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オフィスビル不動産で学んだこと5【空間と空調費用の問題】

こんにちは、久々にシリーズをあたためていました。今は景気が良いから縮小の移転は減少気味なんですが、景気の先行きによってコスト圧縮や適性人員の見直しなど課題に上がることが増えてくると思います。

その昔仲介からもらった適性配置のデータや空調費用の比較データが案外使いやすかったので今でも使ってます。

今回は人の配置と空調コストがテーマです。

オフィス一人あたりの大きさ

欧米はかなり前からオフィスへの投資が盛んでして、日本のオフィス環境も大抵は舶来から概念を輸入してます。

1980年後半から日本のオフィスと坪数に対する考え方は1坪で1名程度という計算で、とにかく事務スペースに島型の机を並べていくというスタイルでした。

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第1にこの時代というのはパソコンは無く数席の内に1席会社のコンピュータもしくはワープロ(ワードプロセッサ)が置いてあるという環境です。書類は多く、電話と書類の山と人に囲まれた環境です。

その後90年代~2000年代においてはパソコンが最も普及しました。今までファックス・ワープロ、電話がビジネスの主要ツールでしたが、Windows 95の発売から一般家庭にもオフィスにもパソコンが普及します。

このタイミングでオフィス内においても一人1台のパソコンが利用されるようになります。しかし、この時代のデスクトップパソコンは大型なので非常にスペースを取ります。つまり自席の大きさが拡大されるきっかけとなりました。

まだ、ペーパーレスの概念が普及する前つまり、パソコンが増えたため物理的なスペースを広げる必要が出ました。ここで1人当たりのワークスペースは1人/1.5坪~2坪という働き方に変化します。

そこから10年くらいの間は大きな変更は無かったのです。その頃アメリカでは4~5坪という一人に一部屋のプライベートスペースを取るくらい広いスペースで仕事をしていました。当然日本支社も同じような坪数の使い方をしています、うらやましい。

当時の感想はそんな豪華な使い方流石に頭おかしいんじゃない⁉️と思ってました。リーマンショック以降は外資も1人2坪〜4坪程度に縮小傾向ですが、それでも外資は一人あたりの坪数が広いです。

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しかし、日本のオフィス仲介屋さんはオフィスに人を詰め込む概念から抜けられず未だに一人あたり1.5〜2坪を推奨しています。

実際の顧客社内を見てみると昼の時間はほとんど営業がいないケースなどもあります。またノートパソコンやタブレット、そしてスマホが普及しさらにペーパーレスの企業も増えました。

普通に一人1坪以下のオフィス空間で良いという企業増えてきました。その分打ち合わせや社内のコミュニティスペースや来客用のラウンジやセミナースペースなどを整えることにお金かけてます。結局は一人2坪に落ち着くんです。

仲介会社CBREは早い段階からオフィスのサイズ見直しをはじめました。一人あたりの面積は少なくして、自席を減らし働き方の見直しプラス各所に拠点を持つ取組で人員増にたえる設計をしているあたりさすがです。確か2012年ごろからこの試みへと進行していたので時代の先取りをしていてやはり外資という印象。

しかし、2019年においては新規増員ニーズもあり結局のところは本社で入りきらない部分は拠点支店数を増やすことで対応中です。時代への先見性はありましたがそれを上回る増員ニーズもあり得るという事ですね。

広いオフィスと比例する空調コスト

さて、以上のような傾向から最近のスタートアップは広い空間を好みます。理由としては人をコストと考えて「詰め込む」環境からだと、新しい発想や落ち着いた仕事環境が確保出来ない為なのと、環境を良くして企業の定着を良くしようという試みです。

スタートアップの初期段階で広いスペース確保をしておくことによって、当面2年や3年先にオフィス移転を行わずに社内レイアウトで増員対応できる余地を残しておくという会社も多いです。

ここで起きるのが空調問題です

そのような広いオフィスは便利で開放感があります。しかし、人がいない時間帯であっても広域にわたる温度調整が必要になります。

人はオフィス内にいないが全体の適正温度を保つために空調を回し続けないといけない問題が出てきます。この空調コストというのがオフィスの坪単価に表面上出てきませんが結構費用のインパクト高いんです。

働き方と空調利用時間

よく素人の仲介さんがいうのは、昔は働き方自体が9時〜17時だったのでセントラル空調でも便利だったけど、今の働き方は24時間働ける環境を整えるために個別空調の方がが良いんですと、

いやいや、2019年現在その考え方も古くなってますよと

そもそも働き方改革や残業規制もスタートしており、余程気合い入れたベンチャー以外24時間コミットする働き方は歓迎されません、また2016年以降ブラック企業や社畜という言葉が一般化したので同じく働き方を改善する事はオフィスで働くサラリーマンにとっては重要課題です。

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主にオフィスに関する不動産知識や趣味で短文小説を書いています。第1作目のツボ売り、それ以外も不動産界隈の話を書いていければ良いなと思っています。 サポート貰えると記事を書いてる励みになります。いいねをしてくれるだけでも読者がいる実感が持ててやる気が出ます