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オフィス移転や賃料交渉を考えている方へ向けたマーケット情報2024年の予測

おこんにちは、皆さんいかがお過ごしでしょうか?いまだにnoteもX(旧:Twitter)もいまいちなのですが、肌で感じるオフィスの相場というものの第5弾に突入です。

つまりこんな誰得な企画をすでに4年間走らせていたわけです。といっても2年半くらいはコロナ市況なので中々困難なマーケットでした。

「オフィスがいるのか?いらないのか、どっちなんだい!?」


というなかやまきんに君ばりの押し問答をして過ぎてしまった記憶があります。

という事で、今回もコンセプトは「オフィスビル賃貸を普段扱っていない方がその場しのぎでも相場観を伝えられる情報」という、不動産屋さん向けの記事になっています。

例えば普段賃貸レジをやっている方やオフィスビルの売買をやっているがマーケットの最新の賃料帯を知りたいといった方向けです。

逆を言いますと、オフィスの仲介やってる人やアセット周り、オーナーリーシング担当者にとっては物足りないかもしれないので、その辺をよく加味しながら読んでいただけると助かります。これであなたも明日からオフィス相場に詳しい専門家(風)に早変わりです。

※この記事を対象にしている方は上記の様な方向けです。4年目です。

という語り口調でスタートしようと思ったら、突如オフィス特集やらねえかとお声がけをいただき、年1回くらいしか出来てない全チンオフィス回のディスカッションを行う機会をもらいました。

泡沫会員であるワタクシもここくらいで存在価値を出さないと除名されてしまう恐れもありましたので一生懸命議論してきたのがつい最近の事。

実はこれを11月には出そうと思っていたのですが、全チンと丸被りしてしまうとお前はどっちに忠誠を誓ってるんだ!?という話になりかねないので少し寝かしました。

そもそも全チンの購読者数がノルマにいかないと・・・・ゴホンッゴホン・・・恐ろしい恐ろしい

ということで、年末恒例の2024年のオフィス市況はどうなるんだ?という自己満足的なnoteの始まり始まりです。

一応過去体験版↓
お試し版として2年前のアーカイブ情報を残しておきますよかったらおためし版としてご購入してもらえればイメージ湧くと思います。

ますはじめに

今回もTwitterでアンケート取ったら、ワタシの個人的な感想と予測なんて価値無しくらい無料ならOkみたいな結果が今年も過半数・・・ございましたので今回も完全に無料でいってみようと思います。

みんな読んでね

良いですかもういちど言います


全部無料

無料=タダだよ


こんな予測は好きじゃなかったらやらないんですよ。

つまりこの年の瀬におっさんが去年のビルの相場がどうだった、来年はこうなるみたいな話をグダグダと書いてよくわからない自己承認欲求を満たしている。そう思っていただいて異論ございません。

そう、ワタクシが好きにやっているだけの相場読み情報です。

投げ銭まってます!

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オフィスの相場について2023年ってどうだった?振り返り


さて気を取り直していってみましょう

オフィスの2023年の相場情報がどうだったかといえばなんとなく2018年~2019年の過熱したマーケットに戻ってきたような感覚があります。

空室率や平均単価ベースで話をすると決して空室率が改善している訳でも賃料平均が上がっている訳でもないのですが、中小規模のビルへの出戻りが割と頻繁に行われている感覚です。

ちょっとその動きの早さが気持ち悪い感じなんですよね。

上記の記事が掛かれたのが2022年10月ちょうど1年前ですね。

中々こういった市場予測に対すアンサーが少ないのでこれをひも解いてゆこうと思います。

当時は楽観視という見方でしたが、2023年の年末になっても「楽観視」できる材料はあまり多くないというのが所感です。

個人的には2022年から2023年の夏までは一旦の踊り場市況から底打ち感が出て賃料の持ち直しやオフィス回帰の流れがくると思います。

TKの見立てより引用

うん。自分で書いた予測でしたが割と現場の印象としてはこちらよりかなと思います。

新築に注目しますと、2023年11月時点で虎ノ門ステーションタワーも満室稼働になっておらず麻布台ヒルズ森JPタワーも同じく、そしてすとみも不動産の新築ビルは今のところは軒並み新築空室を抱えています。

これは2023年時点では大口の移転がまだ起きなかったというのもあるので・・・新築の稼働率改善は2024年に持ち越しだと思っています。


まぁ仕方ない

さて、皆さんでも麻布台ヒルズを見に行きましたよね・・・!?
多分あれほど豪華な街づくりできるのは最後の機会だと思うのですよ個人的に。

森ビルが1989年(平成元年)から思いっきり計画して、約300名にも及ぶ地権者を説得したりお金を渡したり参画してもらって30年もかけた集大成です。

正直、エリアとしての魅力はまだこれからという所で未知数ですが、街として六本木から神谷町までのルートを人繋ぎにできるまさしくONE PIECEです。人繋ぎの財宝は麻布台にあった。

今後、第2六本木ヒルズ(六本木5丁目プロジェクト)なんかができると本当に港区の街並みを森ビルたちで変えたと言っても過言ではなくなります。2030年に見える街並みはまた違うものでしょう。

引用:都市再生特別地区(六本木五丁目西地区) 都市計画(素案)の概要より


さて、真面目な話に戻しますと、今後の新築計画は今までよりも工期が長くなり人件費も高くなりますよね。今から新規の見積もりとったところとてゼネコン様様もこのコロナからの今までの流れで結構予算と実態が異なり痛い目にあっていると思いますから、どうしても工期費用を圧縮してゆかなくてはならないと思っています。豪華なデザインやハイスペックな大型開発は厳しくなりそうです。

だから虎ノ門ヒルズステーションも麻布台のオフィスフロアも、ちょっと満床になるまでに時間が掛かるけど今なら結構お買い得な賃料で豪華なビルへ本社移転できますよという感覚が働くと思います。(2024年に期待かな・・今からだと普通に2024年に意思決定、移転は2025年スケジュールになるかなと思います)

オフィスの需要が高い時は計画時にほぼ決まりますが、停滞するマーケットの時は完成してから駆け込みで成約する傾向です。不動産は現物に勝るものなしです。

ちなみに、どのビルも共有部も専有部もハイスペックで既存ビルと見劣りする点はありません。

2023年の夏ごろから外資含めて移転の話が大きく浮上してきたので空室が大量に売れ残ってしまって悲観するほどのマーケットでは無いと思います。楽観視もまだできない。

ただし、皆さまご存じの通りこの空室改善には純粋なオフィス回帰だけではなくカラクリがあります。

  • 長期間のフリーレント、レントホリデー、段階賃料

  • 内装費のオーナー負担

  • その他移転メリットを享受できる各種プランの打ちだし

今回の先行きが不安視されるなか、デベロッパーは新規テナントの獲得のためにレントホリデーやフリーレントであったり、内装補助をテナントに与えて企業の誘致作戦を推進されました。

これらの持ち出しを考えるとデベロッパー各社にとって新築を埋めるためには良いマーケットでは無かっただろうなと思います。

そもそも新築オフィスはフロア数が数十フロア単位なので、いざ世の中に募集を出して初回で埋めるのは困難な場合が多いです。決まりやすいエリアのオフィスは高単価で何もプレゼントしないでも成約しますが、やはり大規模開発になればなるほど厳しいですし時間かかります。

2020年~2022年初頭までオフィスのマーケットが停滞してしまったので(むしろ解約や縮小が多かった)のでここで基準階1,000坪クラスを埋めるのは相当大変だっただろうなと思います。

なんて、記事をまとめていたた東洋経済さんがぶっこんだ特集やっていたので読んだのですが、大型ビルは概ねこんな感じですね・・・言いすぎだろと思いますけど・・・・

これはこれとしてオフィスに直で触っていない人にはわかりやすいキャッチーな見出しかもしれません。週刊誌っぽいエンタメとして楽しんでくださいませ。

オフィスの空室状況はどうなの?

さて、全体の空室率や賃料の流れをみてみましょう

三鬼商事の空室データを参照すると2022年10月では6.44%これが2023年の10月では6.10%と下がりました。この間に新築オフィスの竣工もあったので2023年後半で空室率が下がっているというのはオフィスに人が戻ってきているという数字として悪くないなと思います。

賃料に関しては2022年10月から上がることなく下がり続けています。これらを考えるとオフィスを求める需要自体は上がりつつあるが、先行きが読めない中で空室が長期化するリスクや新築オフィスの竣工で競合するリスク考えて、既存のオフィスビルが賃料を下げて誘致しているというのが2023年のオフィス景況感になります。

そして最近、下記のリリース記事がありました。

週刊誌にすっぱ抜かれていますが、晴海エリアはリーマンショック並みの空室を抱えています。上記の記事だと空室が多い点だけがピックアップされておりますが実態は若干異なります。

これらの大型オフィスビルはテナントの退去だけではなく、オフィスの売却が背景にありまして、更にその後ビルのリニューアルやバリューアップ工事を行っているものもあります。

当然退去後に原状回復からビルのバリューアップ期間といわれる工事の一定期間はリーシングをとめてゆく必要があります。その後に満を持してテナント募集をするタイミングで周辺に競合物件が複数出てしまい、このエリア中型大型のオフィステナント募集の競争過多になってしまう・・・という具合です。

判断が難しいところですが、晴海エリアは退去と売買とバリューアップがコロナのタイミングとも重なってしまっており2023年段階においては大口のテナントが獲得しにくいマーケットになっています。

実際のところ晴海だけではなく、都心のビジネス地区から少し外れたエリアではテナントの確保が激化しているのも事実です。天王洲や品川シーサイド、青海お台場などはオフィスの動きが鈍化したときには大抵矢面に立つものなのです。

基本的な部分ですが、JR山手線沿線の最寄り駅で坪23,000円~坪25,000円程度でオフィスが獲得できるのであればわざわざ湾岸に立ち寄りたくないという企業は結構います。

そもそものアクセスの問題や通勤の快適さ、交通費などの懸念があるのです。やはり正義はJR山手線の沿線で徒歩10分圏内というのは誰もが否定しないであろう勝利の方程式の一つであります。

ちなみに、先ほどお伝えした晴海や湾岸エリアのオフィスビルは軒並み基準階面積が300坪~500坪で尚且つ高層という大型ビルに分類されます。いわゆる大手仲介会社が算出する空室率に当然ながら組み込まれます。

その為、中央区や品川区の一部で空室率が高くなってしまうのは、これらの物件の空室率が含まれており空室率の底上げに影響しています。中央区品川区全域が厳しいのではなく大きな募集床のエリアを含んでいるのが中央区・品川区であるというのが正しい理解では無いでしょうか。

ちなみに補足するとこれらの空室や空室の流れというのは今年急激に始まったことではなく昨年からしっかり予兆ありました。

マーケットが不安定な時は一時的に仕方がない事ではないかと思っています。

苦戦してくるのは湾岸を始めとした苦しいアクセス
今苦戦しているのが晴海・豊洲・台場・海岸・芝浦・天王洲アイル・そのほか湾岸エリアです。
これは基準階面積500坪以上の比較的大規模ビルが複数あるのですが、その利便性の悪さから消極的にならざるを得ません。
既存の駅に近く賃料が割とリーズナブルなビルは比較的空室が少なく物件によっては案件が複数入れ子になっているケースも起きているというのは頭に入れておいた方が良いです。

TK 昨年の見通しより引用

同時にリーズナブルな都心の大型ビルは比較的空室が解消されてきました。ジワリジワリと解消されているので中々わかりづらいとは思いますが、品川駅の徒歩圏内のオフィスビルは空室が瞬間的に蒸発してなくなりました。

品川駅の周辺だと品川インターシティや品川シーズンテラス、Wビル、A-PLACE品川東といった単価ちょい高いかな?でも駅から割と近くて利便性が良い物件は空室が大幅に募集減りました。

またガーデンシティ品川御殿山といった基準階面積が2,000坪の広い物件も埋め戻しに積極的という状況です。

これらのビルのテナント募集が比較的残っている状態だとメインエリアから離れるオフィスビルになればなるほど誘致合戦をするのが難しいです。

これらの大きな物件は「合計で数千坪」というまとまった面積が獲得出来るというメリットがあります。まとめて数千坪獲得可能というオフィスビルが市場から無くなってしまうと、消去法では無いですが、現在大型空室を抱えているオフィスビルに白羽の矢が・・・という話になります。当然一旦単価が折り合わず見送りになった新築オフィスも検討にあたったりするケースもこのタイミングです。

需要と供給で言えば2022年~2023年はかなり需要側が厳しいマーケットでした。しかしその反面で大型空室がだいぶ埋まっていったのがかなり良いニュースになります。

上に記載したビル、2023年の初頭はどれも1000坪以上の募集があったので、この1年間でだいぶ空室を解消したものだなと改めて感じました。

品川駅周辺徒歩圏内エリアで30,000円以下というテナント要望がこのエリアは強いです。上記のビルはそれらの要望を上手く飲み込むことができた結果だと感じる次第です。

当然集約などの場合は二次空室としてAビルからBビルの移動で大量の空室が起きる可能性はあるのですが、品川駅周辺の空室は一時期と比較すると改善されたと思っています。二次空室の動きも思ったより悲惨ではない状況です。

逆に駅から最も近いですが、価格と竣工と利便性などを総合的に敬遠されてしまったのが品川イーストワンタワーです。募集のフロア数が多いので2024年はこれらの埋め戻しがちょっと大変だろうなと対岸の火事のように見ています。

閑話休題

ここまで書いてて思ったのですが好きでやっていると言いながらすでに5000文字を越える文章量を書き始めていました。皆様役に立っていますか?役に立っていそうでしたら嬉しいです。

クリスマスプレゼントください


さて気を取り直して後半戦いきましょうか

2024年オフィスはまずはどうなるの?


まず率直に結論いうと


「今までコロナを言い訳に停滞していたオフィスの成約が進む」

と思います。

そして「勝ち・負け・持ち越し」の3すくみになると考えます。物件の事業者さんや所有者さんは自社の物件がどのポジションに属しているか?を把握するのが重要と思われます。

JTCと呼ばれる大企業は元々成長鈍化して停滞していたところにコロナの蔓延があり、それで働き方の改革や改善と併せてリモートワークを一気に進めました。これはとても大きな決断でコロナが無ければこれほど進行しなかったと思います。

これによってオフィスの在り方を変えて在宅ワークや時短、リモートワークや多拠点の利用という様な働き方の自由度が格段に広がったのです。このあたりの改革が前に進むことで、大企業はオフィスの床を返却して効率化や新しい働き方を模索しました。

 そして3年が過ぎました


その後、企業は徐々に出社した方が良いのでは?という議論やとりあえず出社を促す企業が増えてきました。

コロナ後の2023年は出社する企業が増え始めて、オフィススペースが足りない、もしくは席が無いという問題が少なからず出始めた状況です。また、これらの企業は中長期的な戦略から新卒や中途の採用活動が止まってはいません。

つまり、新卒採用や中途採用は止まっていないので、どうしても研修スペースが必要となってきます。しかし、オフィスが無いと自社オフィスとは別の場所に会議室を借りたり研修スペースの新たな契約が必要になります。これらが課題の一つです。

そういったJTCは様々な戦略の中で一時的な研修スペースとして貸し会議室のティーケーピーやWeworkを短期間借りるといった方法でうまく運用している乗り切る企業がありました。

そのような中ですが、これなら自社のオフィスを確保していた方が効率が良いのではという企業が一定数あると思います。もはや卵が先か鶏が先か?採用が先かオフィスの確保が先かというような問題に直面しているのが総務や人事ではないでしょうか(ちょっと予測も含まれてます)

結果としてはオフィスに出社しなくてはいけない企業が増加している状況だと考える事ができます。当然リモートワーク在宅でオフィスが要らないよという企業もありますので2極化したまま2024年に突入するなと思います。

都心部の路線混雑状況

昨年のデータですが2023年7月14日に発表された「三大都市圏の平均混雑率」のデータを参照するに、コロナで107%まで落ちた東京圏の混雑率は2022年時点で123%まで上昇・・・少なくとも2023年は更に上昇するとワタシは考えます。(これは来年になってみないとわからないですが・・・)

引用:https://www.mlit.go.jp/report/press/tetsudo04_hh_000112.htmlより

ワタシの体感ですがコロナ前よりはまだ空いていますが明らかに電車込んでません?そしてあまりオフピークの通勤をしている感じでも無いと感じます。個人的見解ですが、在宅との併用になり出勤時間が必ずしも8時~9時でなくてよくなったので分散されているように思いますがそれでもだいぶ混んでます。

多分2023年の混雑状況140%~150%以上になってくるかと思っています。(実態としては減便している路線もあるので猶更上がる)

そして、肝心のオフィス賃料の平均ですが2023年の日経新聞からも歯止めが掛かっているとの記事がつい先日掲載されました。

出社傾向になるオフィス、混雑する交通網という部分的なデータから考えますと、割と足元のオフィスは2018年(オフィスの需要が大きかった時期)と同じようにジワジワと戻ってくるのではと思います。

2024年はそういったオフィス回帰企業によって一定数は戻ってくるかなと予測しています。

勝ち負け持ち越しの3すくみオフィスの様相

ー勝ち傾向なオフィスー
山手線の内側もしくは山手線の沿線に所在するオフィス。

いわゆる東京のビジネス地区でどこからでも通いやすいようなオフィスビルです。これらは坪単価が多少張ってでも入居したいニーズをしっかり受け入れることができるので問題なくリースアップできると思います。100坪~200坪くらいまでの中規模なオフィスビルは比較的この勝ちオフィスのエリア内にあれば上手く決まると思います。坪単価のベースとしては一般的な賃貸オフィスならば22,000円くらいまでセットアップオフィスならば25,000円くらいまでがアッパーでしょうか。

山手線の輪っかの中であれば時間さえかければ十分勝ちオフィス候補として勝負できると思います。

ー負け傾向なオフィスー
山手線の外側で東京ビジネス地区外のオフィスビルは多少苦戦しますがまぁ善戦できると思います。

いわゆる厳しいのが山手線から1~3駅ほど乗り継ぎをしなくてはいけないようなエリアです。そこから更にもう少し離れるとこれは負けが強くなります。湾岸エリアオフィス密集エリア外駅徒歩10分以上の立地(体感)というような物件は負けオフィスになる可能性が非常に高いです。

現状では勝ちオフィスとしての価値があっても、マーケットの停滞で募集がいまだ続いている物件が複数ライバルとして存在します。これらがリースアップしてはじめて日の目を見るのがこのゾーンの物件です。

フリーレントを積み増して誘致をするや内装負担をするなど作戦を練ってなんとか誘致をしないと決めづらいです。

後述する停滞傾向なオフィスがライバルです。湾岸坪単価15000~20,000円の大型ビルや駅徒歩10分(遠い)の22,000円でセットアップ仕上げ物件など地味に誘致しにくそうです。

ー停滞傾向なオフィスー(持ち越し)
勝ちオフィスほどでもなくほどほどに良いオフィスというのがとりあえず保留として停滞するオフィス群です。

なんならこの層がいま溜まってしまっています。駅から遠くもないけど近くもない、坪単価も安くはないけど高くもない・・・このような物件はまだ市場にオフィスが出回っている2023年時点で決まりにくいです。具体的には駅徒歩6~10分程度の旧耐震ビル(もしくは1982年~1990年くらい竣工ビル、基準階100坪前後)

このあたりのビルはインパクトが薄いので、一旦候補には残るものの決め手に欠けるという理由から停滞します。

毎回移転候補にまでは至るが最終選考で漏れてしまうというオフィスです。この停滞ビルがクセモノでして、物件の質もよく定期的にメンテナンスされているのですがいまいち決まらないまま1年リーシングが続いているというような物件です。
この手の物件は、フリーレントでとりあえず誘致させるか思い切って単価を下げるしかない状況です。


そこで打開案として、2022年~2023年ではこれらの停滞オフィス(現状空室である物件)をセットアップ化してリーシングすることで一定数の効果がありました。

しかし、エリアによってはセットアップ化と市場のニーズがマッチしていないセットアップオフィス過多エリアができてしまっています。停滞オフィスになる要因の一つとして、セットアップオフィスエリア内に過多!という事も起きています。ここは要注意です。

所有者や運用者はエリア内に競合している同じようなコンセプトのビルがあるかないか?そして現在の賃料が適正か?そしてセットアップすることによって賃料上昇を狙えるのか・・・という点を考えないと停滞オフィスがただの高単価の停滞オフィスになるだけです。それでも高単価が狙えるならばチャレンジするというのも戦略ではあるのでどうなるのか見ものではあります。

2024年以降新築オフィスビルの様相

ここで気にしておかないといけないのは2023年の新築オフィスの埋まり具合はまずまずとしても、2024年以降どないになるんだという事だろうと思います。

2024年の新築(そして大型の)オフィスビル群です。大型の定義も難しいですが延床坪数が5,000坪以上というような大雑把な認識でよいと思います。まずは以下をご覧ください。

■新虎安田ビル (港区新橋4) 稼働◎

◎住友不動産中野駅前ビル (中野区中野2)稼働◎

◎住友不動産新宿南口ビル (渋谷区千駄ヶ谷5)稼働◎

◎渋谷アクシュ (渋谷区渋谷2)稼働◎

◎赤坂トラストタワー( 港区赤坂2)稼働△

◎TODA Building( 中央区京橋1)稼働△

◎WTC annex (港区浜松町2)稼働〇

割と現時点で稼働が良い点がわかり、新規供給がそれほど多くありません

2023年の空室を埋めるのがやっとだったのに2024年ものはさすがに厳しいだろうというご意見を頂きそうですが、この流れなら大丈夫そうだと思っています楽観視。

逆に目下リーシングを強化してゆかなくてはいけないのはTODAビルディングと赤坂トラストタワーかなという状況です。

中でも新虎安田ビルはデンソーの移転や日本モーゲージサービスの移転などで2023年時点ですでに稼働率100%を約束されているビルとなりまして2024年新築としても一抜け感が否めません。

安田不動産はこの新築大航海時代に上手くとにかく先抜けしました。抜かりないです。安田不動産の本拠地といえば千代田区の神田エリアです。そこから少し外れる新橋エリアでの開発で下手すれば長期空室になる可能性もあったところにしっかりと大型テナントで床を埋めています。これはお見事プレイ

また住友不動産の中野駅前の大型開発ですが、中野駅界隈に大型の開発がほとんどなかった為に待望の新築オフィス物件です。

こちらも、すでに内定も9割を越えてこのビルも竣工までには100%の稼働がほぼ決まっているような状況です。むしろ周辺の中規模や小規模ビルに空きが出てくる見通しなので2次空室に大変苦労しそうなエリアであります。

住友不動産新宿南口ビルや渋谷アクシュは規模が大型高層ビル・・・とまではいかないのですが、こちらも稼働が現段階で7割~8割見えている状況になっており、2024年竣工ビルといっても空室に大きく困っていないというのが見て取れます。

さて、先ほど説明しましたようにTODAビルと赤坂トラストタワーは2024年竣工ビルの中でも大型のオフィスです。これらの空室を埋めるには中々苦労すると思われます。当然この規模になると2023年竣工の麻布台森JPタワーの空室やタイミングによっては虎ノ門ヒルズステーションタワーも検討入っているので築浅竣工ビルもライバルとなっています。

2023年竣工の大型ビルが比較的厳しい戦いを戦い抜いて誘致できているのでこの2棟は少し苦戦の色が出ています。ただし麻布台もジワリと空室が減ってきて、ステーションタワーも現段階で8割以上の稼働が見えてきているようで互いに稼働が良くなってきています。

今後まとまったフロアを獲得したいという移転に関しては、赤坂トラストやTODAビルを選択する可能性が上がってきます。これらの要素からマーケットが停滞してしまっている、悲観的な相場だ・・・・とは言い切れないと思います。

もちろん空室が多い場合だと誘致するために単価を下げたりキャンペーンを駆使する必要はあるのですが、2020年初頭のオフィス不要論?どこ行った?

2024年以降のオフィス相場や方向性は何か


キーは3つほどあると思います。これはほとんど去年と同じような説明になります。どれも抽象的なのですが2022年である程度成功体験もある戦略なのでデベロッパー側はこれらのキーをうまく使いこなして誘致戦略をとると思います。

キー⓪建築費・工事費用の高騰による開発コスト

新築を施工するにも内装施工するにも工事費用が高騰しています。デベロッパーゼネコンもこの高騰化に対抗するように工事費用を削減すると事故が起きたり施工不良が起きます。

2023年~2025年の新築物件までは建設費用もすでに織り込み済みで動けるものの、とくに2025年以降の竣工物件は建築費や部材の高騰がどこで落ち着くのかという点が心配です。2025年もののオフィスビルの賃料が上げられるのか、もしくは各デベロッパーの利益率が大きく下がってしまう要因がここにあると思います。

つまりは進行中かこれから計画する大型開発よりは小規模&投資から回収が早そうな物件開発が今後一定数供給が増えてくるのではないかと思っております。

キー①小規模・中規模なオフィス

大規模開発はコロナのようなことが起きた時になかなか復活ができません。大手デベロッパーも小規模中規模を本格的に戦略としてみてきています。当然大型の開発ができるような用地の仕入れが難しい背景などもあると思いますが・・・・

小規模オフィスや中規模オフィスのマーケットといえば野村不動産のPMOを始めとしてかなり多くのデベロッパーが投資しています。この手のビルは中小企業やスタートアップが積極的に移転を行っており回転率は高いものの比較的高い賃料が取れるので大規模ビルほどの収益源にはいまだなっておりませんが、プロジェクトが複数展開できると意外に大きなリターンとなります。

さて中規模に引き続き小規模オフィスにも注目を浴びています。いわゆる50坪以下のマーケット、特に30坪くらいでしょうか。投資効率は悪く回転率も普通のオフィスよりも短いのであまり手を出したくない分野だとは思いますが、実際はデベロッパーもこの層を早めに抱え込みたいというのが本音だと思います。

PMOライクなビルの開発は各社力を入れてきています。これは後程説明します。

キー②既存ビルの購入からのリノベーションとセットアップ化

第2のキーです。大規模開発や新築が難しいとなれば、既存ビルのリノベーションで価値を上げるというのがキーになると思います。

大型ビルの古い物件は勝ち筋がないと言いましたが、それは既存の大口テナントを取るために通常の貸し方をしている場合に限るからです。

現在はデベロッパー各社が既存のビルをセットアップしたりリノベーションすることで価値を上げて、その分古いビルでもある程度高い賃料が取れるのではというテストを行っています。

西新宿のオフィスあたりでも始まっており基準階が300坪あるようなビルを小割にしてリノベーションを掛ける事で賃料を高めて価値を上げられるのではという取り組みです。まぁポイントは小割化ですね。

2023年ではこのあたりの小割やリノベーション、リニューアルがかなり進んでいました。まだまだ市場自体が小さいですが築年数が古くても企業の規模にあった小規模な区画は人気があります。小割りにして市場のニーズを掴んだオフィスというのはそれなりに需要があると考えられます。

逆に1フロア、1プレートで500坪や1,000坪というような案件は今の状況だけを見ると回復までにまだ時間が掛かりそうですし。

キー③敷金12か月から変化?オフィスの保証会社利用

大手デベロッパービルで一番ハードルが高いと言われるのが敷金の12ヶ月です。これでも敷金はその昔の18か月や15か月に比べると緩和してきたと思われるのですが、スタートアップではこの「12か月の預託金が重い」とよく言われていました。

最近では連帯保証の極度額の問題もあり、なかなか連帯保証人をつけてというのも難しい世の中になったてきたので家賃保証が結構浸透してきたなと思われる節があります。

まぁ敷金12ヶ月を払うことが与信担保につながるという旧来の不動産の慣習がワタシ自身は好きなのですが、やはり時代の変わり目なのか賃貸の保証会社利用ができるビルというのが増えてくることによってオフィスの流動性は上げられるのではと思っております。

逆に既存の賃貸保証サービス運営会社は競合とのサービスや補償範囲の改善といった企業努力が必要になります。

保証金や敷金を半額から0円にするという保証会社もあるので各社色々と
選択肢が増える事は良いと思ってはいますが、浸透するかはわかりません。

3つのキーをまとめると

上記の3つのキーは今後市場の動きによって結構大事になってくるかなと思います。しかしそうなると難しいのが大型オフィスビルの空室解消です。
この辺の大型オフィス空室解消が進まないのが2023年の厳しいところだったと思っています。

大抵マーケットは「大型新築→大型既存→中型既存→中型新築→小型他」というような順番に空室解消が進む傾向があるのですが、今回のように大型新築から埋まらないというのは厳しめなんです。

大型オフィスの空室が進まず、通常ですとメインのマーケットとはいえない中型小型が動いており、デベロッパーも中型小型への投資をしているそぶりを見るとちょっとデベロッパーも大規模オフィスへの投資を控える流れになるんじゃないかなと思います。大規模大型オフィスをどさっと開発してテナント動かした方が良いんですけど直近は様子見になる気がしています。

2024年は中型オフィスが生きるマーケット


収益性指標から見る東京オフィス市場 ~J-REIT 保有の小型ビル健闘の背景

上記の記事では、中規模のREIT物件に注目していますがREIT以外のオフィスビルでもこういった事例は登場しているなと考えています。

先ほどの説明と同じなのですが、今から大型の新築ビルを創り出して収益を上げるのは金利上昇リスク、土地の高騰や工事費用の高騰がありましてそれなりに時間もかかります。

ここで手軽に投資できるのが小型ビルや中型オフィスビルは動きも早く判断がしやすいです。そしてテナントが退去しても次の空室も埋めやすいというメリットがあります。

なんとなく大規模オフィス開発は少しトーンダウンして本来デベロッパー各社にとってのメインストリームではない中規模新築オフィスや小規模オフィスがより開発進んでくるのかなと思っています。

しかし、小規模や中規模のオフィスは開発スピードが早いのですぐにエリア内の物件供給が過多になってしまう・・・というリスクがあります。とはいえ大型ビルの企画を仕込むよりも短期で結果が出て、売買も狙える小規模から中規模に多くの事業者が参入しています。

結構増えましたね、いわゆるPMOライクなオフィスビル。この手のハイスペックなビルは坪単価をそれなりに上げる事が出来ますし、ビル規模は小さくてもスペックで大規模ビルとも勝負できる・・・

当初(10年以上前ですが)この規模のオフィスブランドを作った野村不動産が逃げ切りかと思いきや割とこのマーケットに他のデベロッパーが参入してきました。

今後も2027年くらいまでは、すでに仕込まれている物件があるのでオフィスの供給は大規模ビルだけではなく、小規模中規模オフィスにシフトチェンジしてくるかもしれません。

働く人口も減っているなんていうニュースを聞く限りこの路線は保険としても優秀な不動産開発だと思っています。個人的な感触だとすでにこういったインテリジェンスなオフィスビルは供給過多なような予感がしますが・・・・総面積や供給量が全然小さいので、2024年のマーケット全体への影響はそれほど大きくないでしょう

大型オフィスの勝機は環境配慮とウェルビーイング

大型オフィスの勝機は国際的な環境への意識向上があります。

ESG(環境、社会、企業統治)SDGs(持続可能な開発目標)への取り組みが社会に浸透してきましたが、外資系企業や東証上場企業などはこの取り組みをかなり意識しはじめています。

オフィスは人が集まり働く場であることは大前提ですが、上記の環境に対する取り組みは国内でもかなり注目度がアップという事実があります。


とくにESGに対するプレッシャーや圧力が内外からあるので既存の古いビルだと対応できないというのが課題です。

そういった課題感がある企業は環境への配慮がしっかりなされたオフィスビルに移転することでステークスホルダー向けにもアピールがしやすいという背景があります。

また、社員などの関係各位にはWELL認証です。

理想的なのはビルにその機能を設けずに各社企業側の努力という側面もありますが、このような企業誘致の施策にとってWELL認証v2取得ができるようなオフィスビルの設計はテナント企業にとっても移転するための理由付けになると思います。

ただし、上記の取り組みはあくまでも大企業や大型オフィスに搭載するにはビルの価値も企業側の選択肢として価値が上がりますが、中小ビルを選ぶようなスタートアップや中小企業にはあまり関係がなかったりとまだまだ難しいです。

とくにESGの分野は投資した分や手間が賃料に跳ね返ってくるようなものでもなくビルを開発する側としては面倒な部分があるのですが、賃料評価につながらない点をどうとらえるか・・・です。

外資系企業の取り込みをしたいのであればESG投資は必要なのですが、今後この流れがそのままくるのかといえば若干環境バブルな気がします。この流れが中小ビルに波及するのかそれとも一過性で終わるのか一旦は難しいなと感じています。

2023年のマーケットでは、オフィスビルスペック(床荷重や天井高、電気容量やオフィスそのものの諸設備)に対する要望はそれほど物件間で差別化がしにくい状況になってきました。

これからのオフィス開発の分野では環境だけではなく、働き手に評価されるビル開発が大型ビルには必要になってくると思います。ただそれでも供給過多気がしているのはワタシの気のせいでしょうか・・・

2024年のエリアごと賃料目線予測


底打ち感のあるオフィスビル市況ですが、今の状況だと少しやはり値段は下がってくると思います。大型ビルは値段を下げるか長期のフリーレントでなんとか誘致するというストーリーしか作りにくいかなと思います。

足元で300坪以下の中小ビルはしっかり動いているのでこのあたりのオフィスビルはちょっと値段が上がる動きも見れそうな気がします。

押さえておきたいオフィスの相場や賃料目線の早見表を入れました(共益費込み坪単価、成約目線、)


西新宿のオフィスは高層ビル群で1970~1980年代の古い高層ビルが多い

西新宿のオフィス相場

西新宿-入居テナントの妥当な交渉ライン:2.3万円~2.7万円
西新宿‐新規テナントの妥当な交渉ライン:2.5万円~3.1万円 

西新宿はかなりオフィスビルの相場が崩れてしまっております。これの理由は高層ビルが多くどれも竣工が古めになっていることが原因です。ビルスペックがそれほど高くないので大きく利用していたテナントが移転してしまうと現在の賃料と周辺の物件賃料の乖離が激しいのが難点です。

再開発が進む渋谷は2027年まで開発が進み2030年目途の開発もあるスタートアップの聖地

渋谷周辺のオフィス相場

渋谷-入居テナントの妥当な交渉ライン:2.60万円~3.2万円
渋谷-新規テナントの妥当な交渉ライン:2.8万円~3.4万円

渋谷は持ち直した感じが高く既存のオフィスビルも若干値上がりしているものも見られます。桜丘計画や渋谷ヒカリエ横の開発などが最終的にどうなるかわかりませんが既存の空室も少なくかなりコロナ前の水準に戻りつつあると思います。スタートアップの聖地と言われる渋谷は、設立浅い企業や10年未満の企業がこのエリアを求めて成長してくるので今のところ供給よりは需要の方が強いです。逆に大型ビルの供給が多いとそこまでのメガベンチャーはまだ少ないのでいわゆる「渋谷系」が響くテナントが今後どこまで伸びるかが課題です。

目黒は通好み、駅前かアルコタワーかというオフィス少ないエリアでもある

目黒周辺のオフィス相場

目黒-入居テナントの妥当な交渉ライン:2.4万円~2.7万円
目黒‐新規テナントの妥当な交渉ライン:2.4万円~2.9万円

渋谷の受け皿のひとつであった目黒は若干だぶついている模様です。JRが手掛ける新築オフィスビルの目黒マークが、先日まで空室だったのがやっと満床になりました。それほどオフィスビルが多くないので大規模な値崩れはないと思っています。母数が少なくニーズもそれほど多く無いので一度空室が出ると長引くエリアでもあるので事業者側は短期決戦を求めるとちょっと辛いかもしれませんね

五反田周辺のオフィス相場

五反田-入居テナントの妥当な交渉ライン:1.5万円~1.75万円
五反田‐新規テナントの妥当な交渉ライン:1.6万円~2.0万円

ベンチャー企業やスタートアップの受け皿であったこのエリアですがTOCビルの建て替え延期発表されたことによっていろいろと難しいことになったこのエリアです。

もともと渋谷や新宿から近かったけども周辺環境の影響で坪単価1.5万円以下の五反田立地ですが、五反田バレーやスタートアップの急拡大の影響で賃料がかなり高めに引っ張られてしまいました。

正直もう少し賃料目線を落として誘致作戦を練るなどしないと既存のオフィスビルは結構厳しそうだなと思います。五反田ゆうぽうとの跡地が中々決まってゆかないというのがネックでありました。2023年の夏ごろからジワジワ成約に向かっていったので竣工グランドオープンまでで7割良ければよいのではという予測です。

五反田JPビルの竣工は2023年12月とあと残り僅か・・・五反田新築で3.0万円を越えるのが妥当かと言われると個人的にはスペック含めて妥当なんだけどなと感じておりました。五反田に基準階1000坪クラスの大型ニーズがあるかというとこれもあったんですよね。五反田バレーの終着点がここになる未来は普通にありました。コロナもあってタイミングが全て上手くマッチしなかったのが五反田JPビルです。スペック良いので竣工後にもう一度見直されると思います。

大崎駅周辺のオフィス相場


大崎-入居テナントの妥当な交渉ライン:2.3万円~2.9万円
大崎‐新規テナントの妥当な交渉ライン:2.25万円~2.8万円

大崎エリアは駅周辺のオフィスがかなり埋め戻しができました。なかでもゲートシティ大崎やアートヴィレッジ大崎といったオフィスビルが大量誘致にも成功しており一旦は落ち着いた模様です。
この流れだと一旦は安定路線が組めたと思います。
品川駅よりもちょっと安く、それなりにフロアが確保できる大型ビルというのがうまくバランス取れている理由です。元、五反田バレーの企業を誘致できているのも強みだと思います。五反田の成長企業が大崎に向かうというルートが出来たのでここも評価出来ると思っています。

青山~赤坂周辺のオフィス相場


赤坂青山-入居テナントの妥当な交渉ライン:2.4万円~2.85万円
赤坂青山-新規テナントの妥当な交渉ライン:2.5万円~3.2万円

渋谷でも表参道でもなく青山赤坂は現在そこそこの苦戦のエリアです。
赤坂と青山は交通の便が良いのですが、JR利用者からするとアクセスが悪くと中々難しいエリアであります。環境は良いのですが誘致しづらい。今回は少し目線が下がるんじゃないかなと思うエリアの一つです。

決して立地は悪くないのですが2番立地のアクセスなんですよね。

新青山ビルと青山ビルが苦戦の的でしたが2023では息を吹き返してかなりのオフィス床解消になりました。時間が掛かるものの良いビルはちゃんと良い賃料で成約できるという良い指標になります。
新築オフィスのPOLA青山がかなり出遅れ苦戦気味という話を聞きますがこの規模のビルは概要分かるまで手が出てこなかったりと新築には大変そうなエリアでもあります。

新築オフィスよりも既存オフィスの方が好まれるエリアだなと感じる事もあり青山・赤坂・表参道あたりは既存の古いビルに軍配が上がる雰囲気を感じています。

六本木周辺のオフィス相場

六本木-入居テナントの妥当な交渉ライン:3.2万円~3.3万円(ビル次第)
六本木-新規テナントの妥当な交渉ライン:2.9万円~3.5万円(ビル次第)

六本木は盛況ではないですが過去の稼働率が戻ってきています。少し賃料を上げているビルもあります。六本木ヒルズ森タワーもあまり外部への募集床を出さない動きと聞いておりますのでそれなりに内部拡張需要もあると思われます。

東京ミッドタウンの六本木も苦しいながらも誘致成功してます。

今ちょっと稼働率が悪めなのは、住友不動産の六本木グランドタワーあたりかなと思っていますが、六本木エリアは横ばいか少し賃料目線下がるものもあるかなという印象です。泉ガーデンとグランドタワーが結構空いているという話を耳にします。住友さんはそのような中でも新築オフィス計画をガンガン進めており強いです。六本木の地盤固めしている気がするので三井も森ビルも気が抜けない存在ですね。

田町浜松町周辺のオフィス相場

田町浜松町-入居テナントの妥当な交渉ライン:1.7万円~2.4万円
田町浜松町-新規テナントの妥当な交渉ライン:2.2万円~2.65万円

田町は再開発でだいぶ街の雰囲気も変わってきました。とくに現在はmsb tamachiをはじめとして駅周辺の開発や集約で集まってきています。中規模オフィスが周辺に多いのでこれらにもう少し勢いがつけばよいなと思います。横ばいかなと思います。あまり値段を下げていく印象はありません

このエリアは周辺でPMOの開発が進み、そして住友不動産の新築オフィスが竣工。1,200坪基準階クラスの大型です。田町タワーも工事の遅れが出ており満室稼働にできない中、中央日土地の春日ビル建て替え計画も進み実は新築オフィスが大型も中型も小型もひしめき合う難しいエリアです。

新橋周辺のオフィス相場

新橋-入居テナントの妥当な交渉ライン:2.25万円~2.60万円
新橋-新規テナントの妥当な交渉ライン:2.4万円~2.95万円 

新橋は中規模オフィスも大規模オフィスも少し弱気な印象、虎ノ門から新橋にかけて結構空室ビルが多く中々解消されていない実態があります。電通も近隣で賃貸しているビルのフロアを返したりしているので少しマスコミ系も元気がないというのが理由の一つかもしれません。

新橋駅周辺の中規模ビルやハイスペックビルは決まってきているので大型と築古ビルがキーになると思います。このエリアは若干賃料下げるかなと思います。

日本橋京橋周辺のオフィス相場

日本橋京橋-入居テナントの妥当な交渉ライン:3.3万円~3.8万円
日本橋京橋‐新規テナントの妥当な交渉ライン:3.7万円~4.0万円

再開発が怒涛なエリアなので賃料はキープしており、なんならビルのスペックによって少し賃料平均が上がる可能性もあるなと思っています。八重洲エリアの再開発でついに取り壊し退去で移転してくる企業も複数見られたのでこのエリアのビルはそういった再開発の需要と供給のバランスから時間はかかりますが、それほど苦戦しにくいのかなと思います。

賃料も横ばいだと思います。空室がなくなれば少し上昇もみれるかな・・・・
ただし定借の期間によっては周辺の開発完了後に移転してしまう可能性もあるのが少々強気に出にくいところです。東京駅周辺には一歩届かないですが東京駅から繋がるエリアで銀座よりは高単価を取れる位置づけとしては不動の地位です。

丸の内エリアの周辺オフィス相場

丸の内-入居テナントの妥当な交渉ライン:4.5万円~5.6万円
丸の内‐新規テナントの妥当な交渉ライン:5.05万円~6.4万円

丸の内エリアは稼働率は高いですがその理由の一つとして丸の内の大家さん三菱所が多くのオフィスビルを所有や運営しています。

ある程度賃料コントロールができる事と三菱地所の所有しているオフィスビルが建て替えや取り壊しで移転の受け皿にするといった手法も取れるのが最大の強みです。

今後も有楽町ビルや新有楽町ビルといったオフィスビルが閉館になったのでその入居テナントの受け皿として大丸有エリアでテナント移動をすることで凌ぐことができたなとと思っています。実際の賃料は若干下がってるかなという印象ではあります。エリアがそれほど広域では無いので空室はそれなりに減っています。
賃料負担能力が高い企業が集まっているので増床したり内部やビル間での移転や移動も盛んなのでそれほど困らずともという一等地ですね。

晴海周辺のオフィス相場

晴海-入居テナントの妥当な交渉ライン:1.6万円~1.8万円
晴海‐新規テナントの妥当な交渉ライン:1.4万円~1.9万円

湾岸エリアはどこも大変ですが晴海エリアです。
豊洲エリアも近しいものがあるのですが、やはりエリア内に競合ビルが多く値段をある程度下げて覚悟しないといけないビルもでてくるかなという模様です。ただし中央区、頑張れば東京駅にもアクセスできるという地形的メリットが晴海にはあります。ちょっと下げ気味です。

晴海エリアの強みは1万坪~の募集床があり、コスト面の削減移転や大きくまとまったフロアを取りたい企業にとってはかなりお買い得なオフィスです。晴海トリトンはXYZW棟がすべてアトリウムでつながっているので内部や近隣ビルで増床移転もしやすく、交通網のデメリットに目をつぶればコストパフォーマンスの良いビル群だと思っております。

台場・青海周辺のオフィス相場

場青海-入居テナントの妥当な交渉ライン:1.2万円~1.5万円
場青海‐新規テナントの妥当な交渉ライン:1.3万円~1.7万円

むしろ昨今になって賃料下落の形が強いのは湾岸の王者たちである台場青海エリアです、もうちょっと広げて天王洲アイルも含まれてきますが交通アクセスの悪さと通勤費用の高さなど色々と難しいです。

台場だとフジテレビもあるのでテレビ系のテナントが集まったりもしますがいまは色々厳しい模様。このエリアは大規模なフリーレントや賃料を下げて早めの回収をしたいところです。どうしても都内主要5区のどのビルにもアクセス条件が負けてしまいます。

このエリアのフリーレント競争は一体どこまで伸びるのだろうか12か月から15カ月というのはキャンペーン的に聞きますがそれらのフリーレントの長さだけ聞くと割とリーシング側は厳しそうだなと感じます。

ここまでみると空室解消しているエリアは部分的にも昨年より増えているものの、実は昨年と大きな変化はありませんでした。厳しいところは厳しく強いところは床が減って平均賃料の目線が少し上がっている。そんな状況下にあります。

2024年は比較的明るめ未来あり

2024年は割と不安要素だった点が解決されて、前向きに検討できる材料がそろったのではないかと思います。

現在はスタートアップ系の企業は3倍から5倍のオフィス拡大をしている企業などもみられることを考えれば前向きな事情は多いとも言えます。これは2023年から連続して前向きなマーケットだと思ってます。

今までの流れは5,000坪借りる大企業や外資系の10,000坪移動といった話が主流になっていましたが会社や働き方も変わる今後のトレンドとしては500坪前後のオフィスや1,000坪程度の移転が活性化してきており、彼らのニーズを満たす中小ビルなどの移転が活発化してくると思います。

いわゆる従業員数で言えば200~300名の規模の会社による移転や、500名~1,000名いかない企業というのを主戦場にしてゆくのが今後の生存戦略では無いかと考えています。

当然企業誘致するデベロッパーの皆さまには誘致件数が増えるので手間になり大変ですがオフィスの大床を複数フロア借りてくれるような企業は少なくとも2024年前半では少ないのでは?と思っております。2024年はこういった小規模を運営運用して、2024年下期~2025年に掛けた誘致策が盛り上がってくると予測します。

長期的な目線

さて長期的な目線で、オフィスワークは今後どうなるのかというのは議論がまだ済んでおりません。オフィスの必要性がなくなりフレキシブルな働き方ができる世代が増えたらオフィスワークが不要になるのでは?という議論も行われております。

もしかすると日本が開発をし続けてきた大規模なオフィスは少しづつ不要になってくるかもしれません。一人一人のワーキングスペースが減ってゆきリモートワークや地方移住をしながら働ける環境というのはジワジワと進んでいる気がします。数千坪、数万坪を利用する企業も減ってゆくので基準階1000坪以上のビルなどは苦しい未来があるのかもしれません。

まぁ少なくとも2024年では無いと思います。とお茶を濁して2024年の予測の締めとさせていただければと思います。

幸か不幸か2024年を挟んで2025年も大量のオフィス供給があります。喉元を過ぎて本格的にオフィス面積がここまで必要かを問われるのは2025年なんじゃないかなと思っている状況です。それはまた2024年の予測の時にお会いできればと思っています。

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参考資料アーカイブ

かれこれ4年間趣味が高じて色々始めてしまったものです。

オフィス移転や動向をゆったりゆったりとまとめていました。割と大きく外していないけど今見ると結構外していますね・・・仕方ないよ不動産屋だもの

↑過去のリーマン超えるか指標です。

↑奮闘しているスタートアップなど中心のオフィス移転の速報。オフィス物件が好きな人には人気のマガジンです4年目に突入?移転記事として書いた企業は延べ200社を越えました。応援くださいませ。

ここでワタシが書いているのはおもに移転頻度の高いスタートアップ企業や渋谷エリアのオフィス移転なんかを取り上げています。大きなオフィス移転や上場企業の移転秘話はまだまだMIKISHOJIとNFMの独壇場だと思い日々精進せなばと思っています。

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主にオフィスに関する不動産知識や趣味で短文小説を書いています。第1作目のツボ売り、それ以外も不動産界隈の話を書いていければ良いなと思っています。 サポート貰えると記事を書いてる励みになります。いいねをしてくれるだけでも読者がいる実感が持ててやる気が出ます