頚椎に関する基礎知識:MRIを用いた外傷性頚部症候群後のMeniscoidの形質変化についての検討

SCOTT F.FARRELL et al:Morphology of Cervical Spine Meniscoids in Individuals With Chronic Whiplash- Associated Disorder: A Case-Control Study.
Journal of orthopedic & Sports physical therapy(46)2016.
【概要】
本報告では、MRIを用いて慢性外傷性頚部症候群(WAD)患者における、メニスコイドの形質を検討しています。対象は、3ヶ月以上症状が継続しているWAD患者20名(平均年齢:39.3±11歳)とコントロール群20名(平均年齢:39.1歳)です。検討方法は、MRIにてT1/T2の信号強度の違いから、メニスコイドの形質を脂肪・線維性脂肪・線維性の3つに分類しています。その結果、慢性WAD患者ではコントロール群と比較して、線維性メニスコイドの比率が高かったとのことです。このことから、慢性WAD患者ではメニスコイドの組織的変化をきたしている可能性があると推測しています。頚椎におけるメニスコイドの機能は、関節面の保護や圧力分散に加えて、関節運動に伴い位置関係を変化させ、受動的スタビライザーとしての作用が報告されています。そのため、メニスコイドの線維化は、頚椎椎間関節の正常な関節面に沿った運動を阻害する可能性があると考えられています。今後は、本報告を参考にメニスコイドの状態を考慮して、評価・治療に繋げていきたいと思います。

報告者:よこた整形外科 石黒翔太郎

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