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顔文字が与えるイメージとカテゴリー─おじさん構文?量産型女子?

スマホやPCなどの機械によるコミュニケーションの中、記号的で感情の見えない文に表情を与える顔文字や絵文字。

同じ文章でも、装飾によって印象が大きく変わるため、日常化した機械的なコミュニケーションにおいて顔文字は長年多くの人に愛されてきました。

そんな顔文字ですが、ツールの進化・時代の変化によって、文章上の表情以外に「相手に与える印象」という特性を持ち始めています。

今回は日本独自の顔文字文化や、時代による顔文字の変化、使う顔文字が与える人物イメージと人物カテゴリーについて考えていきます。

日本の顔文字といえば


日本の顔文字といえば(´・ω・`)ショボーンのような横型のものを思い浮かべますよね。
一方海外の顔文字は:)のような縦型のもの。

この違いは、リアルな対人コミュニケーションにおいて日本人は目を、海外の人は口を注視するという特徴に基づいていると言われています。

(参考:Twitter@mnishi41

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(出典:東京女子大学 現代教育学部 心理学専攻 田中章浩教授プレゼン)

顔文字の縦型・横型という基本構成の違いによって生まれる大きな差は、バリエーションの数です。

()の中に様々な記号や文字を入れることで表情を作る場合、記号や組み合わせの数は膨大ですが、海外の形ではまず1文字で両目を表さなければならない縛りがあるため、記号の組み合わせはかなり少数になります。

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感情表現はそれぞれできていますが、日本式の方が記号によってより細かく表現できることが見えてきませんか?

平成のAA職人


顔文字が発展して、2ちゃんねるやニコニコ動画で多くの「AA職人」が誕生した時代があります。
AAはASCII ARTの略称で、ASCIIとはアルファベット・数字・記号などを収録した文字コードの一つです。
文字通り、AAは文字を使ったアートということになります。簡単なものでは2ちゃんねる出身のモナ―などが有名でしょうか。

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1行の顔文字だけでなく、身体やふきだしなどを加えたものをAAと呼びます。
AA職人と言われる人たちのAAはモナ―などより更に複雑なもので、等身や人数が増えたものから既存のキャラクターまで様々です。

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0から組み立ててAAを作るのもすごいですが、アニメや漫画のシーンやキャラクターイラストを文字と記号だけで再現しようと思い立った人もすごいですよね。

2ちゃんねるやニコニコ動画のコメントではこのようなAAを作っては流すAA職人がおり、AA職人のファンも多数存在しました。

インターネット黎明期・平成の名物ですね。

スマホ登場による特殊な顔文字

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スマホの登場で、顔文字のバリエーションが一気に増えだします。

ガラケーでは常用記号のみが使用できましたが、スマホの中でも特にiPhoneではガラケーでは使えなかった特殊記号が豊富に使用できます。

特殊記号により、顔文字のバリエーションの数は大きく跳ね上がりました。

何かしらの言語の文字なのか、専門分野などで使われる記号なのかよくわからないで使っているのがユーザー的には正直なところですが、特殊記号によって日本の顔文字は更に表情豊かになりました。

Y世代やZ世代のユーザーは特にこういった特殊記号の顔文字に馴染みがあるのではないでしょうか。

特に可愛い系統の顔文字は「量産型「地雷系」と呼ばれる女の子がよく使っています。
コンセプトカフェやメイド喫茶のキャストさん、オタク女子がSNSで使っているのを見たことがある人もいるのではないでしょうか?

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あれ?おじさん構文カモ!?^_^;

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特殊記号を用いた「新しい顔文字」の登場は、同時に今までの常用記号の顔文字たちを「古い顔文字」に押しやりました。

一部の顔文字を含む文は「おじさん構文」と呼ばれています。

(^_^;) ~_~ T_T *_* ^^; (^_-)-☆

このあたりの顔文字は特におじさん構文に使われますね。
更に、ガラケー時代のように文中に絵文字を入れたり、語尾をカタカナにしたり、句読点がやたらに多かったりするとより「おじさん構文」の完成度は上がります。

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ガラケー時代の流行を、今も使っていると文字通り時代遅れという印象になり、文面がおじさんっぽくなってしまうんですね。

世代のイメージとカテゴライズ


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最新の特殊記号を使った顔文字か、ガラケー時代からある常用記号の顔文字か。
それだけでも世代のイメージや人物のカテゴライズがされています。

多くのユーザーが共通して感じるからこそ「おじさん構文」という呼び方が定着しますし、特殊記号の顔文字など新しいものを使いこなしていると、自然に「若い子」であったり「量産系・地雷系の女の子」のような印象がつきます。

読み手は、LINEなどのSNSで送られてくる文章によって相手のカテゴライズを行います。
おじさんか、若い子か?どの系統の人なのか。

もちろん顔文字だけが判断材料なのではなく、文章全体の雰囲気や使われている要素によって沸くイメージとカテゴリーが決まりますから、(^-^;)を1つ使っているからといっておじさんと断定されるとは限りません。
若い世代が、わざとおじさん構文っぽく書くこともありますしね。

自分が自然に送っているメッセージは、人にどんな印象を与えているのか考えてみるのも面白いですよ。

まとめ

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日本と海外の顔文字は形状が全く違い、特に日本の顔文字は表情や使用する記号のバリエーションが多い特徴があります。
そこから派生したAAはインターネット黎明期を彩り、多くのユーザーを楽しませました。

その後、スマホの普及と、特にiPhoneで使用可能な特殊記号によって、顔文字のバリエーションの数が跳ね上がりました。
Y世代やZ世代にとって馴染みのある、可愛らしいものや複雑なものが誕生したのは、iPhoneの対応記号の多さに基づきます。

一方で、ガラケー時代の流行をそのままスマホ版にしたような文章は今「おじさん構文」と呼ばれています。
絵文字や顔文字、カタカナの使いどころが若い世代と違い、ガラケー時代に可愛い・流行とされていたもののため、ガラケー世代の特徴的な文章だとされています。

特殊記号は若い世代やいわゆる量産型女子・地雷系女子の文、中高年世代はガラケーそのままのようなおじさん構文、と、同じツールを使っていても、文章が与える人物イメージによって読み手にカテゴライズされています。

自分の文や自分の周りの人の文にどんな世代の特徴があるのか観察してみるのも面白いかもしれませんね。

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