Elasticity of the Flexor Carpi Ulnaris Muscle After an Increased Number of Pitches Correlates with Increased Medial Elbow Joint Space Suppression.

Akira Saito et, al. J Strength Cond Res. 2021 Sep 1;35(9):2564-2571.

要約

 普段の臨床において内側部に疼痛のある野球肘症例をみる際に、練習後から前腕屈筋群あたりが張る、投球後に内側部痛がでる、などといった筋性の症状の訴えをよく聞きます。
そこで、本日は投球によってどの筋の筋緊張が変化するのか、それは何球くらい投じると変化するのか、について報告された論文を紹介します。
対象は26名の大学性投手です。方法は15球×7セットの投球が行わせ、15球ごとに超音波画像装置のエラストグラフィーを用いて円回内筋、橈側手根屈筋、浅指屈筋、尺側手根屈筋の組織弾性率を評価されています。
その結果、45球から浅指屈筋、60球から尺側手根屈筋の組織弾性率が有意に高くなりました。

感想

 臨床において、投球後に前腕屈筋群が張る、といった現象はよく見られます。今回紹介した論文の筆者は円回内筋にも着目すべき、という趣旨の論文を出されていたりもします。
 本研究からは、投球によって浅指屈筋、尺側手根屈筋が張りやすいことがわかりましたが、私たちセラピストやトレーナーはなぜその部位は過剰に張るのか、を考える必要もあると思います。今後も局所がどうなっているのか、その局所にはなにが影響するのか、の着眼点を意識して運動療法を進めたいと思います。

報告者:中井亮佑


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