の目で眺める。 舐めかけの飴玉のような光沢だ。 しかし、目玉とはこんな模様だったろうか。白と黒とが半分ずつ、緩やかに波打つ境界線によって、分けられている。 指でそっと球体をつまみ、鏡を見ながら、顔の本来あるべき位置に戻す。 と、その瞬間、眼窩の中で、二つの目玉がぐるりと回転した。 そして両の眼に現れたのは、白と黒とが互いに咬み合う、陰陽のシンボルだ。 02/08/2006

【日記】20060319

4~5年前の(記録による) 部屋の壁に、一辺25センチ四方、奥行き3センチくらいの額がかかっており、その中には、白菜のキムチが縦横等間隔に並べてピンで留められている。 不意にあたりがカタカタと小刻みに振動し始め、額の下の隙間からなにやら濁った色の液体(キムチの汁だろうか?)が流れ出てきたかと思うと、振動はガタガタといよいよ激しくなり、額のガラスにビシッと音を立ててひびが入る。 パリーン!とガラスが砕け飛び、ボコッ!と音がして、壁から破片が飛び散り、直後にドーン!と壁がこ

【日記】20060406

kubiblood 朝起きたら枕が血塗れになっていた。まるで殺人現場のような有様だ。 眠っている間に、首のところに穴が開いて、とめどなく出血したのだ!! よく止まったものだ、と感心する。 06/04/2006

【日記】20060925

translated by 翌朝目を覚ました私は、左足の内側の踝に小さな傷ができているのを発見した。よく見ると、アルファベットの文字になっており、「TA」と読み取れる。青みがかった光線の中、私の心に漠然とした不吉な感覚がよぎった。(「踝帝国の逆襲」より抜粋) 25/09/2006

【日記】20060513

travessia ホーザが死んだ。 ジョルジはそれを知り合いから伝え聞いて知った。彼女はセルジオと結婚して暮らしていたらしい。 ジョルジは知人から聞いた住所を宛てに、その家へと向かった。 あらかじめ連絡しておいたので、玄関でセルジオが彼を出迎えた。 立ったまま2人は二言三言、会話を交わした。しかしジョルジは上の空で、静かで薄暗い室内にあるテーブルクロスや亜熱帯の植物の大きな葉、黄色いステンドグラスで飾られた玄関の採光窓、明るい庭の立ち木などにその視線を彷徨わせた。