ごめんなさい金平糖
息子「あれ食べたい。あれ。」
わたし「なぁに?」
息子「ウイルス。」
ウ、ウイルス?!
息子「ウイルスみたいなの。」
ああ~~!金平糖ね!
今日、スーパーに買い物に行ったとき、お菓子売り場で息子が見つけたのだ。
ウイルスみたいなかたちと言って指さしていた。
似てるかも。
テレビでよく見るやつ。
これは金平糖っていうお砂糖でできたあま~いお菓子だと説明すると、食べてみたいと言うので買ってきたのだった。
わたしが小さいころ、金平糖は少し特別なお菓子だった。
父の友達の陶芸家のお店に行くと、いろんな焼き物のお皿が並ぶ中、蓋付きの器があってその中に金平糖が入っていたのだ。
陶芸家のおじさんは、わたしが来るとその器の蓋を開け、金平糖を何粒か手のひらにのせてくれた。
カラフルでかわいくて、食べると甘くてもっと欲しかったのだが言えなかった。
どくだみのつたの這う石垣の奥に隠れるようにあるある小さなお店に行くと、少しだけもらえる不思議なお菓子だったのだ。
そんな特別な金平糖を息子はウイルスみたいと言っている。
金平糖の置かれたシチュエーションでこんなにイメージが違うのかと思うとおもしろい。
息子はお皿に出した金平糖を色ごとにわけて、一粒ずつおいし〜!の顔をして食べていく。
ママも好きだから食べていい?ともらおうとしたが手をはたかれた。
こうしてわたしの少し特別な金平糖は、食べたいのに食べられない少し悲しい金平糖へと上書きされたのだった。
(ウイルスだなんて言ってごめんなさい。)
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