見出し画像

旅ログ056 千歳船橋〜和泉多摩川

この季節にしてはとても暖かい。
南へ向かって歩いた。
10日前に降った雪の残りを見つけたが、今日のこの気温では、あと1時間も経たずにすべてとけてしまうだろう。

しばらく住宅街を歩くと、大きな道路に出た。

「環状8号線」だ。
私はわたった。
今日、実に5か月ぶりに、メトロポリスの外へ出たのだ。
さらに南へ進むと、大きな公園があった。

午後になり強くなってきた南風が、大きな杉の木を激しく揺らしている。
さぞかしたくさんの花粉が舞っているのだろう。
杉の花粉を感じとる能力のある人はけっこういて、今日のような日はとてもつらいらしい。
きっと家から一歩も出たくないだろう。
花粉を感じ取れない私は、人もまばらな公園を南西に進んだ。
すると見事な梅の林があった。

心なしかいい香りがする。
林の西側は崖のようになっていて、眼下に住宅が見えた。

急な階段を下っていくと、川に出会った。

久々に会う仙川だった。(旅ログ011/017/018/029/040)
仙川を越えて西へ行くと、すぐに今度は野川に出会った。(旅ログ012/014/019/029/041)

近い。
今までも近いとは思っていたが、下流に来てここまで近いということは、仙川と野川は、もう少し下流で合流するのかもしれない。
それはぜひ見てみたい。
ただ今日は、野川をわたってそのまま南西へ進んだ。
多摩川様に会いたかったからだ。
住宅街に土手を見つけ、その向こうに多摩川様がいると思った。
「お久しぶりです」と言おうとして、私は驚いた。
水がない。

大河が流れていると思った場所は、警察官が二輪車の訓練をする場所になっており、怒号が飛び交う厳しい修行が行われていた。
なぜ水がないのか。
あれほどの大河が枯れてしまうことがあるのか。
強風に煽られながら、私は土手の上を西へ歩いた。
訓練場の端を過ぎるところで、土手から河川敷に近づけるようになっていて、ようやく多摩川様に出会えた。

水はたっぷり流れていた。
ばかだな私は。
多摩川様が枯れるほどの天変地異があったら、とっくに私は死んでいそうだ。
そのまま川沿いを西へ進むと堰があり、多摩川様の水量を存分に確かめることができた。

満ち足りた私は少し川を離れ、「和泉多摩川(いずみたまがわ)」の鉄道駅で旅のログを終えた。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?