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パリパラに向け、ブラサカ代表がやっている少し変わったトレーニングについて

みなさんこんにちは。全盲のパラアスリート 兼 広告代理店 株式会社トーコンで働く日向賢です。

今回はブラサカでのちょっと変わった?トレーニングについて紹介します。

それは「ボイストレーニング」です。

とはいえ国歌斉唱のためにみんなで歌のトレーニングをしているわけではありません(笑)

以前よりブラインドサッカーでは声のコミュニケーションが非常に重要であるということはお伝えしてきました。
ルール上でもディフェンスをするときにvoy(ボイ)※という声をきちんとレフリーや相手選手に聞こえる声で発声しなければ反則になります。
※《スペイン語で、行くの意》ブラインドサッカーで、守備側の選手が相手に向かっていくとき、ボールを奪いにいくときに発する語。

そのため、きちんとした発声をしたり、チーム内で円滑なコミュニケーションをとるための武器としてブラインドサッカーの日本代表チームではボイストレーニングを取り入れています。

実はこの取り組みはここ最近始まったものではなく、2021年に開催された東京パラリンピック出場前から実施していました。

トレーニングが導入された初期のころは日本代表チームは世界と比較してもvoyを発声しないことで取られてしまうファウルの数が多いことが、分析で分かっていました。
実際このファウルが蓄積し、第2PKという通常のPKよりも少し遠い位置から蹴るPKを取られ、失点した結果、試合に負けたこともあるぐらいでした。

その時になぜvoyの発声ができないのかということをチーム全体で分析した結果、「発声していないのではなく、声が小さく、レフリーであったり相手選手にきちんと聞こえていない」ことが原因の一つであることがわかりました。

選手目線としても「voyを言っているのになぜ国際大会ではファウルをとられるんだ」と感じていました。
私自身の話としてはレフリーに「君のvoyはシャイvoy(boy)だ」と言われたことがあるぐらいです(実話です)

そういったネガティブな部分の改善と、上記に挙げたコミュニケーションをより円滑に行うために、チームトレーニングとしてボイストレーニングが導入されました。
今では「声を武器の一つに使用」という意識でトレーニングを継続しています。

こちら日本代表チームのボイストレーナーがテレビ番組内で紹介された際のURLになります。ボイストレーナーとしての想いなども紹介されているのでご参照いただければと思います。

では、実際どういったトレーニングをするか、、、ですが、

胸郭という旨周りを中心としたストレッチであったり、
うまく体幹を使い声を出しやすくするトレーニング、
喉ではなく体全体を使った発声練習、・・・といったものが主になります。

特にストレッチであったり、体幹を使った発声(かならずしも大きな声を出すものばかりではない)については普段のウォーミングアップであったり、自宅でのケアを行う際にも各自意識をして行うようにしています。

最後に、ボイストレーニングをしたことで何が変わったかという事について紹介して終わろうと思います。

まずは声の発生がしやすくなり、力まなくても大きな声であったり、伝わりやすい声というものが出しやすくなったと思います。
その結果試合中によりよいコミュニケーションがとれるようになりました。
キーパーであったりコーチに関しては言葉が伝わりやすくなったことで指示が明確に伝わるようになったり、声がかれにくくなったと以前話していました。
また、距離であったりシチュエーションに合わせて声の出し方を変えられるようになり、相手に威圧感を出すような声を出したり(守備の時など)、遠くにいる味方に伝わりやすい声を出したり(パスを呼び込むときなど)、シーンごとに使い分けられるようになったと感じています。
まさに声を武器として活用しています。

今回は一見なんでそんなトレーニングを?と思われるかもしれない少し変わったトレーニングについて紹介しました。

声を出す、人に伝えるということは仕事にもつながることが多く、みなさんにも役立つ部分があるのではないかと思います。

手軽に実践できるストレッチなどもあるので、興味を持たれた方は聞いていただければお教えします!

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