見出し画像

あこがれのプレミアムミッドサイズオフィス

こんにちはTKさんこと、とっくさんです。

不動産業界に肩から足まで浸かりきって生活しております。主に触るのはオフィスビルを中心とした事業用商業用のビルを扱っておりまして、日々いくらで埋めていくらで募集するべきかなんていう話をしながら日々過ごしてます。

変わらないが日常の不動産

不動産業界の面白いことはオフィスビルや商業ビルは10年20年ではほぼ変わることのない商品だということです。アナログで変化のない業界はあれど不動産ほど高額で変化のない商材も珍しいと言えます。

もちろん小さな変化は徐々に起きているのですが消費者にはほぼ気付かない亀の歩みの如く🐢変化する業界という事です。

突如として現れた新星プレミアムオフィス

オフィス業界ではそれこそ30年、50年単位で扱う商材なので基本的に古いビルでもテナントが入れ替わる毎に少しづつ外壁や共有部を修繕して次のテナント候補を探します。

そこに14年前新星の如くオフィス業界に現れた(もうそんなに経つの?)が野村不動産が展開するPMOというオフィスビルブランドです。ワタシはこのシリーズのオフィスをとても尊敬しており超絶あこがれていたのです。

P(プレミアム)M(ミッドサイズ)O(オフィス)の頭文字を取ったこのビルですが、コンセプトは中くらいのビルにプレミアムな価値を与えてハイスペックなオフィスビルを提供するというコンセプトです。

実は初期コンセプトの2008年〜2009年ではこの手のハイスペックビルは世の中にそれほど無く、時々いらっしゃる個人の資産家ビルが酔狂なハイスペビルをつくるくらいしか例がありませんでした。

もちろんハイスペックビルと言えば天下の住友不動産さんが先駆者ではありますが、彼らの展開するオフィスはハコが大きくてこのサイズの小規模や中規模ニーズには応えられていませんでした。

ビル単体では、ただのハイスペックビルで終わっていたと思います。

それをシリーズ化させた事と、その後デベロッパー各社がこのPMOと似ているコンセプトの新築ビルを量産して来ていることから時代の転換期を作った素晴らしい企画だとワタシは思っている訳です。

初期PMOの魅力と素晴らしさ

第一弾は2009年あたりに作られたPMO岩本町やPMO東日本橋辺りでは無いかと思いますが、これらは驚くほどセンセーショナルな企画でした。

岩本町は50坪に満たないオフィスで東日本橋は70坪程度のオフィスです。

100坪以下のマーケットというのは大型開発を得意とするデベロッパーの苦手とする領域です。このゾーンを果敢に攻めた点がまず最初の驚きです。

オフィスといえば丸の内大手町エリアが最も単価が取りやすく日本橋あたりの老舗ビルが多い立地も同様です。

野村不動産ならば西新宿や新宿にオフィスを構えるというのが安牌ですが、あえてそこを外した岩本町というエリアがにくいチョイスです。

この辺のオフィス坪単価は2009年〜2010年は15,000円程度の坪単価でして、ちょうどリーマンショックの影響もあり更に下降曲線でした。

そこに価格設定確か25,000円前後(当時の記憶)の新築オフィスビルとして登場したので度肝を抜かれたように記憶してます。

ワタシもこの時期はオフィス仲介のいたプレイヤーだったのでこの価格で正気か⁉︎と耳を疑ってありました。

PMOのストロングポイント

実際は初期と中期、最近ではPMOの持つストロングポイントが異なるのですがワタシが大好きなのはこの初期モデルです。

まずはその間取り。50坪に満たないこのオフィスの室内形状です。

PMO岩本町 公式より引用 https://www.pmo-web.com/iwamotocho/floorplan.html

通常50坪に満たないオフィスで、うまい事作ろうとするとエレベーターホールを設けないダイレクトインというスタイルを作りがちです。

しかし、PMOはその選択をせず当時としてかなりしっかりした思想と設計の拘りがあったように思えます。

また、極力柱を目立たせないこの設計も素晴らしく、オフィスビル内のデッドスペースを作らないので室内のレイアウト(席配置)がしやすいというメリットがあります。

ただし、正方形型の場合は会議室スペースなど作りにくいというデメリットもあるのでこれはどう捉えるかの問題です。

これらのデメリットはその後のPMOに引き継がれて改善改修されており現在の形状はその立地に合わせて長方形スタイルを採用しているビルが多いと思います。

次にパントリーやトイレ回りの配置のセンス良さです。

水回りを決まったエリアに固めており、余分なスペースがなくキレイにまとめられています。40-50坪オフィスの場合、このトイレへの動線が歪なオフィスビルが多く、かなりのデッドスペースが生じているケースがほとんどなのです。

PMOはこれを解決させています。

次に興味深いのが同タイミングで企画された100坪未満のPMO東日本橋。これが今後のPMOを決定づけたといっても過言ではないと思います。

PMO東日本橋 より引用 https://www.pmo-web.com/higashi/floorplan.html#commonSpace

70坪で長方形になり同じようにトイレ・パントリーを一方にまとめています。これにより受付手前を会議室にして奥を執務スペースにするようなレイアウトが考えることができ、会議室1の執務スペースや会議室2+執務スペースといった可変性のあるレイアウトが可能になりました。

PMOのウィークポイント

実はこの時期のPMOは水回りをかなりきれいにまとめて余分なスペースを無くしたのですが同時にウィークポイントが出来てしまいました。トイレの個室ブース不足です。

40坪でも70坪でもよく見ると男性トイレの個室ブースが1なのです。

これは貸し室有効面積の確保するためにギリギリ攻めた選択肢として、企画側ではむしろストロングポイントになるところだったのですが・・・・ターゲット層が少しミスマッチしたように思えます。

PMOはハイスペックなITビルをうたい文句にしました。

この年代でここまでのハイスペックオフィスを選ぶテナントは【ITスタートアップ】【急成長ベンチャー】【金融関係の開発】といった比較的オフィス内にこもって仕事をするようなエンジニア職になります

つまりトイレの利用率は営業が外に出るような企業よりも多くなるのです。トイレ戦争やトイレ渋滞のストレスを感じてしまうので、ここは初期PMOの唯一のミスじゃっじかもしれません。

この辺も後期の小規模PMOではしっかり改善されており、個室を2つ作る工夫をしているので課題解決の方法を設計部門や建築部門がしっかり拾い上げて取り組まれたのだと思っております。

PMO五反田2019年竣工 より引用 https://www.pmo-web.com/gotanda/floorplan.html

見事に2019年竣工のPMO五反田ではこの問題を解消しています。これは設計者もかなり工夫してトイレの個室ブース問題に取り組まれたのだと思う技術力のあるオフィスだと感じました。

PMO基準スペックの高さ

さて話をお戻して初期PMOのスペックを確認していきましょう

天井高:2,700mm(無柱空間設計)
電気容量:60VA/㎡(75VAまで増強可)
最大床荷重:500kg/㎡
OAフロア:高さ100mm
システム天井:600×600mm(グリッド式)
個別空調:4ゾーン

https://www.pmo-web.com/iwamotocho/spec.html

ぱっとみわからないので解説をしていきます。

まず天井高2,700mm。これは2023年の今ではある程度高スペックのビルであれば通常仕様なのですが、OAフロアも100mmにしているので実質2,800mm分の天井高をもっています。この時代にしては高いスペックです。

この時期のオフィスは2,600mmの50㎜→基準天井高は2,650mmくらいが当時のそこそこの標準だったと思います。

電気容量は50VAくらいが一般的なビルのスペック。そしてこの規模でグリッド天井はかなり稀な仕様だったと思います。

さりげなく個別空調が40坪で4ゾーンもなかなか良いところを突いているなと思います。40坪だと2ゾーンくらいなので、空調切り分けや会議室を作った際の空調分岐がこの規模のビルだと本当に悩まれる壁となっていました。

空調4ゾーンでグリッド天井採用であればこれらの問題点や悩みはほぼ解消される当時としては「一般的な新築ビルよりもどれも頭一つ抜けた仕様」でした。

また外壁ガラスは省エネ建材Low-Eペアガラスを採用しており防音・防犯機能に加えて、遮熱性と断熱性に優れた複数ガラスです。これは空調効率も良くなりスペックだけでなく利用者の室内環境としてGoodでした。

その結果当時PMOのオフィスビルは2009年のグッドデザイン賞を受賞しています。

『PMO(プレミアム ミッドサイズ オフィス)』
2009年度グッドデザイン賞(オフィス・店舗・生産関連施設部門)を受賞

https://www.nomura-re.co.jp/cfiles/news/o2009100100387.pdf

<PMOシリーズ 6物件>
・ PMO日本橋本町
・ PMO八丁堀
・ PMO岩本町
・ PMO東日本橋

・ PMO秋葉原
・ PMO日本橋大伝馬町

ただし初期PMOのこの頃はまだ実験的な側面も強く室内のコンセプトは一貫されていません。例えばPMO日本橋本町はグリッド天井を採用しませんでした。

このクラスのオフィスビルを選ぶ企業にとってスペックもさることながら実は価格面も重要視されます。ハイスペックなビルを作っても実際の利用者にとって高価格帯過ぎれば選ばれません。

結果として後期のPMOはグリッド天井採用になったのでこちらが評価されたのだと思っていますが、企業努力や実験的な試みは随所で行われていたように思われます。

PMOというブランドその後と競合

2020年代になるとこのコンセプトの中規模ビルを多く建てるようになります。いわゆるアーリー期を過ぎて、市場の開拓ができる見通しが出たのであとは同じようなものを量産して改良していくフェーズに入ったのです。

10年たてばPMOのブランド力も大きくなるので、PMOを選んでくる企業様なども増えてきたと感じます。

同様に、他社でもPMOを真似たブランドは増えてきておりこのマーケットもブルーオーシャンではなくなりつつあります。

以下のようなデベロッパーがこの領域に大中小問わず参入してきました。参入してから現在までで約5-8年くらい経ったなというのが今のタイミングです。

日鉄興和不動産のBIZCORE

サンケイビルのS-GATE

三菱地所のCIRCLES

住友商事のPREX

後日談

後日談的な話ですが、上記にあげたようなほかのデベロッパーは比較的短期で収益を上げるために設計している企業が多く、基本的には売買や転売も視野にいれているように思います。投資家や売却先が決まっているものもありコンセプトはPMOのようなビルを立ち上げて売るがメインの運営方針のように見えます。

PMOも実際は同じような運用ですが、比較的野村グループのファンドに売却するなど計画的に自社の肺活物件を運用しているように思えるところも先駆者として好感色な部分ではあります。(これは個人的な意見ですが)

最後にじゃあ次のPMOはどうなるかというと現在はハイスペックの低層大規模ビルを作ろうとしています。200〜300坪のプレミアムハイスペックビルのPMOEXシリーズです。

企業は自社の製品をより広くより大きくしたくなる傾向になります、挑戦的な企画であったPMOも今では数十棟のプロジェクトになっています。
これはこれであとはある程度マーケットを開けると思うので企業戦略としてアリだと思います。このクラスになると住友不動産の小規模新築とかもライバルになるので差別化難しいのかなと素人目には感じる次第です。

一つのセンセーショナルな企画が段々と受け入れられて今のオフィス市場を支えているのでワタシは引き続き、野村不動産のオフィスビルとPMOをウォッチし続けたいと思う次第です。

今回もマニアックな熱い想いを5000字ばかり書き込んでしましました。ワタシは野村不動産を応援するので、皆様はそんなPMOファンのワタシを応援してください!!

現場からは以上になります。じゃあねー

気に入ったら銭でも投げて応援してください!!

普段はこんなのやってます

主にオフィスに関する不動産知識や趣味で短文小説を書いています。第1作目のツボ売り、それ以外も不動産界隈の話を書いていければ良いなと思っています。 サポート貰えると記事を書いてる励みになります。いいねをしてくれるだけでも読者がいる実感が持ててやる気が出ます